24日のNYダウ工業株30種平均は前週末比1031ドル61セント(3.6%)安の2万7960ドル80セントと大幅に3日続落で終えた。下げ幅は2018年2月8日(1033ドル安)以来、過去3番目の大きさだった。昨年末終値(2万8538ドル44セント)を下回り、年初来で2.0%安と下げに転じた。
新型肺炎の感染拡大への懸念からアジアや欧州株が大幅安となり、米国株にも運用リスクを回避する売りが幅広い銘柄で出た。
24日は感染拡大による景気下押し懸念から、世界的に株価が急落。ソウル市場の総合株価指数(KOSPI)が3.87%安となったほか、ロンドン株式市場の英FT100種平均株価指数(FTSE100)は3.34%安。ドイツやフランスでも主要株価が約4%下落した。
ダウ平均は全30銘柄が下げ、業種別のS&P500種株価指数は全11業種が下げた。米株式相場の予想変動率を示す変動性指数(VIX)は一時、5割高の26台まで上昇した。20を超えると不安心理が高まった状態とされる。
相場のけん引役だった大型ハイテク株も軒並み売られた。スマートフォンのアップルは5%安、ソフトウエアのマイクロソフト、ネット通販のアマゾン・ドット・コムは4%安となった。1月下旬以降、新型肺炎の感染が拡大するなかでも成長期待の高い大型ハイテク株への買いは途絶えなかったが、24日はリスク資産をまとめて手放す動きに押された形だ。
半導体株の下げも目立った。新型肺炎の世界的なまん延で、アジアや欧州のサプライチェーン(供給網)の混乱が懸念された。半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は8%安、エヌビディアは7%安となった。
米債券市場では30年債利回りが連日で過去最低を更新し、長期金利の指標とされる10年債利回りは一時1.35%と過去最低(1.32%)に迫った。貸し出し利ざやが悪化するとして、シティグループやJPモルガン・チェースなど金融株の売り材料となった。
医療保険のユナイテッドヘルス・グループが8%下げ、1銘柄でダウ平均を160ドル押し下げた。米大統領選の民主党候補の指名争い第3戦となった22日のネバダ州党員集会で、公的な国民皆保険の導入を掲げるサンダース上院議員が勝利し、嫌気した売りが出た。
セクター別では全面安となり、特に半導体・半導体製造装置や自動車・自動車部品の下落が目立った。
ナスダック総合株価指数は前週末比355.310ポイント安の9221.280と3日続落で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
27,960.80-1,031.61
S&P500種
3,225.89-111.86
ナスダック
9,221.280-355.310
NY金(ドル/トロイオンス)
1,648.80+28.30
NY原油(ドル/バレル)
51.32-2.06
円・ドル
110.66 – 110.67-1.07
【シカゴ日本株先物概況】
24日のシカゴ日経平均先物は急落した。
新型肺炎の感染拡大による世界景気の先行き警戒感が広がり、米株とともに日経平均先物は売りが加速した。新型肺炎の感染者数が日本や韓国、イタリアなどで増加するなか、アジアや欧州株安が波及した。
3月物は前週末比1025円安の2万2165円で引け、同限月物終値ベースで19年10月14日以来、約4カ月ぶりの安値をつけた。21日の大取終値を1125円下回った。
この日の3月物安値は2万2070円、高値は2万3000円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
22165 ( -1125 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
22175 ( -1115 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7156.83(-247.09)
24日のFTSE100種総合株価指数は3日続落した。前週末の終値に比べ247.09ポイント(3.34%)安の7156.83で引けた。上昇したのはわずか3銘柄だった。
新型コロナウイルスによる肺炎の感染が世界的に拡大。投資家のリスク回避姿勢が強まり、英国株はほぼ全面安となった。他の欧州株も軒並み下落している。
韓国やイタリア、イランなど中国以外で新型肺炎の感染者数が急増しており、世界景気の下振れ懸念が強まった。投資資金は株から安全資産とされる金に流れた。景気に左右されやすい資源株の下げが株価指数の下落に大きく影響した。
個別銘柄では、感染拡大で需要が減少するとの懸念から、航空と旅行関連株が急落した。航空のイージージェットは16%安。旅行のTUIは10%近く、航空のインターナショナル・エアラインズ・グループも9%超、それぞれ下げた。鉱業のアングロ・アメリカンと、クルーズ運航のカーニバルの下げも目立った。
一方、配送のブンズルは上昇した。複数の企業買収が貢献し、2019年の利益が市場予想を上回ったことが好感された。教育事業のピアソンと、ロシアの金銀生産大手のポリメタル・インターナショナルも上げた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13035.24(-544.09)
24日のドイツ株式指数(DAX)は3日続落した。終値は前週末と比べて544.09ポイント安の13035.24だった。全面安となった。
イタリアなど中国以外で新型肺炎の感染者数が急増し、世界景気の下振れ懸念が強まった。欧州各国の株式相場はそろって急落した。
個別では、新型肺炎のまん延で航空需要が落ち込むとの見方から航空のルフトハンザが8%超下げた。アナリストが株価目標を引き下げた自動車のダイムラーは6%超下落した。ドイツ銀行も大幅安だった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5791.87(-237.85)
フランスのCAC40は4%前後下げた。
