17日のNYダウ工業株30種平均は5日続伸した。前日比31ドル27セント(0.1%)高の2万8267ドル16セントで終え、連日で過去最高値を更新した。
米中両政府が前週末に貿易協議の「第1段階」で正式合意したことで、投資家心理は上向いている。ただ、前日にダウが約3週間ぶりに最高値を更新した達成感から17日は上値の重い展開となった。
高値警戒からの利益確定売りが相場の上値を抑えたとみられ、取引終了にかけては伸び悩んだ。
中国での生産や販売の比率が大きいスマートフォンのアップルやスポーツ用品のナイキなどが最高値を更新した。建機のキャタピラーも買われた。米長期金利の上昇基調を受け、利ざや改善期待からゴールドマン・サックスなど金融株への買いも目立った。
11月の米住宅着工件数と鉱工業生産指数が市場予想を上回り、米景気の底堅さを示したことも相場の支えとなった。住宅関連指標の改善を手掛かりにホーム・センターのホーム・デポやウォルマートなど消費財関連も買われた。ダウ平均は90ドルあまり上げる場面があった。
取引終了間際に利益確定や持ち高調整の売りが出て、主要指数は上げ幅を縮小して終えた。
年末に向けて休暇に入る投資家が増え、取引が細ってくることが予想されている。ただ、最大のリスク要因だった米中摩擦の懸念が大きく和らぎ、「閑散に売りなしの中、株価のじり高基調が続くだろう」との声が聞かれた。
セクター別では、小売や銀行が上昇する一方で不動産やソフトウェア・サービスが下落した。
ナスダック総合株価指数は5日続伸し、同9.130ポイント高の8823.357で終えた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も小幅ながら5日続伸し、同1.07ポイント高の3192.52となった。ともに4営業日連続で最高値を更新した。アップルに加え、アマゾン・ドット・コムやネットフリックスの上げが目立った。
NYダウ工業株30種(ドル)
28,267.16+31.27
S&P500種
3,192.52+1.07
ナスダック
8,823.357+9.130
NY金(ドル/トロイオンス)
1,480.60+0.10
NY原油(ドル/バレル)
60.54+0.33
円・ドル
109.46 – 109.47-0.13
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は小幅に反落した。
3月物は前日比70円安の2万4000円で取引を終えた。大阪取引所の終値を10円下回った。
米中合意による投資家心理の改善で堅調推移となったが、英首相が欧州連合(EU)離脱について、通商協議の動向に関わらず2020年末までに完了する方針を示し、今後の混乱を予想する見方から上値は限られた。
前日に買われた日経平均先物は、この日は利益確定売りも出て軟調となった。
米主要株式指数はこの日も最高値を更新したが、上げ幅は限定的で、日本株への影響は小さかった。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
24000 ( -10 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
24035 ( +25 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7525.28(+6.23)
FTSE100種総合株価指数は5日続伸した。前日の終値に比べ6.23ポイント高の7525.28と、前日に引き続き8月上旬以来、約4カ月ぶりの高値(終値ベース)で引けた。ただ、構成銘柄の半数以上は下落した。
英国の欧州連合(EU)離脱後、2020年末の移行期間終了後に「合意なき離脱」に匹敵する大混乱が生じる懸念が強まった。ジョンソン首相が移行期間の延長を違法とする法改正を行う方針を決定。20年末までにEUとの貿易協定をまとめることに疑念が広がっており、急激なポンド安が株価を後押ししたものの、小幅高にとどまった。
建設資材のファーガソンは4%超上がった。アナリストが投資判断と株価目標をともに引き上げたロシアの鉄鋼大手エブラズの上げも目立った。
銀行や住宅建設など内需関連株の売りに加え、時価総額の大きい食品・日用品のユニリーバの下げが株価指数の上値を抑えた。
個別銘柄では、総合ヘルスケアのNMCヘルスは32%安。投資会社がNMCの財務諸表に懐疑的な見方をし、売りポジションを取っていることを明らかにした。ユニリーバは7%安。2019年の売上高の伸びの見通しを下方修正したことが売り材料となった。銀行のロイズ・バンキング・グループとロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)も大幅安。英中銀による一部の自己資本積み増し計画により、両行が2020年に計画している自行株買い戻しが難しくなるとの観測が広がった。
一方で、石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルがA株2.6%高、B株3.2%高ともに大幅高。同BPも2.3%高と締まった。配管・暖房流通大手ファーガソンが4.2%高で上昇率トップ。金融大手HSBCホールディングスも1.4%高と堅調だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13287.83(-119.83)
ドイツ株式指数(DAX)は5営業日ぶりに反落した。終値は前日と比べて119.83ポイント(0.89%)安の13287.83だった。前日に約1年11カ月ぶりの高値(終値ベース)をつけた後だけに、この日は売りが広がった。
個別では、IT(情報技術)のSAPは3%超下落した。アナリストが投資判断と株価目標を引き下げたことが響いた。オンライン決済サービスのワイヤーカードの下げも目立った。一方で、電力のエーオンとミュンヘン再保険は買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5968.26(-23.40)
