20日のNYダウ工業株30種平均は3日続落し、前週末比433ドル28セント(1.2%)安の3万4932ドル16セントで終えた。
世界的に新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染が急拡大する中、週末にオランダが都市封鎖(ロックダウン)に踏み切った。欧州の他の国でも同様の措置が導入される可能性があり、景気に対する悪影響が警戒されている。
また、米民主党マンチン上院議員が19日、バイデン政権の看板政策である1兆7500億ドル規模の大型歳出法案を支持しない考えを表明。議会通過のめどが立たなくなっており、景気見通しの不透明感が広がった。
こうした弱材料を嫌気し、景気敏感株への売りが膨らむ中、ダウは終日軟調な展開を維持。一時、約700ドルの下げを演じた。ナスダック総合指数は約2カ月ぶりに終値ベースで1万5000の大台を割り込んだ。
米国でも新規感染者数が大きく増えており、劇場の閉鎖やスポーツの試合を延期する動きが広がる。世界経済フォーラム(WEF)は20日に来年1月開催予定の年次総会(ダボス会議)を初夏に延期すると発表した。世界景気の停滞への懸念が強まり、相場の重荷となった。
バイデン米政権の看板政策で、子育て支援や気候変動対策に10年で1.75兆ドル規模を投じる歳出・歳入法案の実現が不透明になったことも投資家心理を冷やした。19日に与党・民主党内で保守派寄りのマンチン上院議員が反対を表明し、議席が拮抗する上院での法案通過と成立のメドが立たなくなった。ゴールドマン・サックスは同法案が成立しないことを前提に2022年の米経済成長率の見通しを引き下げた。
建機のキャタピラーや機械のハネウェル・インターナショナル、クレジットカードのアメリカン・エキスプレス(アメックス)など幅広い銘柄に売りが出た。ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株も安い。スポーツ用品のナイキと映画・娯楽大手のウォルト・ディズニーも下げた。一方、製薬のメルクや小売りのウォルマートなどディフェンシブ株の一角が上昇した。
ナスダック総合株価指数も3日続落し、前週末比188.738ポイント(1.2%)安の1万4980.944で終えた。電気自動車(EV)のテスラが4%安と下げが目立った。米政権の気候変動対策への不透明感から、政策を追い風にEV普及が加速するとの期待が後退した。交流サイトのメタプラットフォームズ(旧フェイスブック)なども売られた。
NYダウ工業株30種(ドル)
34,932.16-433.28
S&P500種
4,568.02-52.62
ナスダック
14,980.944-188.738
NY金(ドル/トロイオンス)
1,804.90+6.70
NY原油(ドル/バレル)
68.66-2.20
円・ドル
113.59 – 113.66+0.14
【シカゴ日本株先物概況】
20日のシカゴ日経平均先物は続落した。3月物は前週末比210円安の2万8215円で引け、20日の大取終値を315円上回った。
新型コロナの変異型「オミクロン型」の世界的な感染拡大に伴い、景気悪化を警戒する売りが強まった。NYダウは、世界経済フォーラムが来年1月にスイスで開催される予定だったダボス会議の延期を発表すると、投資家心理がさらに悪化。また、バイデン政権が推し進めている大規模歳出案「ビルド・バック・ベター」の早期成立の見込みがたたず、エコノミストが成長見通しを引き下げると、さらなる下落に繋がった。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
28215 ( +315 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
28270 ( +370 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7198.03(-71.89)
20日のFTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前週末の終値に比べ71.89ポイント(0.99%)安の7198.03で引けた。構成銘柄の約8割が下落した。
欧米で新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染が急速に拡大している。ロックダウン(都市封鎖)の可能性に懸念が広がった。ただ、朝方は大幅安となったものの、引けにかけて下げ渋った。
原油相場の大幅下落を受けて石油株が売られ、鉱業株の下げとともに株価指数に大きく影響した。
個別では、チリ大統領選に銅などの資源の国家管理強化を掲げる左派ボリッチ氏が当選したことで、産銅大手アントファガスタが5.5%安で下落率トップ。資源大手リオ・ティントは2.4%安、同グレンコアも2.0%安と軟調だった。情報・出版のインフォーマも大幅安だった。害虫駆除のレントキル・イニシャルは6%超上げた。
半面、流通大手テスコ(1.1%高)、同セインズベリー(0.6%高)など小売り株が堅調だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15239.67(-292.02)
20日のドイツ株式指数(DAX)は続落した。終値は前週末と比べて292.02ポイント(1.88%)安の1万5239.67だった。
新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染が急拡大しており、世界景気の停滞が懸念され売りが広がった。
個別では、高級車のポルシェは3%超下落した。ミュンヘン再保険の下げも目立った。医薬・化学大手の独メルクは上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6870.10(-56.53)
