20日の米株式相場は大幅に続落した。NYダウ工業株30種平均は前日比464ドル06セント安の2万2859ドル60セントと2017年10月12日以来ほぼ1年2カ月ぶりの安値で終えた。
FRBは前日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、2019年の想定利上げ回数を従来の3回から2回に下方修正。しかし、パウエル議長が記者会見で「来年も米国経済は好調さを持続する」として、従来の利上げ路線を継続する姿勢を強調したことから、前日に続いて投資家の失望売りが続いた。
金融環境が引き締め的になるとの見方を背景に、アマゾン・ドット・コムやネットフリックスなどのPER(株価収益率)の高い銘柄を中心に売りが続いた。
トランプ米大統領は与党・共和党幹部に対し、米連邦予算の一部が21日に期限を迎えるのを受けて上院が可決したつなぎ予算にメキシコ国境の壁の建設費用が計上されない限り署名しない方針を伝えた。
下院民主党のペロシ院内総務は20日、壁建設に改めて反対したと伝わった。21日までに予算が成立せず、一部の政府機関が閉鎖されれば米景気に悪影響が及ぶとの観測が広がった。ダウ平均の下げ幅は679ドルまで広がる場面があった。
投資家心理を測る目安となる米株の変動性指数(VIX)は一時30を超え、相場が急落した2月上旬以来の水準に迫った。VIXは20を上回ると不安心理が高まった状態とみなされる。
米原油先物相場が下げ止まらず一時ほぼ1年4カ月ぶりの安値をつけた。シェブロンやエクソンモービルなど石油株が大幅に下げ、ダウ平均の重荷になった面もあった。
市場では、今週末からクリスマス休暇に入る投資家も多い中、「相場の地合いが悪いために株式保有のポジションを落とそうという動きも続いている」という。
ナスダック総合株価指数は前日比108.420ポイント安の6528.407と17年10月2日以来の安値で終えた。
アップルやアルファベット(グーグル)など主力株が売られた。ナスダック指数は8月につけた過去最高値から弱気相場入りの目安となる下落率(20%)を超える場面があった。
個別では、昨日大きく売られたSNSのフェイスブック(FB)が小幅上昇したものの、携帯端末のアップル(AAPL)やオンライン小売のアマゾン(AMZN)など主要ハイテク株に売りが継続した。
食品のコナグラ・ブランズ(CAG)は、決算内容が市場予想を下振れ、大幅下落。ドラッグストアのウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)は、決算内容が嫌気され、下落した。
原油相場の下落で、エネルギー会社のチェサピーク・エナジー(CHK)や深海油田開発のトランスオーシャン(RIG)などエネルギー銘柄が軟調推移となった。
NYダウ工業株30種(ドル)
22,859.60-464.06
S&P500種
2,467.42-39.54
ナスダック
6,528.407-108.420
NY金(ドル/トロイオンス)
1,256.40+2.80
NY原油(ドル/バレル
46.22 -1.95
円・ドル
111.23 – 111.24-0.62
【シカゴ日本株先物概況】
20日の日経平均先物は5日続落した。3月物は前日比285円安の2万0345円で終え、中心限月の終値として約9カ月ぶりの安値を付けた。
大阪取引所の終値は135円上回った。19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受け、金融政策が引き締め的になるまで利上げが続くと警戒され、投資家心理が冷え込んだ。20日発表の米経済指標の一部が市場予想を下回ったのも嫌気され、米株式とともに売りが膨らんだ。
3月物は一時2万0020円まで下げた。高値は2万20775円だった。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
20345 ( +135 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
20385 ( +175 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数は、前日19日の終値に比べ54.01ポイント安の6711.93で引けた。構成銘柄の約6割が下落した。
米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受け、米国やアジアで株価が急落した流れを引き継いだ。一時下げ渋る場面もあったが、終日マイナス圏での推移となった。
ただ、英株は同日の英中央銀行イングランド銀行の金融政策発表を受けて、金融株の一角が下げ幅を縮小し、指数の下値を支えた。株価指数は政策発表後に一時、前日終値付近まで上昇する場面があった。英中銀は政策金利を全員一致で据え置いた。
個別では、クルーズのカーニバルが10%安と急落した。第1四半期の利益が市場予想を下回るとの見込みを示したことで売りが出た。
原油相場の大幅安を受けて、石油株に売りが膨らんだ。エネルギー関連サービスのウッド・グループも安かった。
石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルが1.2%安、同BPも2.0%安と軟調。産銅大手アントファガスタは、3.7%安、資源大手グレンコアは、3.3%安、鉱業大手アングロ・アメリカン2.8%安などの資源株も値を下げた。主力の鉱業株も軒並み下落した。
半面、景気動向に左右されにくいとされるディフェンシブ銘柄の公益株が買われた。金相場の上昇を背景に関連株のフレスニージョは1.8%高と堅調だった。午前は売りに押されていた金融株は下げ幅を縮め、スタンダードチャータード銀行や保険のアヴィヴァが上昇に転じた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数(DAX)は大幅反落。終値は前日19日と比べて155.11ポイント安の10611.10と、今月10日に付けた2016年12月上旬以来の安値水準(終値ベース)をさらに下回り、約2年ぶりの安値となった。
終日売りが優勢となるなか、午後の米株安に伴い下落幅が広がった。構成銘柄の9割が下落した。
個別銘柄では、アナリストが目標株価を引き下げたドイツ銀行が7%安と急落した。オンライン決済サービスのワイヤーカードも安かった。
一方、消費財のヘンケルが高くなった。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は約1.8%下落し、16年12月以来の安値水準。
