NYダウ続落、391ドル安 3週ぶり安値、金融株が軒並み安

29日のNYダウ工業株30種平均は大幅に3日続落し、前週末比391ドル64セント安の2万4361ドル45セントと8日以来、3週ぶりの安値で終えた。
 
メモリアルデーの祝日明けだったこの日のNYダウは、欧州株安を引き継ぎ、序盤から売りが先行した。リスク回避ムードが強まる中、安全資産とされる米国債買いで長期金利が大幅低下するのを眺め、利ざや縮小が懸念される金融株に売りが集まった。
 
長期金利の指標である10年物の米国債利回りは一時2.75%と4月中旬以来の水準に低下。利ざや悪化への警戒感が強まり、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株に売りが膨らんだ。2銘柄でダウ平均を87ドルあまり押し下げた。
 
イタリアのマッタレッラ大統領がポピュリズム(大衆迎合)政党が推薦した次期首相候補の人事案を拒否し、再選挙の可能性が高まった。スペインではラホイ首相への退陣要求が強まり、31日に不信任決議案が審議に入る。南欧の政局混乱への懸念が強まり、投資家のリスク回避姿勢が強まった。
 
また、トランプ米政権が午前、知的財産権侵害を理由に中国製品に追加関税を課す貿易制裁の継続方針を打ち出したことも、投資家心理を悪化させたもよう。ダウはほぼ全面安となり、中盤にかけて下げ幅を拡大。一時、505ドル安を付けた。
投資家心理を測る指標とされる変動性指数(VIX)は一時18台後半と、前週末から4割あまり上昇した。
 
市場関係者からは「きょうは下にオーバーシュートし過ぎた印象だ。金利は低下したが米経済が変わったわけではない。最近の金利上昇で割高感が強まり上値が重くなっていた銘柄には物色買いが入っていくだろう」との声が聞かれた。
 
ナスダック総合株価指数は反落し、同37.260ポイント安の7396.594で終えた。アップルやアルファベット(グーグル)、マイクロソフトなど主力株の一角が売られた。
 
セクター別では、不動産や公益事業が上昇する一方で銀行や各種金融が下落した。
 
個別では、米長期金利の下落でゴールドマンサックス(GS)やJPモルガン(JPM)などの金融各社が軒並み下落した。コーヒーチェーンのスターバックス(SBUX)は、フィラデルフィアで発生した人種問題を受けて、従業員への研修実施の為に8000店舗以上を本日休業し軟調推移
映画「スター・ウォーズ」関連の最新作の北米興行成績が会社予想を下回ったメディアのウォルト・ディズニー(DIS)も安い。
 
一方、カナダ政府がパイプライン事業を総額45億カナダドルで買い取ることで合意したと発表したパイプラインのキンダー・モルガンが上昇。米司法省が医薬・農薬大手の独バイエルによる買収を承認する見込みとなった種子大手のモンサントも買われた。
 
VIX指数は17.02と上昇(前営業日13.22)。伊政局への懸念が波及し、米株は大幅安。VIX指数は一時18.78と、4月25日以来の水準まで上振れた。
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,361.45-391.64
S&P500種
2,689.86-31.47
ナスダック
7,396.594-37.260
 
米10年債利回り(%)
2.7845 -0.151
米2年債利回り(%)
2.3311 -0.153
 
NY金(ドル/トロイオンス)
1,299.00-4.70   
NY原油(ドル/バレル)
66.87-1.01
円・ドル
108.61 – 108.62-0.13

 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は反落した。6月物は前週末比305円安の2万2040円で引け、同日の大取終値を260円下回った。
イタリアやスペインの政局混迷で欧州株が下げ、投資家心理の悪化で米株とともに売られた。円高も売り材料になった。
この日の6月物安値は2万1915円、高値は2万2545円。
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
22040 ( -260 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
22040 ( -260 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7632.64(-97.64)
29日のロンドン株式市場で、FTSE100種総合株価指数は大幅反落した。前営業日25日の終値に比べ97.64ポイント安の7632.64で引けた。構成銘柄の約9割が下落した。
イタリア政治の混迷を背景としたリスク回避の動きが広がり、株価は全面安となった。
英国でも銀行株と保険株の下げが株価指数を押し下げた。
 
個別では、バークレイズなど銀行株が全面安となった。ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は、英国政府が今週にも同行の保有株10%の売却を開始する可能性があると伝わり、3%超下落した。プルーデンシャルなど保険株も軒並み大幅安となった。
銅価格が下落していることから、BHPビリトンなど鉱業株も軟調だった。
たばこ株も下落した。総合ヘルスケアのNMCヘルスと水道のセバーン・トレントはともに4%超の下落と目立った。
 
半面、自動車・航空部品のスミス・グループは3%超上がった。傘下の医療関連部門が米医療関連会社と統合する可能性について協議していることを明らかにした。
ロシアの鉄鋼大手エブラズと品質試験サービスのインターテック・グループ、梱包材メーカーのスマーフィット・カッパ・グループも買われた。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12666.51(-196.95)
ドイツ株式指数(DAX)は続落した。終値は前日28日と比べて196.95ポイント安の12666.51だった。イタリアの再選挙は同国のユーロ加盟に対する事実上の国民投票になりかねないとの見方から、欧州で金融株を中心に売りが広がった。
 
個別では、ドイツ銀行とコメルツ銀行がともに4%超下がった。ミュンヘン再保険も大幅安となった。一方で、不動産のボノビアと鉄鋼のティッセン・クルップは買われた。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5438.06(-70.87)
フランスの株価指数CAC40の終値が前日に比べて1.29%下落した。イタリア政局の先行き不透明感から売りが広がった。
 

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