3日のNYダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比36ドル12セント高の3万0723ドル60セントで終えた。米政権の追加経済対策が実現に向けて前進しているとの見方が広がり、投資家心理が改善した。景気敏感株の一角が買われた。
米民間雇用サービス会社ADPがこの日発表した1月の全米雇用報告によると、非農業部門の民間就業者数は前月比17万4000人増と、市場予想(ロイター通信調べ)を大幅に上回った。週末の雇用統計が堅調な内容になるとの期待感が強まり、相場の支援材料となった。また、米サプライ管理協会(ISM)が明らかにした1月の米サービス業購買担当者景況指数(PMI)は58.7となり、前月の57.7から上昇し、市場予想(同)を上回る数字だった。
ダウ平均は、取引中盤までは今週の相場高を受けた利益確定の動きに押されやすい展開。だが、先週見られた波乱が沈静化する中、取引後半はおおむねプラス圏で底堅く推移した。大型の追加経済対策への期待も相場下支えに寄与した。
国債の増発観測で米長期金利が上昇し、金融のJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスの買いにつながった。米国では新型コロナウイルスの新規感染者数と死亡者数が減少しつつあるうえ、景気回復への期待から、航空機のボーイングや化学のダウなど景気敏感株の一角が高い。米原油先物相場が一時、昨年1月以来の高値を付け、石油のシェブロンへの買いも目立った。
個人投資家の投機的な売買で一部の株価が乱高下したことを受け、イエレン米財務長官は4日にも規制当局の幹部を集めた会合を開くと伝わった。何らかの規制強化を受けて市場の混乱が収束に向かうとの見方も相場上昇を支えた。
もっとも、ダウ平均の上値は限られた。前日までの2日間で704ドル上昇し、目先の利益を確定する売りも出た。景気敏感株の中でも前日に上昇が目立った建機のキャタピラーは売りに押された。前日夕に市場予想を下回る通期見通しを示したバイオ製薬のアムジェンも安い。
業種別では、エネルギーと通信が特に堅調。一方、一般消費財、ヘルスケアなどは軟調だった。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに小反落し、前日比2.234ポイント安の1万3610.543で終えた。過去最高値を上回って推移する場面もあったが、取引終了にかけて下げに転じた。前日に好決算とともに最高経営責任者(CEO)の交代を発表したネット通販のアマゾン・ドット・コムが2%安。スマートフォンのアップルや半導体関連も売られた。
一方、検索サイトのアルファベットは7%高で終えた。前日夕に市場予想を上回る増収増益決算を発表し、アナリストが軒並み目標株価を引き上げた。
NYダウ工業株30種(ドル)
30,723.60+36.12
S&P500種
3,830.17+3.86
ナスダック
13,610.543-2.234
NY金(ドル/トロイオンス)
1,833.40-30.50
NY原油(ドル/バレル)
55.95+1.19
円・ドル
105.00 – 105.03-0.05
【シカゴ日本株先物概況】
3日のシカゴ日経平均先物は続伸した。
3月物は前日比180円高の2万8475円で引け、3日の大取終値を165円下回った。
追加経済対策の早期実現への根強い期待や新型コロナワクチンの普及加速を期待した買いにダウは上昇に転じるも終日上値の重い展開となった。
バイデン米政権の大型経済対策の成立期待が買いを支えた。バイデン米大統領は同対策の成立に向けて民主党内での調整を進めている。米民間雇用サービス会社ADPが3日発表した1月の米雇用指標は雇用回復を示した。
この日の3月物高値は2万8510円、安値は2万8075円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
28580 ( -60 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
28585 ( -55 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6507.82(-8.83)
3日のFTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに小反落した。前日の終値に比べ8.83ポイント(0.1%)安の6507.82で引けた。下落した銘柄数は半数をやや上回った。
買いが優勢で始まったが、午後になって米国株が下げたこともあり下落に転じた。
決算発表シーズンを迎える中、個別銘柄を選別する動きが中心となった。全体的には上昇相場に一服感が広がっているが、原油高を背景に石油株が下支え役となった。
個別銘柄では、グラクソ・スミスクラインなどの医薬品株が株価指数を押し下げた。グラクソは午後になって売りが膨らみ、6%超の値下がり。2021年の利益が市場の予想以上に落ち込むとの見通しを示したことが嫌気された。航空機エンジンのロールス・ロイスの下げも目立った。
半面、携帯電話サービスのボーダフォン・グループは6%近く上昇した。20年10~12月期のサービス売上高が市場予想に反して増加し、今後も業績の伸びは加速するとの見通しを示したことが買い材料となった。総合保険のアビバは、アナリストが投資判断と株価目標をともに引き上げたことが好感され大幅高だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13933.63(+98.47)
3日のドイツ株式指数(DAX)は3日続伸した。終値は前日と比べて98.47ポイント(0.7%)高の1万3933.63だった。
個別銘柄では、自動車のダイムラーは9%近く上昇した。同社は3日、トラック部門をスピンオフ(分離・独立)する計画を発表した。電気自動車や高級車に力を注ぐとみられ買いが集まった。半面、料理宅配大手のデリバリーヒーローも上昇した。ドイツ取引所は売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5563.05(-0.06)
欧州の主要株式相場も英国とフランスを除き上昇した。
