NYダウ続伸137ドル高、長期金利上昇で金融株に買い

  
8日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前日比137ドル55セント高の3万4721ドル12セントで終えた。米長期金利が朝方に2.73%と3年ぶりの高水準を付け、利ざや拡大の見方から金融株が買われた。業績が景気動向に左右されにくいディフェンシブ株への買いも相場を押し上げた。半面、ハイテク株は売られ、相場の重荷となった。
 
今週に入り、景気を重視する「ハト派」と目されていたブレイナードFRB理事が、量的緩和で膨らんだ資産の圧縮や利上げを積極的に進めるべきだとの考えを表明。6日公表の3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、多くの参加者が大幅利上げを主張していることが明らかになった。
市場では、FRBが積極的な金融引き締め策を進めることで景気が悪化するとの懸念が強まっている。ただ、この日は、新たな材料がなかったことから、株売りの動きが一服。値ごろ感から買い戻す動きが強まり、上昇した。
 
足元では長期と中短期金利の差はプラス圏で拡大しており、利ざや拡大を見込んだ買いが金融株に入った。ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースが上昇した。
 
医療保険のユナイテッドヘルス・グループ、保険のトラベラーズ、日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などディフェンシブ株も堅調だった。原油高を受けて石油のシェブロンも上昇した。年初から下げが目立っていたホームセンターのホーム・デポは押し目買いが入り、3%高で終えた。
 
一方、長期金利が上昇すると相対的な割高感が意識されやすい高PER(株価収益率)のハイテク株は売られた。顧客情報管理のセールスフォース・ドットコム、ソフトウエアのマイクロソフト、スマートフォンのアップルが下げた。
 
航空機のボーイングの下げも目立った。コスタリカの空港での同社製の貨物機の事故が伝わったことや、アナリストによる目標株価引き下げが嫌気された。
 
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比186.304ポイント(1.3%)安の1万3710.996で終えた。週間では3.9%安となり、下落率は今年3番目の大きさだった。8日は電気自動車のテスラが3%下げた。エヌビディアが4%超下げるなど、半導体株も総じて売られた。
 
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
34,721.12+137.55
S&P500種
4,488.28-11.93
ナスダック
13,710.996-186.304
FTウィルシャー5000
45,639.27-151.12
NY金(ドル/トロイオンス)
1,945.60+7.80
NY原油(ドル/バレル)
97.90+1.87
円・ドル
124.28 – 124.30+0.53
 
 
 


【シカゴ日本株先物概況】

8日のシカゴ日経平均先物は小幅に続落した。6月物は前日比65円安の2万6990円で引け、8日の大取終値を50円下回った。8日の米株式市場で、
10年債利回りが3年ぶりの高水準に達し、金利高を警戒した売りから寄り付き後下落。その後、景気に不透明感が広がるなか、ディフェンシブ銘柄に投資資金が向かい、ダウは上昇に転じた。
長期金利の上昇を背景にハイテク株が売られ、日経平均先物の上値を抑えた。週末を控え取引高は比較的少なかった。
 
 
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
26990 ( -50 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
27030 ( -10 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

8日のFTSE100種総合株価指数は3日ぶりに反発した。前日に比べ117.75ポイント(1.56%)高の7669.56で引けた。前日に下落していたエネルギー株や資源株が値ごろ感から買い直された。FTSEでは、指数構成銘柄の約8割が上昇。鉱業大手アングロ・アメリカンが4.8%高と上昇率トップ。石油大手シェル(3.9%高)や同BP(3.7%高)、金融大手スタンダード・チャータード(3.0%高)、同バークレイズ(2.9%高)も買われた。
 

■ドイツ・フランクフルト株価指数

8日のドイツ株価指数(DAX)は4日ぶりに反発し、前日比205.52ポイント(1.46%)高の1万4283.67で終えた。金融引き締め加速への警戒感から下げが続いていたため、自律反発を見込んだ買いが入った。
 
 

■フランス・パリ株価指数

フランスCAC40種指数は1.34%高だった。金利や商品価格の上昇を好感して買われた。

 

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