5日のNYダウ工業株30種平均は続伸した。前日比133ドル33セント(0.6%)高の2万3883ドル09セントで終えた。米経済活動の再開や新型コロナウイルスのワクチン開発への期待から買いが優勢だった。
イタリアなどの国々やカリフォルニアなど米国の一部の州で外出制限を緩和する動きが出ていることを受け、市場では経済活動再開への期待が広がった。人やモノの移動が増え、エネルギー需要の回復につながるとの思惑から原油先物相場が大幅に上昇したことも投資家のリスク選好意欲を高めた。ダウの上げ幅は一時420ドル近くに達した。
ただ、米経済の先行き不透明感も意識され、取引終了にかけて伸び悩んだ。
ヘルスケア株が相場のけん引役となった。米バイオ医薬品メーカーのリジェネロン・ファーマシューティカルズは5日、新型コロナの「抗体カクテル」療法が、夏の終わりから秋までに使用できるようになるとの見通しを表明。製薬大手のファイザーが5日、独バイオ製薬企業と共同開発した新型コロナ向けワクチンの臨床試験を米国で始めたと発表した。早ければ年内に数百万本生産できる見込みで、感染の収束に向けた期待を招いた。ファイザーは2%強上げた。
経済活動の再開で原油需要も持ち直すとの見方から、米原油先物相場は1バレル24ドル台後半と一時約1カ月ぶりの高値を付けた。業績悪化への懸念が和らぎ、石油株のシェブロンが買われた。スマートフォンのアップルなど主力ハイテク株への買いも相場上昇を支えた。
もっとも、高く始まった後、日中は方向感に欠ける展開だった。市場では「雇用状況が大幅に悪化し、経済活動を再開しても回復は緩やか」と慎重な見方が多い。米サプライマネジメント協会(ISM)が5日発表した4月の非製造業景況感指数は11年1カ月ぶりの低水準だった。引けにかけては短期筋の手じまい売りも出て、上げ幅を縮小した。
セクター別ではヘルスケア機器・サービス、自動車・自動車部品が上昇した一方、銀行が下落した。
ナスダック総合株価指数も続伸し、前日比98.41ポイント(1.1%)高の8809.12で終えた。検索サイトのアルファベットやSNS(交流サイト)のフェイスブックなど大型株が買われたうえ、バイオ製薬や半導体関連株も軒並み上昇した。
NYダウ工業株30種(ドル)
23,883.09+133.33
S&P500種
2,868.44+25.70
ナスダック
8,809.121+98.406
NY金(ドル/トロイオンス)
1,710.60-2.70
NY原油(ドル/バレル)
25.28+4.89
円・ドル
106.52 – 106.54±0.00
【シカゴ日本株先物概況】
5日のシカゴ日経平均先物は反発した。
6月物は前日比155円高の1万9545円で引け、1日の大取終値を85円下回った。
米経済活動の再開や新型コロナウイルスのワクチン開発への期待が広がり、日経平均先物は。米株とともに上昇した。
米製薬大手ファイザーは5日、独バイオ医薬企業と共同開発する新型コロナの予防ワクチンの臨床試験を始めたと発表した。
この日の6月物高値は1万9745円、安値は1万9375円。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
19545 ( -85 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
19580 ( -50 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
5日のFTSE100種総合株価指数は4日ぶりに反発した。前日の終値に比べ95.64ポイント(1.7%)高い5849.42で引けた。
世界的な都市封鎖(ロックダウン)の解除の動きを背景に、投資家はリスク選好に傾いた。オアンダのクレイグ・アーラム氏は「投資家は最悪のシナリオよりはましだろうと考えているようだ。先週のひどい経済指標にもあまり反応していない」との見方を示した。
指数構成銘柄全体の約8割が上昇した。原油高を追い風に石油株が上昇をけん引した。
個別銘柄では、石油大手BPが6.1%高で上昇率トップ。同業のロイヤル・ダッチ・シェルもA株、B株ともに5%超の急騰となった。資源大手グレンコア(4.5%高)など資源株の一角も締まり、金融大手バークレイズも3.7%高とこわばった。
半面、欧州航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が3.9%安と軟調。衣類小売りネクスト(3.3%安)などアパレル株も値を下げた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
5日のドイツ株式指数(DAX)は3日ぶりに反発した。終値は前日と比べて262.66ポイント(2.5%)高い10729.46だった。
各国で広がる経済再開の動きを好感した買いが優勢だった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)4,483.13 +104.90
