21日のNYダウ工業株30種平均は4日続伸した。前日比86ドル52セント高の2万6743ドル50セントで終え、連日で過去最高値を更新した。
米中貿易摩擦激化への警戒が和らぐ中、21日も買い先行でスタートした。
同日の中国市場では、国務院(内閣に相当)が国内消費の改善に向けて新たなガイダンスを発表したことが好感され、上海、深センの両市場とも株価が急伸。通商摩擦が米中両国の経済に深刻な影響を及ぼすとの不安が後退している。
ダウ平均は一時112ドル高まで上げ幅を広げた。
中国景気の減速懸念が和らいだことで米市場でも航空機のボーイングなど、中国売上比率の高い銘柄が買われ、ダウ平均の上昇をけん引した。
市場では「長期金利の上昇でハイテク株に買いづらさが出てきたこともあり、中国懸念で売られていた銘柄に資金が移ってきた」との見方が出ていた。
原油高でシェブロンやエクソンモービルなど石油株が上げたことも相場の追い風だった。
ベライゾン・コミュニケーションズなど通信株も買われた。
21日の取引終了後、S&P500種株価指数の業種分類が再編される。従来の「電気通信サービス」に、アルファベット(グーグル)やネットフリックス、フェイスブック、ウォルト・ディズニーなどが移り「コミュニケーションサービス」となる。全体に占める比重が大きくなるため機関投資家などの配分が増えるとして、ベライゾンなどには先回りした買いが入った。
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比41.277ポイント安の7986.955で終えた。アマゾン・ドット・コムやアップル、フェイスブックなど主力株が軒並み売られて指数を押し下げた。
業種の再編で構成銘柄が抜けて全体に占める比重が小さくなる「IT」や「一般消費財・サービス」などには、事前に上場投資信託(ETF)などで運用する機関投資家から持ち高全体に対する保有比率を下げる目的の売りが出やすかった。「21日までにリバランスがどれほど進んだか不透明で、短期の投資家もいったん買いの持ち高を落とした」との指摘もあった。
セクター別では、電気通信サービスや消費者・サービスが上昇する一方で小売や自動車・自動車部品が下落した。
個別では、イスラエルの医療機器メーカーのマゾール・ロボティクス(MZOR)は、同業メドトロニック(MDT)と16.4億ドルで売却合意し、大幅上昇した。通信大手のAT&T(T)は、UBSによる投資判断引き上げを受け、堅調推移。ファストフードのマクドナルド(MCD)は、増配を発表し、買われた。
一方で、半導体メモリのマイクロン・テクノロジーは、売上高見通しが予想に届かず、下落。グラフィックソフトのアドビ・システムズ(ADBE)は、マーケティング支援ソフトメーカーのマルケトと47.5億ドルで買収合意したものの、軟調推移となった。
NYダウ工業株30種(ドル)
26,743.50+86.52
S&P500種
2,929.67-1.08
ナスダック
7,986.955-41.277
NY金(ドル/トロイオンス)
1,201.30-10.00
NY原油(ドル/バレル)
70.71+0.39
円・ドル
112.54 – 112.55+0.34
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は小幅続伸した。
12月物は前日比45円高の2万3725円と、中心限月の終値としては今年1月下旬以来ほぼ8カ月ぶりの高値で終えた。
大阪取引所の終値は25円下回った。
米中貿易摩擦への警戒感が後退しダウ工業株30種平均が連日で過去最高値を更新し、相場を支えた。
ただ、ナスダック総合株価指数が反落したうえ、週末を控えて持ち高調整目的の売りも出やすく上げ幅は限られた。
12月物の高値は2万3820円、安値は2万3605円だった。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数はリスク意欲の戻りを受けて幅広い銘柄に買いが入り午後にかけて上げ幅を広げ、3日続伸した。
前日20日の終値に比べ122.91ポイント高の7490.23と、9月3日以来の高値水準で引けた。構成銘柄の約8割が上昇した。
14時の声明でメイ英首相が欧州連合(EU)離脱をめぐる交渉は「行き詰まっている」との認識を示し、ポンド急落を招いた。
個別銘柄では、銅相場と原油相場の大幅な上昇を追い風に主力の鉱業株と石油株に買いが集まった。資源商社のグレンコアやアントファガスタなど鉱業株は軒並み3~4%超上昇した。米中の貿易摩擦に対する過度な警戒感が後退し、銅相場は急伸した。
時価総額の大きいたばこ株や医薬品株、酒類のディアジオ、食品・日用品のユニリーバなど多国籍企業銘柄が午後に入り値上げ幅を広げた。銀行株、保険株は軒並み上昇した。小売りのキングフィッシャーは5.6%高と目立った。
半面、外食デリバリーサービスのジャスト・イートは4.8%安と終日安かった。食事配達アプリを展開するライドシェアのウーバー社が、競合他社の買収に関心を示しているとの報道を受けて、競争の激化が懸念された。一時は1割近く急落した。自動車・航空部品のスミス・グループも安かった。通期利益が市場予想に届かず、失望売りが出た。住宅・建設株は売りに押された。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数(DAX)は4日続伸した。終値は前日20日と比べて104.40ポイント高の12430.88と、8月下旬以来、約3週間ぶりの高値水準だった。
個別では、米中の貿易摩擦に対する過度な警戒感が後退し、投資家心理が改善した。電力のエーオンとITのSAPが大幅に上昇した。ドイツ銀行や保険のアリアンツなど金融株も上げた。
半面、半導体のインフィニオンテクノロジーズと素材メーカーのコベストロの下げが目立った。
■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)5,494.17+42.58
