8日のNYダウ工業株30種平均は小幅ながら4日続伸し、前日比2ドル89セント高の2万4360ドル21セントで終えた。
トランプ大統領によるイラン核合意を巡る発表を午後に控えて揉み合う展開が続き、米国によるイラン核合意の離脱及び、同国への経済制裁の再開が発表されると、地政学リスクへの警戒感から下げ幅を拡大した。一時150ドル超下落したが、経済制裁の内容や欧州各国の対応を見極めたいとの雰囲気が徐々に広がり、引けにかけて値を戻した。
核合意の離脱は正式発表前から報道で伝わっていた。米国による制裁でイランの原油輸出が減るとの思惑から原油相場の先高観が根強く、シェブロンなど石油株が買われたこともダウ平均の戻りを後押しした。
アクティビスト(物言う株主)のバリューアクトキャピタルが金融大手シティグループ株を取得していたことが一部報道で判明。JPモルガン・チェースなど金融株が軒並み買われ、相場を下支えした。
ナスダック総合株価指数は小幅に3日続伸し、前日比1.689ポイント高い7266.902で終えた。
セクター別では、銀行や資本財が上昇する一方で公益事業やメディアが下落した。
個別では、地政学リスクへの警戒から、ロッキード・マーチンやノースロップ・グラマン、レイセオンなど軍需関連株が上昇。原油の先高観からデボン・エナジーやマラソン・オイルなど資源株も買われた。
一方で、ケーブルテレビのコムキャスト(CMCSA)は、メディアのウォルト・ディズニー(DIS)による21世紀フォックス(FOX)の映画・テレビ事業の買収に対抗して、600億ドル規模の買収案を計画していることが報じられ軟調推移。メディアのCBSやチャーターコミュニケーションズも下げた。
衛星テレビのディッシュ・ネットワークが下落。四半期決算の売上高が市場予想を下回ったうえ、説明会で収益基盤の強化に向けた提携先の確保に苦戦していると明らかにした。
VIX指数は14.71と低下(前営業日14.75)。米株は、イラン核合意からの米離脱の公表前後に荒っぽく上下した。離脱公表後は中東情勢への懸念の高まりから売りが先行したものの、地政学リスクの高まりが防衛関連株の買いにつながり下落幅を縮小。
VIX指数は15.56まで上振れ後、一時14.70付近まで低下した。
NYダウ工業株30種(ドル)
24,360.21+2.89
S&P500種2,671.92-0.71
ナスダック
7,266.902+1.689
米10年債利回り(%)
2.9741 +0.024
米2年債利回り(%)
2.5135 +0.017
NY金(ドル/トロイオンス)
1,313.70-0.40
NY原油(ドル/バレル)
70.13+1.07
円・ドル
109.10 – 109.11 +0.18
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は小幅上昇した。
6月物は前日比30円高の2万2500円で引け、同日の大取終値を20円下回った。米株高を好感した。
トランプ米大統領が8日、欧米など6カ国とイランが結んだ核合意からの離脱を表明し、一時米株とともに売り進まれた。売り一巡後は、中東情勢の悪化懸念がやや薄れ、反発に転じた。
この日の6月物高値は2万2565円、安値は2万2410円。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
22500 ( -20 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
22505 ( -15 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7565.75(-1.39)
FTSE100種総合株価指数は小反落した。前営業日4日の終値に比べ1.39ポイント安の7565.75で引けた。
連休明けで比較的低調な取引だった。売り買いが交錯したなか、結局下落に転じて引けた。構成銘柄の約7割が上昇したものの、主力の鉱業株と石油株への売りが膨らみ、指数を押し下げた。一方で武田薬品工業による買収に合意したアイルランド製薬大手のシャイアーは大幅に上昇した。
金属と原油相場の下落を受けて、鉱業株と石油株はほぼ全面安となった。なかでも午後にかけて原油安が進み、時価総額の大きい石油株が下げ幅を広げたことが指数に響いた。
個別では、大型株のブリティッシュ・アメリカン・タバコも売りに転じ、安くなった。米CATV大手のコムキャストによる買収観測を背景に欧州有料テレビ大手のスカイの下げも目立った。
半面、朝方からシャイアー株が買われ、4%超高となった。同社の取締役会は8日、武田による完全子会社化の買収提案に全会一致で合意した。同社への買いが波及し、医薬品株は全面高で引けた。
ファイナンシャル・サービスのハーグリーブス・ランズダウン、航空のインターナショナル・エアラインズ・グループ、建機・産業機器レンタルのアシュテッド・グループも高かった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12912.21(-35.93)
ドイツ株式指数(DAX)は3営業日ぶりに反落した。終値は前日7日と比べて35.93ポイント安の12912.21だった。
個別では、ドイツポストが7%安と大幅下落し、指数を押し下げた。第1四半期決算が減収、減益となり、市場予想も下回ったことが売り材料視された。電力のRWE、工業用ガスのリンデも安かった。
一方でアナリストが目標株価を引き上げた日用品のバイヤースドルフが高くなった。フォルクスワーゲンを除き自動車株も上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5521.93(-9.49)
