NYダウ続伸、景気敏感株に買い

 
10日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前日比262ドル95セント(0.9%)高の2万9420ドル92セントと2月以来の高値で終えた。新型コロナウイルスのワクチンの普及への期待から景気敏感株への買いが続いた。一方、ハイテク株への売りは続き、ナスダック総合株価指数は続落した。
 
米製薬大手ファイザーは9日、開発中の新型コロナワクチン候補について、9割超の有効性があったとする暫定治験結果を公表。米同業イーライリリーも同日、抗体薬の緊急使用許可を米食品医薬品局(FDA)から受けたと明らかにした。これらの発表を手掛かりに市場では経済活動の正常化期待が強まった。
 
石油のシェブロンや化学のダウ、機械のハネウェル・インターナショナルなど景気敏感株に買いが優勢となった。コロナワクチンの販売が収益を押し上げるとの期待からドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスが6%急伸。運航停止中の主力機「737MAX」の再開を米当局が18日にも認めると伝わった航空機のボーイングも5%上げた。ダウ平均は一時320ドル高まで上昇した。
 
一方、コロナ禍での在宅勤務や巣ごもり消費の恩恵を受けるとして上昇してきたハイテク株への売りは続いた。ダウ平均の構成銘柄では顧客情報管理(CRM)のセースルフォース・ドットコムが4%安となり、ソフトウエアのマイクロソフトは3%下げた。
 
米政治を巡る不透明感の後退などを背景にダウ平均は11月に入り2500ドル超上昇してきた。景気敏感株にも利益確定売りに押される銘柄もあり、クレジットカードのアメリカン・エキスプレスや金融のJPモルガン・チェースが下げた。
 
市場では「ハイテク株、巣ごもり関連を売って景気敏感株を買うという大きな流れは昨日と同じ。ただ、過熱感もあり、短期的には一服感も出てくるのではないか」との声も聞かれた。
 
ナスダック指数は続落し、前日比159.927ポイント(1.4%)安の1万1553.856で終えた。ビデオ会議システムのズーム・ビデオ・コミュニケーションズが9%下げるなど在宅勤務関連銘柄の一角に売りが続いた。欧州連合(EU)の欧州委員会がEU競争法(独占禁止法)違反の疑いがあると警告したネット通販のアマゾン・ドット・コムは3%安。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
29,420.92+262.95
S&P500種
3,545.53-4.97
ナスダック
11,553.856-159.927
NY金(ドル/トロイオンス)
1,876.40+22.00
NY原油(ドル/バレル)
41.80+1.51
円・ドル105.26 – 105.27+0.22
 
 


【シカゴ日本株先物概況】

10日のシカゴ日経平均先物は反落した。
12月物は前日比215円安の2万5225円で引け、10日の大取終値を275円上回った。
ハイテク株から景気循環株に買い換える動きが続いた。ハイテク株の比率が高いナスダック指数が続落し、日経平均先物を下押した。
午前中の市場では新型コロナウイルスのワクチン実用化への期待から買いが先行した。この日の12月物安値は2万4830円、高値は2万5475円。

 
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
25225 ( +275 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て) 
25240 ( +290 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】
 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6296.85(+110.56)
10日のロFTSE100種総合株価指数は7日続伸した。前日の終値に比べ110.56ポイント高の6296.85と大きく上昇し、終値では6月下旬以来、約5カ月ぶりの高値で引けた。構成銘柄の約6割が上げた。
この日のFT指数は6200台をジリ高。終盤には6307.00と、7月下旬以来4カ月弱ぶり高値を付けた。
新型コロナウイルスワクチン開発の進展を期待した買いが続いた。ワクチンの普及で経済が正常化するとの思惑から資源株や金融株など景気敏感株が大幅に上昇し、相場を押し上げた。原油高を追い風に石油株が高かった。鉱業株や銀行株、保険株が上昇銘柄の上位を占めた。時価総額の大きい医薬品株とたばこ株も高かった。前日に急騰した航空株も続伸した。
 
個別銘柄では、航空機エンジンのロールス・ロイスは午前に20%近く上げていたが、上値では利益確定の売りも出て7%高で引けた。通信のBTグループも大幅高だった。
一方、英投資信託スコティッシュ・モーゲージ・インベストメント・トラストは6.7%安、巣ごもり需要で伸びていたネット専業スーパーのオカド・グループは5.2%安など宅配関連株に売りが出た。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13163.11(+67.14)
10日のドイツ株式指数(DAX)は続伸した。終値は前日と比べて67.14ポイント(0.5%)高の1万3163.11と終値では9月中旬以来、約2カ月ぶりの高値だった。
新型コロナウイルスワクチンの早期普及による経済の回復を期待した買いが続いた。
個別では、コロナ規制の影響で下落していた航空エンジン大手のMTUエアロ・エンジンズは前日に続き高かった。フォルクスワーゲンを筆頭に自動車株も上昇した。一方、アディダスが安かった。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5418.97(+82.65)

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