26日のNYダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比112ドル97セント高の2万5527ドル07セントと2月下旬以来5カ月ぶりの高値で終えた。一方で、S&P500とナスダック総合指数は終日軟調推移となった。
トランプ米大統領は25日、欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長と会談し、工業製品の関税撤廃に向けて新たな貿易対話を始めることで合意。米国が輸入制限を検討する自動車分野の結論は先送りされたものの、ひとまず貿易摩擦の深刻化が回避されたため、投資家心理の改善につながった。
海外事業の比率が高い化学のスリーエム(3M)や建機のキャタピラーなどが買われ2銘柄でダウ平均を38ドルあまり押し上げた。
米企業の好調な業績を手掛かりとした買いも続いた。四半期決算で1株利益が市場予想を上回ったCATVのコムキャストが上昇した。前日夕に決算と同時に業績見通しを引き上げた半導体のザイリンクスと、売上高が市場予想以上に増えた同業のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が急伸。前日夕にオランダ企業の買収断念と自社株買いを発表したクアルコムも含め、半導体株全般が堅調だった。
ナスダック総合株価指数は反落し、同80.054ポイント安の7852.185で終えた。
前日夕に発表した四半期決算や業績見通しを受けて成長鈍化への懸念が強まったフェイスブックが19%安と急落し、指数の重荷となった。半導体株が買われるなど、ハイテク株全般を売る動きは限られた。
セクター別では、メディアや半導体・半導体製造装置が上昇する一方で自動車・自動車部品やソフトウェア・サービスが下落した。
個別銘柄では、本日決算発表を控えるネット小売のアマゾン(AMZN)や短文投稿サイトのツイッター(TWTR)、写真共有アプリを手掛けるスナップチャット(SNAP)などSNS関連銘柄に売りが広がった。
一方で、半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は、決算内容が予想を上振れ大幅上昇した。また、クアルコム(QCOM)は、中国当局からの認可を期限までに得られず、同業NXPセミコンダクターズ(NXPI)の買収を断念する一方、300億ドル規模の自社株買い計画が報じられ、堅調推移となった。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,527.07+112.97
S&P500種
2,837.44-8.63
ナスダック
7,852.185-80.054
米10年債利回り(%)
2.9783 +0.042
米2年債利回り(%)
2.6856 +0.029
NY金(ドル/トロイオンス)
1,225.70-6.10
NY原油(ドル/バレル)
69.54-0.07
円・ドル
111.20 – 111.21+0.51
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は小幅に続伸した。
9月物は前日比10円高の2万2620円で終え、大阪取引所の終値を60円上回った。
円相場の下落に加えて、米欧貿易摩擦への警戒感の後退でNYダウ平均が続伸したのを好感した買いが入った。市場は日銀が来週30~31日に開く金融政策決定会合に注目している。
9月物の高値は2万2660円、安値は2万2495円。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
22620 ( +60 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
22640 ( +80 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7663.17(+4.91)
FTSE100種総合株価指数は小反発した。前日25日の終値に比べ4.91ポイント高の7663.17で引けた。米国と欧州連合(EU)の通商交渉が良い方向に向かうとの期待から市場心理が好転した。構成銘柄の半数以上は上昇した。
決算発表が明暗を分けた。好決算を発表した銘柄中心に買いが広がり、なかでもたばこ株と医薬品株の値上がりが株価指数を押し上げた。一方で、軟調な決算を発表したロイヤル・ダッチ・シェルなど石油株の値下がりが指数の上値を抑えた。
個別銘柄では、上期業績が市場予想を上回ったブリティッシュ・アメリカン・タバコは5.1%。医薬品のアストラゼネカは、新薬の売上高が堅調だったことから4.2%高と大幅上昇した。医療機器のスミス・アンド・ネフューは、第2四半期に増収となったほか、米国市場での売り上げ改善により通期の業績見通しを維持したことを受けて3.0%高と買われた。通期利益見通しを据え置いた出版のRELXの値上がりも目立った。特殊化学のクローダ・インターナショナルは、アナリストによる株価目標引き上げが好感され上昇した。
半面、石油株は下落した。ロイヤル・ダッチ・シェルは第2四半期の利益が市場予想を下回ったことが嫌気された。資産運用のシュローダーズは上期が増益だったものの、軟調な資金流入額を理由に4.1%安と売られた。配当権利落ちで電力のSSEは5.9%と大幅安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12809.23(+229.90)
ドイツ株式指数(DAX)は大幅反発した。終値は前日25日と比べて229.90ポイント高の12809.23だった。米欧が貿易交渉を始めることで合意し、貿易摩擦への懸念が後退したことから欧州各国株式相場が上昇した。交渉中は自動車への追加関税はないとの見方から、各国とも自動車株が高くなった。
ドイツでは、自動車のフォルクスワーゲンとBMWが買われた。第2四半期で減益を発表したダイムラーも上昇した。下落したのは、工業用ガスのリンデとドイツ取引所、アディダスの3銘柄だけだった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5480.55(+54.14)
フランスの株価指数CAC40の終値が前日に比べて1%上昇した。
