28日のNYダウ工業株30種平均は小幅に続伸し、前日比18ドル38セント高の2万6458ドル31セントで終えた。
この日のNYダウは、イタリアの財政不安を背景にした欧州株安の流れを引き継ぎ、売りが先行した。米国は9月末を期限としてカナダとの貿易協定の協議を進めているが、合意の見通しが立たず投資家心理を冷やした。イタリアの財政懸念を背景に欧州株が下落し、米国株にも売りが波及した。米長期金利の低下観測から銀行株も下げた。
午前に発表された米経済指標は総じてさえない内容だったが、米空軍から92億ドル（約1050億円）相当の次期練習機を受注したと発表したボーイングや、通期の売上高目標を達成できる見通しを示したインテルへの買いに支えられ、ダウは中盤にかけてプラス圏に浮上した。両銘柄がけん引し、ダウ平均は75ドルあまり上げる場面があった。
また、原油先物価格の上昇も相場を支援した。
米長期金利の上昇一服を手掛かりに、安定的な配当が見込めて金利低下局面で投資妙味が増すとされる公益事業株や不動産株の上昇も目立った。
ナスダック総合株価指数も小幅に続伸し、前日比4.385ポイント高の8046.353で終えた。
個別銘柄は、インテルのほか、アナリストが目標株価を引き上げたと伝わったエヌビディアが買われて指数を支えた。ウォルト・ディズニー、ベスト・バイ、ペプシコが買われた。
一方、テスラは13．9％急落。米証券取引委員会（SEC）は前日夕、証券詐欺の疑いで同社のマスク最高経営責任者（CEO）を連邦地裁に提訴した。フェイスブックは2．6％安。同社はこの日、セキュリティー上の欠陥により5000万人の利用者アカウントが乗っ取られるリスクにさらされていたと28日に発表した
NYダウ工業株30種（ドル）
26,458.31＋18.38
S&P500種
2,913.98－0.02
ナスダック
8,046.353＋4.385
米10年債利回り（％）
3.0649 +0.01
米2年債利回り（％）
2.8229 -0.012
NY金（ドル/トロイオンス）
1,196.20＋8.80
NY原油（ドル/バレル）
73.56＋1.44
円・ドル
113.67 – 113.68＋1.07
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は4日続伸した。
12月物は前日比135円高の2万4150円で引け、中心限月物終値ベースで年初来高値を更新した。
米株の続伸に加え円安が進み、買われた。28日の東京市場で日経平均株価が一時約27年ぶりの高値を付け、先高観が広がった。
12月物高値は2万4285円、安値は2万4000円。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数はイタリアの財政問題への懸念から4日ぶりに反落した。前日27日の終値に比べ35.24ポイント安の7510.20で引けた。構成銘柄の約6割が下落した。
日本株は約27年ぶりの高値を付けたが、イタリア株の下落が欧州株全体に波及し、英株も下落した。金融株に売りが膨らんだほか、保険のRSAインシュアランス・グループが急落したことも指数の重荷になった。ただ午後に入り、主力の鉱業株が買い戻されたため、株価指数は下げ幅を縮小する局面があった。
個別では、イタリア財政の先行き不安から同国の株式市場で銀行株が大幅に下落したことに伴い、銀行株が全面安となった。ロイズ・バンキング・グループやバークレイズは2%超下落した。RSAインシュアランス・グループが9%安と大幅に下がった。四半期決算の内容を嫌気した売りが出た。ダイレクトライン・インシュアランス・グループなど他の保険株にも売りが波及し、軒並み下落した。
半面、午前は売りが先行していた鉱業株が買いに転じ小幅上昇して引けた。銅価格が回復したことなどが買い安心感につながった。ランドゴールド・リソーシズの上げが目立った。
ポンド安を背景に英航空機エンジン製造大手ロールス・ロイス、英航空・防衛大手BAEシステムズなどの輸出株が堅調だった。また、景気動向に左右されにくいとされるディフェンシブ銘柄の公益事業株が堅調だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数（DAX）はイタリア株の急落が波及し、4日ぶりに大幅に反落した。終値は前日27日と比べて188.86ポイント安の12246.73だった。イタリアの財政懸念や予算案をめぐる欧州連合（EU）との対立などが警戒され、投資家心理が悪化した。構成銘柄の約9割が下落した。
個別銘柄では、ドイツ銀行が3%超安となり、下げを主導した。保険のアリアンツも安かった。一方、上昇したのは不動産のボノビアと医薬・化学大手のメルクの2銘柄だった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40（仏）5,493.49-46.92
フランスの株価指数CAC40は銀行株を中心に下落した。
