30日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに小反落し、前日比23ドル33セント安の2万7198ドル02セントで終えた。
トランプ米大統領はこの日ツイッターで、来年の米大統領選で同氏が敗れることを期待し、中国が貿易協議を引き延ばそうとしていると批判。「私が勝てば、現在交渉中の内容よりはるかに厳しいものになるか、合意なしとなる」と警告した。米中両政府はこの日から2日間の日程で、上海で閣僚級貿易協議を再開。トランプ氏の発言で貿易摩擦長期化をめぐる懸念が改めて意識され、相場の重しとなった。
建機のキャタピラーなど中国関連銘柄に一時的に売りが膨らみ、ダウ平均は朝方に151ドル安まで下げ幅を広げる場面があった。
半面、好決算を発表した銘柄が個別に買われ、相場を下支えした。
午後にはダウ平均は小幅に上昇に転じる場面もあった。30日に発表した2019年4~6月期決算が市場予想以上に好調だった日用品大手のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や製薬大手のメルクが買われた。
航空機のボーイングが2%強上げたこともダウ平均の支えとなった。運航停止中の主力機「737MAX」を巡り、米連邦航空局(FAA)が「世界の規制当局がほぼ同時に運航再開を許可することを望んでいる」との書簡を米議員に送ったと30日伝わった。
中小型株で構成する株価指数、ラッセル2000は1.1%高としっかり。米中摩擦への警戒から輸出株を手掛けにくい中、「投資家は内需株が多い中小型株に資金を移している」との見方があった。
市場では31日開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げが確実視されている。会合後の米連邦準備理事会(FRB)議長会見や声明などで先行きの金融政策を見極めたいとの雰囲気も強かった。
セクター別では、家庭用品・パーソナル用品やエネルギーが上昇する一方で医薬品・バイオテクノロジーや消費者・サービスが下落した。
ナスダック総合株価指数は続落し、19.715ポイント安の8273.614で終えた。アルファベットやアマゾン・ドット・コムのほか、半導体株の一角が下落した。
NYダウ工業株30種(ドル)
27,198.02-23.33
S&P500種
3,013.18-7.79
ナスダック
8,273.614-19.715
NY金(ドル/トロイオンス)
1,441.80+8.50
NY原油(ドル/バレル)
58.23+0.18
円・ドル
108.58 – 108.59-0.06
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は下落。9月物は前日比135円安の2万1485円で引け、30日の大取終値を175円下回った。
30日に中国・上海で始まった閣僚級の米中貿易協議への警戒感が広がり、シカゴ日経平均先物は米株とともに売られた。トランプ米大統領は30日に「中国は米国の農産品を今すぐ買い始めるはずだったが、予兆がない」など中国批判をツイッターに投稿した。
この日の9月物安値は2万1450円、高値は2万1765円。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
21485 ( -175 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
21485 ( -175 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7646.77(-39.84)
FTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前日の終値に比べ39.84ポイント安の7646.77で引けた。構成銘柄の8割近くが下落した。
オーバーナイトで一段安となった英通貨ポンドが下げ幅を縮小したほか、米中貿易協議をめぐり、トランプ米大統領が中国をけん制する発言を行ったことで、市場の警戒感が強まった。1年ぶり高値で利益確定売りが出たことも重なった。
個別銘柄では、ガス供給・販売のセントリカは19%下がった。上期の減配と最高経営責任者(CEO)の退任を発表したことが売り材料で、下げ幅は徐々に広がった。
鉱業のフレスニージョも17%安。減産とコスト増により上期の利益が大幅に縮小したことが嫌気された。日用品のレキットベンキーザーは四半期の売上高が市場予想を下回ったほか、通期目標も引き下げたことから売られた。航空のインターナショナル・エアラインズ・グループは、同業の独ルフトハンザが欧州市場は年内いっぱい厳しい状況が続くとの見通しを示したことから、5.4%安と大幅安となった。たばこのブリティッシュ・アメリカン・タバコとインペリアル・ブランズはともに4%超下落した。
半面、石油株は上昇した。BPは3.1%高、四半期の利益が市場予想を上回ったことが好感された。酒類のディアジオとソフトウエア開発のマイクロフォーカスは2.1%高と値上がりも目立った。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12147.24(-270.23)
ドイツ株式指数(DAX)は大幅に続落した。終値は前日と比べて270.23ポイント安の12147.24だった。欧州各国株式相場はともに下がって始まった後、徐々に下げ幅を広げた。
個別では、航空のルフトハンザが6%下がった。第2四半期決算で、燃料コストの増加や価格競争が響いて利益が減少したほか、欧州市場は年内いっぱい厳しい状況が続くとの見通しを示した。透析器大手のフレゼニウス・メディカル・ケアも大幅安となった。第2四半期の利益が減少したことなどが響いた。医薬・農薬大手のバイエルも売られた。通期の業績予想は据え置いたが、「次第に野心的な目標になってきている」とし、今後の下方修正の可能性を示唆したことが売り材料となった。
上昇したのは、全30銘柄のうちドイツ取引所の1銘柄だけだった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5511.07(-90.03)
フランスの株価指数CAC40の終値が前日に比べて約1.6%下落した。
