1日のNYダウ工業株30種平均は前日比420ドル22セント安の2万4608ドル98セントと3日続落した。2月12日以来の安値で終えた。
朝方はパウエルFRB議長の2度目の議会証言を見極めたいとの思惑から前日終値を挟んでもみ合う展開となった。
2月27日の下院での証言に比べ利上げに前向きなタカ派姿勢が薄れたと受け止められた。米長期金利の低下もあり、株に買い安心感が広がった。
しかしながら、トランプ大統領が鉄鋼とアルミニウムに商務省の提言を上回る25%と10%の輸入関税を賦課する計画を明らかにし、保護貿易への懸念から大幅下落となった。
トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムに追加関税を課す方針を表明。中国などとの貿易戦争が激化し、米企業業績に悪影響が及ぶとみた売りがかさんだ。
ダウ平均の構成銘柄では中国など新興国での売上比率が大きい航空機のボーイングや建機のキャタピラー、航空機・機械ユナイテッド・テクノロジーズの下げが大きかった。3銘柄でダウ平均を147ドル押し下げた。ダウ平均の下げ幅は一時586ドルに達した。
ナスダック総合株価指数は前日比92.448ポイント安の7180.561で終えた。アップルやアルファベット(グーグル)など時価総額の大きい銘柄が軒並み下落し、指数を押し下げた。
セクター別では、家庭用品・パーソナル用品や公益事業が上昇する一方で自動車・自動車部品や資本財が下落した。
個別では、2月の新車販売台数が前年同月比で減った自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーターが下落した。小売のコールズ(KSS)や書店のバーンズ・アンド・ノーブル(BKS)は、決算内容が嫌気され下落した。前日夕に発表した利益見通しが市場予想を下回った女性向け衣料のエル・ブランズも下げた。
一方、トランプ大統領が明らかにした関税計画を受けて、鉄鋼大手のUSスチール(X)や非鉄大手のセンチュリー・アルミニウム(CENX)などが上昇した。
クラウドベースの顧客管理ソフトなどのセールス・フォース(CRM)や家電量販店のベストバイ(BBY)は、決算内容が予想を上振れ堅調推移した。
VIX指数は22.47と上昇(前営業日19.85)。トランプ米大統領による鉄鋼とアルミニウムに対する関税導入を嫌気して、ダウ平均が24442.56ドルまで下落したことで、VIX指数は一時25.30まで上昇した。
ダウ平均は前日比-420.22ドルの24608.98ドルで引けた。
NYダウ工業株30種(ドル)
24,608.98-420.22
S&P500種
2,677.67-36.16
ナスダック
7,180.561-92.448
米10年債利回り(%)
2.8114 -0.057
米2年債利回り(%)
2.2178 -0.044
NY金(ドル/トロイオンス)
1,305.20-12.70
NY原油(ドル/バレル)
61.34-0.30
円・ドル
106.25 – 106.26-0.55
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は大幅続落した。3月物は前日比790円安の2万1120円で引け、同日の大取終値を520円下回った。
米トランプ政権がこの日に鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を発動する方針を表明し、景気先行きへの懸念から米株とともに売られた。
円高進行も売り材料になり、3月物は一時2万1030円まで下げた。この日の3月物高値は2万1965円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
21120 ( -520 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
21120 ( -520 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7175.64(-56.27)
FTSE100種総合株価指数は3日続落した。前日の2月28日の終値に比べ56.27ポイント安の7175.64で引けた。構成銘柄の9割近くが下落した。
鉱業株と広告のWPPグループの下げが株価指数の下落に大きく影響した。
個別では、WPPグループは8%超の下落。通期決算で減収となったほか、2018年も横ばいとの見通しを示したことが嫌気された。原油安で、石油のBPとロイヤル・ダッチ・シェルも売られた。
通期決算を発表した害虫駆除のレントキル・イニシャルも9%超下がった。前日に低調な決算発表で下落したメディアのITVは、複数のアナリストが投資判断と株価目標を引き下げたことなどが響いて、この日も売られた。
半面、ロシアの鉄鋼大手エブラズは、通期決算で市場予想を上回る大幅増益を発表し約5%高。通期増益を発表した建設資材のCRHも堅調だった。
ファッションのバーバリー・グループと医薬品のシャイアーの上げも大きくなった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12190.94(-244.91)
ドイツ株式指数(DAX)は3日続落した。終値は前日の2月28日と比べて244.91ポイント安の12190.94だった。全銘柄が下落した。午後に下げ幅を拡大した。
個別では、日用品のバイヤースドルフは4%超下がった。接着剤の売り上げの伸びが今年鈍化するとの予想を理由に、通期業績見通しに慎重な見方を示したことが嫌気された。
アディダスと医薬・化学大手の独メルクの下げも目立った。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5262.56(-57.93)
