NYダウ大幅反落し785ドル安、新型コロナの警戒根強く

3日のNYダウ工業株30種平均は前日比785ドル91セント(2.9%)安の2万5917ドル41セントと大幅に反落で終えた。下げ幅は一時997ドルに広げた。
米連邦準備理事会(FRB)が緊急利下げを発表したが、前日に急騰した後だけに材料出尽くしの売りが強まった。
 
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大はいまだ終息の兆しがみえない。米国では、西海岸で感染者が増えつつあるほか、経済の中心地ニューヨーク州でも確認されている。ニューヨーク市内の高校1校は、感染が疑われるケースが見つかったとして、休校にする措置をとった。米国でも新型コロナウイルスの感染者数が増え、欧州やアジア各国でも感染拡大が続いている。景気懸念の高まりも重荷だった。
 
相場の不安定さは値動きの荒さに表れた。ダウ平均の高値と安値の差である日中値幅は1378ドルとなり「VIXショック」で揺れた2018年2月5日以来の大きさだった。投資家心理を測る指標となる米株の変動性指数(VIX)は10%高の36台に上昇し、不安心理が高まった状態とされる20を大幅に上回って推移した。不安心理の一方で短期的な戻りを狙った買いも入りやすく、変動が大きくなった。
 
FRBは3日午前、緊急の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、政策金利を0.50%引き下げると発表した。声明文では「経済を支えるために適切に行動する」と主張し、発表直後は好感した買いでダウ平均は381ドル高となる場面があった。
 
ただ、利下げを好感した買いは続かず、FRBのパウエル議長の記者会見を受けて売りが優勢になった。議長は「(新型コロナで)米景気見通しが大幅に変わった」と利下げの理由を説明した。市場では「議長が景気への警戒感を強調したため、市場の想定以上に景気が悪いのではないかと疑念を招いた」との声が聞かれた。
 
債券市場ではリスク回避の米国債買いが強まり、長期金利の指標である10年物国債利回りが一時0.90%と初めて1%を割り込んだ。市場では「米金利低下に歯止めがかからず、先行きの景気懸念につながった」との指摘もあった。
 
貸し出し利ざや縮小が警戒され、JPモルガン・チェースなど銀行株の下げが目立った。クレジットカードのビザが新型コロナの影響で1~3月期の売上高見通しを引き下げ、同業のアメリカン・エキスプレス(アメックス)も連れ安した。
 
前日に大幅高だったスマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトといったハイテク株も大幅安だった。
 
セクター別では銀行、ソフトウェア・サービス、半導体などの下げが目立った一方、低金利の恩恵を受ける不動産の下げは限定的となった。
 
ナスダック総合株価指数は前日比268.075ポイント(3.0%)安の8684.090で終えた。
 
NYダウ工業株30種(ドル)
25,917.41-785.91
S&P500種
3,003.37-86.86
ナスダック
8,684.090-268.075
NY金(ドル/トロイオンス)
1,644.40+49.60
NY原油(ドル/バレル)
47.10+0.35
円・ドル
107.11 – 107.12-0.92

 


【シカゴ日本株先物概況】

3日のシカゴ日経平均先物は反落した。米当局の緊急利下げにもかかわらず新型コロナウイルスによる景気悪化リスクへの警戒感が強まり、日経平均先物は米株と同じように売られた。米連邦準備理事会(FRB)は3日午前中、新型コロナの感染拡大に対応し緊急利下げを決めた。
利下げを受け米株は一時買われたものの、その後は利下げの景気下支え効果が疑問視され、大幅な下げに転じた。利下げ決定後のパウエルFRB議長の記者会見も先行き不透明感で売りを誘った。
 
3月物は前日比545円安の2万0880円で引け、3日の大取終値を100円下回った。
この日の3月物安値は2万0675円、高値は2万1725円。

シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
20880 ( -100 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
20890 ( -90 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6718.20(+63.31)
3日のFTSE100種総合株価指数は米連邦準備制度理事会(FRB)による緊急利下げなどを好感して続伸した。前日の終値に比べ63.31ポイント高の6718.20で引けた。構成銘柄の約8割が上昇した。
新型コロナウイルスの感染拡大による世界景気への悪影響に対して、主要各国が対応策を講じるとの期待感から買いが先行した。3日午後には米連邦準備理事会(FRB)が利下げを発表したが、その後米国株が下落に転じると、英国も上げ幅を縮めた。
たばこと鉱業株の上昇が株価指数を押し上げた。最近下落傾向にあった旅行関連株は買い戻された。
 
個別銘柄では、航空のインターナショナル・エアラインズ・グループは7%超上昇した。投資関連のM&Gとオランダのオンライン食品デリバリー大手ジャストイート・テークアウェイは4.5%高、英再保険大手リーガル・アンド・ゼネラルは4.2%高、ロシア鉄鋼大手エブラズは4.1%高と上げが目立った。
 
一方、バークレイズなど銀行株は売られた。アナリストが株価目標を引き下げた金融サービスのハーグリーブス・ランズダウンも2.3%安と下げた。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11985.39(+127.52)
3日のドイツ株式指数(DAX)は9営業日ぶりに反発した。終値は前日と比べて127.52ポイント(1.08%)高の11985.39だった。
 
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界景気への悪影響に対して、主要各国が対応策を講じるとの期待感から欧州各国の株式市場で買いが先行した。3日午後には米連邦準備理事会(FRB)が利下げを発表したが、その後米国株が下落に転じると、欧州各国も上げ幅を縮めた。
 
個別では、新型コロナの感染拡大で最近売り傾向にあった航空のルフトハンザが買い戻され9%近く上げた。オンライン決済サービスのワイヤーカードと、航空エンジン大手のMTUエアロ・エンジンズも大幅高となった。一方、ドイツ銀行と医薬・農薬大手のバイエルは売られた。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5393.17(+59.65)
フランスの株価指数CAC40の終値が前日に比べて1%以上、上昇した。

 

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