5日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比392ドル54セント(1.1%)安の3万6407ドル11セントで終えた。上昇して始まったが、午後に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受けて下げに転じた。米連邦準備理事会(FRB)が金融政策の正常化を前倒しで進めるとの見方が強まった。
米長期金利が上昇。金利上昇で相対的な割安感が薄れたハイテクなど高PER(株価収益率)銘柄に売りが広がった。
これを受け、長期金利の指標である10年物米国債利回りは上昇し、一時21年10月21日以来約2カ月半ぶりに1.70%台に乗った。
一方、米雇用サービス会社ADPがこの日発表した昨年12月の民間就業者数は80万7000人増。市場予想(40万人増)を上回り、株式相場を下支えした。
FOMC議事要旨(昨年12月開催分)では、保有資産の圧縮を「前回の緩和縮小時よりも速いペースで実施するのが望ましい」との見方があったことがわかった。ほぼすべての参加者が「最初の利上げ後のある時点でバランスシートの縮小を始めるのが適切だ」と指摘したことも明らかになった。市場では金融引き締めに積極的な「タカ派寄り」と受け止められた。
ハイテク株への売りが勢いづいた。ソフトウエアのマイクロソフトは4%安、スマートフォンのアップルは3%安となった。アナリストの投資判断引き下げも重なった顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムは8%安と急落した。
金融政策の影響を受けやすい中短期債の利回りは長期債以上に上昇したため、長短金利差の縮小が利ざや悪化につながるとの懸念からゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースといった金融株も売られた。スポーツ用品のナイキやホームセンターのホーム・デポなど消費関連株の一角も安い。
ナスダック総合株価指数は続落し、前日比522.545ポイント(3.3%)安の1万5100.174で終えた。下げ幅は2020年9月以来、1年4カ月ぶりの大きさ。主力株が軒並み売られた。アナリストが投資判断を引き下げたソフトウエアのアドビは7%安となった。画像処理半導体のエヌビディアは6%安、電気自動車のテスラは5%安で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
36,407.11-392.54
S&P500種
4,700.58-92.96
ナスダック
15,100.174-522.545
NY金(ドル/トロイオンス)
1,825.10+10.50
NY原油(ドル/バレル)
77.19+0.20
円・ドル
116.07 – 116.15+0.04
【シカゴ日本株先物概況】
5日のシカゴ日経平均先物は反落した。3月物は前日比270円安の2万9000円で引け、5日の大取終値を270円下回った。
NYダウは、急速な金利高を警戒し大幅下落に転じた。5日発表の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受け、金融引き締めの前倒しを警戒する売りが出た。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
29000 ( -270 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
29045 ( -225 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7516.87(+11.72)
5日のFTSE100種総合株価指数は続伸した。前日の終値に比べ11.72ポイント(0.16%)高の7516.87で引けた。前日に続き、終値ベースで2020年2月以来1年11カ月ぶりの高値だった。構成銘柄の6割近くが上昇した。
鉱業株とエネルギー株が株価指数を押し上げた。
個別では、ネット専業スーパーのオカド・グループが3%超の上昇。アナリストが投資判断を「買い」に引き上げたことなどが好感された。鉱業のアングロ・アメリカンの上昇も目立った。投資信託のスコティッシュ・モーゲージ・インベストメント・トラストは売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 16271.75(+119.14)
5日のドイツ株式指数(DAX)は4日続伸した。終値は前日と比べて119.14ポイント(0.74%)高の1万6271.75と、終値ベースで最高値を更新した。
新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」に対する投資家の懸念が後退する中、年明け以降のリスク選好姿勢が持続している。欧州全体では自動車株の上昇が目立った。
中でもダイムラーは4%高と目立った。BMWは、4日にBMWブランドの2021年販売台数が過去最多を記録したと発表し、買われた。電力のRWEは下落した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7376.37(+58.96)
フランスの株価指数CAC40は終値ベースで連日の最高値更新だった。
