NYダウ反落288ドル安 米景気悪化の懸念

 
4月30日のNYダウ工業株30種平均は前日比288ドル14セント(1.2%)安の2万4345ドル72セントと反落で終えた。
景気悪化を示す米経済指標の発表が相次ぎ、投資家心理を冷やした。ダウ平均は前日に約1カ月半ぶりの高値をつけていたため、利益確定売りも出やすかった。
ダウ平均は4月に入り、新型コロナ感染封じ込めのため、事実上停止している経済活動の再開に向けた動きへの期待から11.1%上昇した。米メディアによると、上昇率は1987年1月(13.8%)以来の大きさとなった。
 
朝方発表された米新規失業保険申請件数は、約380万件と高水準が継続した。新型コロナの影響が本格化し始めた3月中旬から6週間の累計は3000万件を超え、深刻な労働市場の悪化を示した。3月の米個人消費支出(PCE)も過去最大の落ち込みとなった。また、シカゴ購買部協会が発表した4月の景気指数は前月から12.4ポイント低下の35.4と11年ぶりの低水準だった。
こうした経済指標が投資家心理を冷やし、幅広い業種で売りが先行した。
 
市場では「米経済が後退期に入り、相場が再び下げる可能性が意識された」との声が聞かれた。業績が景気の影響を受けやすい銀行株や資本財株をはじめ幅広い銘柄に売りが出た。
 
米経済活動の再開期待や新型コロナウイルスの治療薬開発の進展を好感して、ダウ平均は4月に入って前日までに12%上昇していた。3月下旬の直近安値からは3割強戻しており、利益確定や持ち高調整の売りが出やすかった。
 
ダウ平均の構成銘柄では保険のトラベラーズやクレジットカードのアメリカン・エキスプレスが下落。30日朝に発表した2020年1~3月期決算が減収減益となった外食のマクドナルドも小幅安で終えた。
 
セクター別では自動車・自動車部品や耐久消費財・アパレルが大きく下落した一方、小売りや家庭・パーソナル用品が上昇した。
 
ナスダック総合株価指数は前日比25.16ポイント(0.3%)安の8889.55で終えた。半導体やバイオ製薬の一角が下落し、指数の重荷になった。一方、前日夕に市場予想を上回る四半期決算を発表したSNS(交流サイト)大手のフェイスブックは大幅高。同様に前日発表した決算が予想以上だったソフトウエアのマイクロソフトも高い。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,345.72-288.14
S&P500種
2,912.43-27.08
ナスダック
8,889.551-25.159
NY金(ドル/トロイオンス)
1,694.20-19.20
NY原油(ドル/バレル)
18.91+0.07
円・ドル
107.08 – 107.09+0.49

 


【シカゴ日本株先物概況】

30日のシカゴ日経平均先物6月物は前日比410円安の1万9990円で引け、30日の大取終値を70円下回った。
週次新規失業保険申請件数が過去6週間で3000万件に達したほか、3月個人消費支出(PCE)は過去最大の落ち込みを記録するなど悲惨な結果となり投資家心理が悪化を手掛かりに、日経平均先物は米株とともに売られた。月末の持ち高調整の動きもあった。
 
週間の新規失業保険申請件数は383万9000件となり、6週間で3000万件を超えた。シカゴ購買部協会の4月の景気指数は11年ぶりの低水準に落ち込んだ。
この日の6月物安値は1万9810円、高値は2万0450円。
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
19990 ( -70 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
20035 ( -25 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 5901.21(-214.04)
30日のFTSE100種総合株価指数は4日ぶりに反落した。前日の終値に比べ214.04ポイント安い5901.21と全面安となった。
時価総額の大きい英・オランダ系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルが戦後初の減配を発表するなど、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済的なダメージの大きさが企業決算によって浮き彫りとなった。欧州中央銀行(ECB)の金融政策発表に対する失望や、英通貨ポンド高にも圧迫され、この日の安値圏で引けた。
 
個別銘柄では、シェルは11%安で取引を終えた。同社は30日、2020年1~3月期の調整後純利益が前年同期比46%減の28億6000万ドル(約3050億円)だったと発表。減配にも踏み切り、失望売りが広がった。
銀行株の下げも目立った。ロイズ・バンキング・グループが7%安と急落し、他の銀行株にも売りが波及した。ロイズは30日、20年1~3月期の税引き前利益が前年同期比95%減の7400万ポンドだったと発表。大幅減益を嫌気した売りが出た。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 10861.64(-246.10)
30日のドイツ株式指数(DAX)は4日ぶりに反落した。終値は前日と比べて246.10ポイント(2.2%)安の10861.64だった。
欧州主要600社の株価指数であるストックス600も下落し、終値は同7.03ポイント(2.0%)安の340.03だった。低調な決算を発表した銘柄に売りが膨らんだ。
4月の失業率が5.8%と市場予想(5.2%)を上回った。きょう開催のECB理事会の結果を見極めたく、様子見姿勢が強まっている。
 

■フランス・パリ株価指数
CAC40 4572.18(-98.93)
フランス株は小幅高。1-3月期GDPが前期比5.8%減と市場予想(同4.0%減)より悪化したものの、特段材料視されていない。

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