2日のNYダウ工業株30種平均は前日比134ドル09セント安の2万7682ドル81セントと3営業日ぶりに反落で終えた。
トランプ米大統領は2日未明、ツイッターで自身とメラニア夫人が新型コロナウイルスの感染検査で陽性だったと表明した。政治活動が制約され、大統領選の選挙活動への影響は確実。市場では、政治的不透明感の高まりから投資家のリスク回避姿勢が強まり、売りが先行して取引が始まった。ただ、追加経済対策への期待から景気敏感株には買いが入り、相場を下支えした。
トランプ氏の症状は軽度で現段階では職務を継続するとみられているが、集会などの選挙活動は当面中止となる。大統領選や経済政策への影響が警戒され、リスク回避の株売りが幅広い銘柄で先行した。ダウ平均は取引開始直後に430ドルあまり下げる場面があった。
ハイテクやヘルスケア株の下げが目立った。スマートフォンのアップル、ソフトウエアのマイクロソフト、ネット通販のアマゾン・ドット・コムは3%前後下げた。バイオ製薬のアムジェンは4%安で終えた。景気敏感株など割安株を買い、株価指標面で相対的に割高感がある成長株を売る取引が広がったとの見方があった。
ただ、午後に入ると、追加経済対策に関連し、米民主党のペロシ下院議長が、航空会社の雇用支援で米政府・共和党との合意が「間近だ」と表明した。対策全体をめぐっても協議進展への期待が高まり、ダウ平均は一時プラスに転じる場面もあった。
個別では、業績が景気の影響を受けやすい化学のダウ、建機のキャタピラーなどの上げが目立った。JPモルガン・チェースなど銀行株も底堅く推移した。
取引開始前に発表された9月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数が前月比66万1千人増と市場予想(80万人増)を下回った。朝方は景気敏感株の売り材料になったが、次第に「雇用情勢の改善の遅れが経済対策の与野党合意を促す」との見方につながった。
ナスダック総合株価指数は前日比251.49ポイント安の1万1075.02で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
27,682.81-134.09
S&P500種
3,348.44-32.36
ナスダック
11,075.016-251.491
NY金(ドル/トロイオンス)
1,907.60-8.70
NY原油(ドル/バレル)
37.01-1.71
円・ドル
105.34 – 105.36-0.19
【シカゴ日本株先物概況】
2日のシカゴ日経平均先物は下げた。12月物は前日比160円安の2万3175円で引け、2日の大取終値を195円上回った。
トランプ米大統領のコロナ陽性がショックとなったほか、米9月雇用統計の下振れも嫌気され大幅安でスタートした。しかし、民主党のペロシ下院議長が航空業界の救済策が近いと発言したことで景気循環株が買われ下落幅を縮小した。引けにかけては米追加経済対策を巡る与野党の合意期待が広がり、米株につれて下げ幅を縮めた。
この日の12月物高値は2万3345円、安値は2万2935円。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
23175 ( +195 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
23220 ( +240 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
2日のFTSE100種総合株価指数は続伸した。前日の終値に比べ22.67ポイント高の5902.12で引けた。FT指数は安寄り後に5800台前半で横ばい推移。午後に入って水準を5800台後半に戻すと、終盤になって切り返し、この日の高値圏で引けた。
構成銘柄の約6割が下落したが、指数への寄与度が大きい鉱業株の一部と金融株が買い戻され、相場を押し上げた。
朝方のトランプ米大統領の新型コロナウイルス感染報道で、欧州株は売りが先行して始まった。午前に一時、前日終値比で1%超下げる局面もあったが、引けにかけて上昇に転じた。
午前は下げていたロシアの鉄鋼大手エブラズが高く引けた。
個別銘柄では、鉱業のBHPグループなども買いに転じた。銀行株はバークレイズを除き全銘柄が買い戻された。資産運用のスタンダード・ライフ・アバディーンを初め、資産運用関連株と保険株も上昇した。景気動向に左右されにくい公益事業株や、住宅建設株にも買いが入った。
一方、原油相場が大幅安となり、石油株が下落した。航空機エンジンのロールス・ロイスが安かった。前日に発表した資金調達計画が引き続き売り材料視された。ネット専業スーパーのオカド・グループは、ノルウェー企業が特許侵害でオカドを提訴したことが嫌気され下落した。外国為替市場でポンド高が進み、医薬品株など多国籍企業銘柄に対する売りも目立った。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
2日のドイツ株式指数(DAX)は4日続落した。終値は前日と比べて41.73ポイント安の1万2689.04だった。
トランプ米大統領が新型コロナウイルスに感染したとの報道を受けてリスク回避の売りが優勢だった。医薬・農薬大手のバイエルが続落し、安かった。複数のアナリストが目標株価を引き下げたことが響いた。
個別では、前日に急上昇した半導体のインフィニオンテクノロジーズは利益確定の売りが出て下げた。フォルクスワーゲン(VW)にも売りが続いた。一方、素材メーカーのコベストロと電力株の上げが目立った。
