NYダウ反落 27ドル安 米中摩擦の警戒根強く

29日のNYダウ工業株30種平均は前日比27ドル59セント安の2万5338ドル84セントと4日営業日ぶりに反落で終えた。
前日の大幅高の反動で利益確定の売りが先行。激化する米中貿易摩擦の影響も相場の重しとなった。両国は貿易問題を協議するための首脳会談を週末に予定しており、神経質な商いとなった。
 
トランプ米大統領は30日から始まる20カ国・地域(G20)首脳会議の開催地であるアルゼンチンに出発する前に記者団に対し、貿易問題での中国との合意について「成果にとても近づいていると思うが実現するかは分からない」と語った。貿易協議が不調に終われば制裁関税の対象を中国からの全輸入品に拡大すると重ねて表明していたこともあり、投資家のリスク回避姿勢がやや強まった。
 
米中の貿易摩擦への警戒感は根強く、半導体のインテルやアップルなどハイテク株への売りが目立った。米長短金利差の縮小で利ざやが悪化するとの思惑からゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株も下げた。
 
ただ、7~8日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が午後に公表されると、相場は上げる場面があった。一部の参加者が、今の政策金利が景気を加速も減速もさせない「中立水準付近」にあるとして、今後の利上げペースは不透明と主張していた。来年以降の利上げ継続への警戒感が一段と後退し、買いを誘った。
 
セクター別では素材やメディアが上昇する一方で、半導体・半導体製造装置やソフトウェア・サービスが下落した。
 
ナスダック総合株価指数前日比18.510ポイント安の7273.082で終えた。アマゾン・ドット・コムが小幅に下落したほか、エヌビディアなど半導体関連銘柄に売りが目立った。
 
個別銘柄では、アパレルのアバクロンビー&フィッチ(ANF)は、決算内容が好感され、大幅上昇。ディスカウントストアのダラー・ツリー(DLTR)は、利益が予想を上振れ堅調推移。ファストフードのマクドナルド(MCD)は、モルガン・スタンレーによる投資判断引き上げを受け買われた。
 
一方で、アパレルのエクスプレス(EXPR)は、慎重な業績見通しが嫌気され下落。一部アナリストが世界的な「iPhone」需要後退を指摘し、シーラス・ロジック(CRUS)、スカイワークス・ソリューションズ(SWKS)、コルボ(QRVO)などの部品サプライヤーが軒並み売られた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
25,338.84-27.59
S&P500種
2,737.80-5.99
ナスダック
7,273.082-18.510
NY金(ドル/トロイオンス)
1,223.60+10.20
NY原油(ドル/バレル)
51.28+0.99
円・ドル
113.48 – 113.49+0.24

 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は4営業日ぶりに反落した。
12月物は前日比105円安の2万2290円で取引を終えた。
大阪取引所の終値を50円上回った。
米株式に利益確定売りが出たのにつれて、日経平均先物にも売りが出た。
ただ、午後発表の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で、政策メンバーの一部が現在の政策金利が中立水準近くにあると表明していたことが明らかになり、米株が買われる場面があった。
 
この日の12月物の高値は2万2430円と前日終値を上回った。安値は2万2195円。
 
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
22290 ( +50 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
22300 ( +60 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7038.95(+34.43)
FTSE100種総合株価指数は資源株の主導で3営業日ぶりに反発し、FT100種平均株価指数は前日比34.43ポイント高の7038.95で終了した。指数採用銘柄の約6割が値上がりした。
 
28日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演をきっかけに米利上げの打ち止めが近いとの思惑が広がり、同日の米国株が上昇したことから英国株も買われた。鉱業株の値上がりが指数を押し上げた。ただ、この日の米国株が下げ幅を広げると、英国株もやや伸び悩んだ。
 
個別銘柄では、銅価格の上昇を背景に、鉱業関連株は軒並み大幅高となった。アントファガスタは3.7%高と値上がりが目立った。原油相場が上昇に転じたことにともない、石油のロイヤル・ダッチ・シェルは買い戻された。最高経営責任者(CEO)が2019年5月に交代すると発表した建機・産業機器レンタルのアシュテッド・グループは4%近く上がった。医薬品株も上昇した。
 
半面、水道のセバーン・トレントと不動産投資信託(REIT)のランド・セキュリティーズはともに配当権利落ちで4.9%安と大幅に下げた。REITのブリティッシュ・ランドの値下がりも目立った。英同業のイントゥ・プロパティーズの急落が響いた。投資会社3社からなるコンソーシアムがイントゥの買収を断念したとの発表がきっかけだった。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11298.23(-0.65)
ドイツ株式指数(DAX)は3日続落した。終値は前日と比べて0.65ポイント安の11298.23だった。米利上げの打ち止めが近いとの観測で、欧州各国の株式相場は上がって始まったものの、午後に米国株が下げ幅を広げると、欧州各国の株式相場は一部で下げに転じた。
 
個別では、ドイツ銀行が3%超下がった。ドイツの検察当局がこの日、同行に対して資金洗浄の疑いで家宅捜索に入ったとの報道が嫌気された。ドイツ取引所と電力のエーオンも下落した。
一方、オンライン決済サービスのワイヤーカードと航空のルフトハンザは買われた。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5006.25(+23.01)

 

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