3日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落した。前日比233ドル92セント(0.8%)安の2万8634ドル88セントで終えた。
2日夜に米国防総省がイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官を殺害したと発表。イランが報復を宣言し、中東情勢が緊迫化した。3日午前は、投資家がリスク回避の姿勢を強め、幅広い銘柄が売られ、急反落して始まった。
米サプライマネジメント協会(ISM)が3日発表した2019年12月の製造業景況感指数は市場予想に反して前月から低下した。景気拡大・縮小の境目である50を5カ月連続で割り込み、09年6月以来10年半ぶりの低水準となった。景気敏感とされる資本財関連や素材株などが売られた。ダウ平均では化学のダウや建機のキャタピラーなどの下げが目立った。
地政学リスクの高まりを背景に安全資産とされる米国債が買われて米長期金利が低下し、利ざや悪化懸念からJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスといった金融株も安い。原油先物相場が上げ、燃料費が上昇すれば業績の重荷になるとの見方からユナイテッド航空やアメリカン航空など空運株も軒並み売られた。
ダウ平均は下げ幅を朝方に一時368ドルに広げたが、売り一巡後は下げ渋った。年初の新規資金が流入し、相場を下支えした。地政学リスクの高まりを背景に軍需関連株のロッキード・マーチンやノースロップ・グラマンなどに買いが集まった。米金利の低下を受け、継続的な配当が期待される公益事業株や不動産株も上昇した。
3日に発表した19年10~12月期の出荷台数が前年同期を下回った自動車のゼネラル・モーターズ(GM)は売られた。一方、19年10~12月期の出荷台数が市場予想を上回った電気自動車(EV)のテスラは買われ、上場来高値を更新した。
一方、連邦準備制度理事会(FRB)は同年12月10、11両日の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を発表したが、市場への影響は限定的だった。
セクター別では、不動産や商業・専門サービスが上昇する一方で、自動車・自動車部品や半導体・半導体製造装置が軟調。
ナスダック総合株価指数は前日比71.419ポイント(0.8%)安の9020.770で終えた。アマゾン・ドット・コムやソフトウェアのマイクロソフトが1%強下げた。半導体関連株も売りが優勢だった。
NYダウ工業株30種(ドル)
28,634.88-233.9
S&P500種
3,234.85-23.00
ナスダック
9,020.770-71.419
NY金(ドル/トロイオンス)
1,552.40+24.30
NY原油(ドル/バレル)
63.04+1.86
円・ドル
108.06 – 108.07-0.45
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は反落した。
3月物は前日比400円安の2万3290円で引け、30日の大取終値を350円下回った。
米軍がイランの大物司令官を殺害したため中東情勢の緊迫化への懸念が広がり、日経平均先物は、米株とともに売り進まれた。
3日発表の米サプライマネジメント協会(ISM)の19年12月の製造業景況感指数が約10年半ぶりの低水準となったことも投資家心理を悪化させた。
この日の3月物安値は2万3140円、高値は2万3775円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
23290 ( -350 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
23315 ( -325 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
3日のFTSE100種総合株価指数は小幅続伸した。前日の終値に比べ18.10ポイント高の7622.40で引けた。構成銘柄の約6割が下落したものの、石油株などの大型株が上昇し指数を押し上げた。
米軍によるイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官殺害を受け、株価は寄り付きから中東情勢緊迫を背景とした売りに押された。売り一巡後は時価総額の大きい医薬品や鉱業株の一角が買いに転じた。また、原油価格の急上昇が主力の石油株を押し上げるなどし、わずかに切り返した。
個別銘柄では、ロシアの金銀生産大手のポリメタル・インターナショナルは上げた。たばこ株の上げが目立った。米食品医薬品局(FDA)が2日に発表したフレーバー付き電子たばこ製品に関する規制の枠組みについて、たばこ業界への経済的な影響は最小限にとどまるだろうとのアナリストの見方が買い材料視された。医薬品株は全銘柄が上げ、鉱業のBHPグループと資源商社のグレンコアも上昇して引けた。
半面、格安航空大手イージージェットは3.4%安と大幅に下落した。原油高による燃料コスト増が業績を圧迫するとの懸念が売りを誘った。同業の航空のインターナショナル・エアラインズ・グループと、旅行のTUIも売られた。銀行株を筆頭に金融株も安かった。欧州市場で長期金利が軒並み低下したことを受けて、利ざや縮小を意識した売りが出た。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
3日のドイツ株式指数(DAX)は大幅に反落した。終値は前日と比べて166.79ポイント(1.25%)安の13219.14だった。
中東情勢の緊迫化を警戒した売りが優勢だった。前日の上昇率(1.03%)を相殺する形となった。
個別では、原油相場の急上昇を受けて航空のルフトハンザは6%超下げた。ハイデルベルクセメントや自動車株の下げも目立った。医薬・化学大手のメルクは高く引けた。オンライン決済サービスのワイヤーカードは小幅ながら続伸した。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40が小幅ながらも上昇に転じ、連日で2007年7月以来の高値(終値ベース)となった。
