5日のNYダウ工業株30種平均は反落した。前日比969ドル58セント安の2万6121ドル28セントで終えた。
米西部カリフォルニア州のニューサム知事は4日、新型コロナに感染した州内の患者1人の死亡を受けて非常事態を宣言。西部ワシントン州でも死者数は2桁に達した。東部ニューヨーク州でも感染者が22人に倍増するなど、米国内で続々と感染者が確認される中、この日の市場ではリスク回避の動きが加速。航空株など旅行・レジャー関連銘柄を中心に売られ、ダウの下げ幅は一時1147ドルに達した。
事態が収束する気配が見えず、投資家に懸念が広がった。
投資家心理を測る指標である米株の変動性指数(VIX)は一時40台に上昇した。不安心理が高まった状態とされる20を大きく上回った。米株相場は連日急騰と急落を繰り返しており、相場の不安定感が高まっている。
米債券市場ではリスク回避の債券買いが広がり、長期金利は一時0.89%と過去最低を更新した。貸し出し利ざやの縮小につながるとの見方から、JPモルガン・チェースなど銀行株が大幅に下げた。原油先物相場の下落を受け、エクソンモービルやシェブロンなど石油株も売られた。
航空旅客の減少が懸念され、アメリカン航空グループとユナイテッド航空ホールディングスがともに13%安となるなど空運株が急落。航空機の納入先送りが増えるとの見方から、航空機のボーイングと航空機エンジンを手がけるユナイテッド・テクノロジーズが大幅安となりダウ平均を押し下げた。
空運や鉄道、物流株で構成し、米景気動向を映すとされるダウ輸送株平均は5.3%安となった。下げ幅は501ドルと、データが入手できる10年3月以降で最大だった。
米議会上院は5日、新型コロナ感染拡大に伴う緊急対策を盛り込んだ予算案を賛成多数で可決。トランプ政権が想定していた額の3倍以上に当たる総額83億ドル(約8800億円)規模となった。ただ、予算規模は前日に明らかになっていたため、この日は買い材料視されなかった。
市場では「新型コロナの問題は先行きがどうなるか読めない。投資家はどの辺りで押し目買いを入れてよいか考えあぐねている」との声が聞かれた。
セクター別では消費者サービスが大きく売られた一方で、食・生活必需品小売りの下落は最小限にとどまった。
ナスダック総合株価指数は反落した。前日比279.493ポイント安の8738.595で終えた。グーグルの親会社アルファベットが5%安と下げが目立った。
NYダウ工業株30種(ドル)
26,121.28-969.58
S&P500種
3,023.94-106.18
ナスダック
8,738.595-279.493
NY金(ドル/トロイオンス)
1,668.00+25.00
NY原油(ドル/バレル)
46.01-0.77
円・ドル
106.09 – 106.10-1.27
【シカゴ日本株先物概況】
5日のシカゴ日経平均先物は反落した。
3月物は前日比600円安の2万0790円で引け、中心限月物終値ベースで19年9月3日以来、約半年ぶりの安値をつけた。5日の大取終値を580円下回った。
新型コロナウイルスの感染拡大が続き、景気悪化を警戒する売りが広がった。
5日のNYダウ工業株30種平均は一時1100ドルを超える下げ幅を記録し、恐怖指数と呼ばれる株価変動率指数(VIX)は一時40近い高水準となり、投資家の不安心理を映した。
この日の3月物安値は2万0740円、高値は2万1455円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
20790 ( -580 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
20795 ( -575 )
※( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6705.43(-110.16)
5日のロンドン株式市場で、FTSE100種総合株価指数は新型コロナウイルスの感染拡大をめぐる懸念から投資家のリスクオフが強まり、4営業日ぶりに大幅反落した。
前日の終値に比べ110.16ポイント(1.62%)安の6705.43で引けた。構成銘柄の約8割が下落した。
英国を含め欧州でも新型コロナウイルスの感染が広がり、景気下振れ懸念が強まった。国際通貨基金(IMF)は4日、2020年の世界経済の成長率予測について、金融危機直後の09年来、11年ぶりの低成長になる可能性を示した。幅広い業種に売りが広がった。なかでも資源と銀行株の下げが株価指数の下落に大きく影響した。
個別銘柄では、メディアのITVは12%下げた。19年通期の利益は市場予想を上回ったが、新型コロナの影響で4月の広告収入が減少するとの見通しを示したことが嫌気された。ロシアの鉄鋼大手エブラズも12%近く下落した。鉱業のリオ・ティントとBHPグループ、住宅建設のパーシモンはそれぞれ配当権利落ちで売られた。クルーズ運航のカーニバルなど旅行関連株の下げも目立った。
一方、ブリティッシュ・アメリカン・タバは1.3%高とたばこ株は買われた。保険のアドミラル・グループも19年通期の税引き前利益が増加し2.6%高と上昇した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11944.72(-182.97)
5日のドイツ株式指数(DAX)は3日ぶりに反落した。終値は前日と比べて182.97ポイント(1.51%)安の11944.72だった。
欧州でも新型コロナウイルスの感染が広がり、景気を下押しするとの懸念が強まった。欧州各国ともそろって売りが広がった。
個別では、タイヤのコンチネンタルが12%下げた。乗用車向けの需要が世界規模で落ち込み、2019年通期に純損失となったことが嫌気された。19年通期の業績を発表した消費財のヘンケルも大幅安だった。20年の業績見通しを据え置いたものの、先行きが不透明で予想するのは難しいとした。航空のルフトハンザの下げも目立った。同社は5日、3月にグループ全体で欧州便7100便を運航休止にすると発表した。上昇したのは日用品のバイヤースドルフを含む5銘柄だけだった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5361.10(-103.79)
フランスの株価指数CAC40の終値が前日に比べて2%近く下落した。
