NYダウ反落、96ドル安、ウクライナ情勢不透明

3日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比96ドル69セント安の3万3794ドル66セントで終えた。
ウクライナ情勢をめぐる先行き不透明感が増す中、方向感を欠く展開となった。

航空機のボーイングが大幅安となり、ダウ平均の重荷となった。ボーイングが前日比5%下落し、1銘柄でダウ平均を58ドル程度押し下げた。

一方、米原油先物相場が3日未明に一時13年5カ月ぶりの高値を付けた後、下げに転じた。ウクライナ情勢を巡る警戒感は強いものの、原油高が世界経済に与える悪影響を巡る懸念がやや薄れ、景気敏感株などに買い直しが入っている。

ロシアによるエネルギー供給の減少で需給が逼迫するとの見方から、米原油先物相場は3日未明に一時116ドル台と2008年9月以来の高値を付けた。ただ、3日朝方に「イラン核合意が近くまとまる可能性がある」との観測が浮上すると、イラン産原油の禁輸が解除され需給逼迫が和らぐとの見方が強まった。米原油先物相場は一時106ドル台まで下げた後、109ドル台と前日終値(110.60ドル)を下回っている。

地政学リスクに対する警戒もやや和らいでいる。ロシアのラブロフ外相は3日、ロシア軍のウクライナ侵攻について「危機の解決方法は見つかる。我々の最低限の条件は知られている」と述べ、ウクライナ側と停戦を巡る対話を進める姿勢をみせた。両国代表団は2回目の停戦交渉中とみられている。

ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は同日の上院委員会で証言し、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で原油価格が高騰し、インフレ圧力が強まることへの懸念を表明。3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げするする考えを改めて示した。FRBが金融引き締めを積極的に進めるとの懸念が相場の重荷となった。

顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムやソフトウエアのマイクロソフトなどハイテク株が安い。スポーツ用品のナイキや映画・娯楽のウォルト・ディズニーなど消費関連株も安い。一方、小売りのウォルマートやバイオ製薬のアムジェンといったディフェンシブ株は買われ、ダウ平均を下支えした。

ナスダック総合株価指数は反落し、前日比214.075ポイント(1.6%)安の1万3537.941で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや電気自動車のテスラ、動画配信のネットフリックスの下げが目立った。
 


【シカゴ日本株先物概況】

3日のシカゴ日経平均先物は反落した。3月物は前日比300円安の2万6370円で引け、3日の大取終値を290円下回った。ウクライナ情勢の先行き警戒感が根強いなか、日経平均先物は米株とともに売られた。
米金融政策の先行きを見極めたいと、積極的な取引を手控える向きも多い。市場は4日発表の2月の米雇用統計に注目している。

シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
26370 ( -290 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
26370 ( -290 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
3日のFTSE100種総合株価指数は大幅に反落した。前日に比べ190.71ポイント(2.57%)安の7238.85で引けた。ロシアがウクライナへの攻撃を強めており、紛争の長期化が意識されている。欧米の対ロ経済制裁による世界経済への悪影響を懸念した売りが出た。エネルギーや銀行など景気敏感セクターへの売りが目立った。

FTSEは、ロシア企業の産金・産銀大手ポリメタル・インターナショナルと鉄鋼大手エブラズが、それぞれ42%安、12%安と大きく売られた。英民放ITVも28%の急落となった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
3日のドイツ株価指数(DAX)は大幅に反落し、前日比301.71ポイント(2.16%)安の1万3698.40と、1年1カ月ぶりの安値で終えた。ウクライナ情勢の先行き不透明感の強まりが、投資家心理を冷やした。欧米による強力な対ロ経済制裁が、経済的な結びつきの強いドイツ経済を下押すとの懸念は根強く、幅広い銘柄に売りが出た。
個別では、独自動車大手メルセデス・ベンツが6%安と軟調。CACでは仏石油大手トタルエナジーズが3.8%安とさえなかった。

■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は1.84%安となった。
欧米の対ロシア制裁が欧州経済にも打撃を与えるとの懸念が広がった。石油や天然ガスなどの資源価格の高騰でインフレが一段と加速し、家計や企業活動を圧迫するとの見方が強まっている。

 

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