NYダウ反落 74ドル安 雇用統計の弱さが重荷

3日のNYダウ工業株30種平均は反落した。前日比74ドル73セント安の3万5369ドル9セントで終えた。3日発表の8月の米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回った。米国の景気回復が鈍化するとの懸念が強まり、景気敏感株の一角が売られた。
米労働省が朝方発表した8月の雇用統計では、非農業部門の就業者数が前月比23万5000人増と、市場予想の半分以下にとどまった。新型コロナウイルス変異株の感染拡大が響き、前月からの伸びが大幅に縮小。これまで雇用改善をけん引してきたサービス業の回復に急ブレーキが掛かった。
新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)の感染拡大が影響したとみられる。「(労働市場の)改善は続いているものの、6月や7月に比べるとペースは大きく鈍化した」(TD証券)と受け止められた。
 
米サプライマネジメント協会(ISM)が3日発表した8月の非製造業(サービス業)景況感指数も61.7と、過去最高だった7月から低下した。サービス業の拡大ペースの鈍化が意識された。
 
米景気の回復鈍化への懸念から、業績が景気の影響を受けやすい景気敏感株の一角が軟調だった。クレジットカードのアメリカン・エキスプレスや航空機のボーイングが下げた。化学のダウや建機のキャタピラーも安い。ダウ平均構成銘柄以外ではクルーズ船の株価の下げが目立った。
 
米景気の持ち直しが緩やかになるとの見方は、米連邦準備理事会(FRB)のテーパリング(量的金融緩和の縮小)の開始決定に時間がかかるとの観測にもつながった。顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムが上げた。小売りのウォルマートやホームセンターのホーム・デポも堅調だった。
 
ナスダック総合株価指数は小幅に3日続伸した。前日比32.339ポイント高の1万5363.516で終え、過去最高値を更新した。インターネット通販のアマゾン・ドット・コムなど主力ハイテク株が堅調だった。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
35,369.09-74.73
S&P500種
4,535.43-1.52
ナスダック
15,363.516+32.339
NY金(ドル/トロイオンス)
1,833.70+22.20
NY原油(ドル/バレル)
69.10-0.89
円・ドル
109.69 – 109.71-0.31

 


【シカゴ日本株先物概況】

3日のシカゴ日経平均先物は大幅に続伸した。9月物は前日比985円高の2万9595円で引け、3日の大取終値を435円上回った。菅義偉首相が3日に自民党総裁選への不出馬を表明し、新政権発足に向けて新たな経済対策が導入されるとの期待から買われた。
8月雇用統計の雇用者数が予想を大幅に下回る伸びに留まったため、景気回復ペースの減速を警戒した売りが広がり、寄り付き後、下落。ダウは終日軟調に推移したが、反応は限られた。

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
3日のロンドン株式市場で、FTSE100種総合株価指数は3日ぶりに反落した。前日の終値に比べ25.55ポイント(0.4%)安の7138.35で引けた。
午前は買いが優勢だったが、午後にかけて下げた。週末を控えて持ち高調整の売りも出やすかった。米雇用統計で非農業部門就業者数の伸びが市場予想を大きく下回ったことで、経済の先行き懸念が強まり、売りが優勢となった。指数構成銘柄の約7割が下落した。
石油株が安かった。午前は上昇していた医薬品株や銀行株には利益確定の売りも出て下落した。
個別銘柄ではネット専業スーパーのオカド・グループは、4.1%安と下げが目立った。航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が2.5%安、航空機エンジン製造大手ロールス・ロイスと流通・アウトソーシング会社ブンズルが2.2%安と売られた。
 
一方、金属相場の上昇を追い風に資源株は上げた。投資会社のメルローズ・インダストリーズは続伸した。複数のアナリストが目標株価を引き上げたことが材料になった。
 

■ドイツ・フランクフルト株価指数
3日のドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前日と比べて59.39ポイント安の1万5781.20だった。
個別では、料理宅配大手のデリバリーヒーローやハイデルベルクセメントを筆頭に幅広い銘柄に売りが広がった。産業機器のシーメンスなど3銘柄が上昇した。

■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)6,689.99 -73.09
 

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