16日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比54ドル77セント(0.2%)高の3万6142ドル22セントで終えた。
米商務省が朝方発表した10月の小売売上高は前月比1.7%増となり、市場予想(1.4%増)を上回った。米国ではインフレ率上昇が懸念されているが、米GDPの7割を占める個人消費が堅調なことを示し、景気回復を後押しするとの見方が広がった。
クレジットカード大手マスターカードによると、米年末商戦の幕開けとなる11月下旬の小売売上高は前年同期比1割増と予想されている。「年末商戦は好調なスタートとなる。好調な労働市場や家計の過剰貯蓄が個人消費を加速させる」との期待が相場を押し上げた。
スポーツ用品のナイキや映画・娯楽のウォルト・ディズニーが高い。ホーム・デポは6%上昇し、1銘柄でダウ平均を約140ドル押し上げた。ダウ平均の構成銘柄以外でもホームセンターのロウズやディスカウントストアのターゲットなど幅広い小売株が買われた。
ゴールドマン・サックスは16日、S&P500種株価指数が22年末時点で5100まで上昇するとのリポートを公表した。16日終値を8%上回る。企業業績の伸びに加え、名目金利から期待インフレ率を引いた実質金利のマイナスが続き、株式に資金が流れやすい状況が続くと説明した。
ダウ平均は上値が重くなる場面もあった。前日に大幅に上昇した航空機のボーイングが売られ、指数の重荷となった。小売りの中でも、減益の四半期決算が嫌気されたウォルマートは下落した。
ナスダック総合株価指数は反発し、前日比120.009ポイント(0.8%)高の1万5973.855で終えた。スマートフォンのアップルなど主力ハイテク株が買われた。ソフトウエアのマイクロソフトは上場来高値を更新した。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やクアルコムなど半導体関連株の一角も上昇した。
NYダウ工業株30種(ドル)
36,142.22+54.77
S&P500種
4,700.90+18.10
ナスダック
15,973.855+120.009
NY金(ドル/トロイオンス)
1,854.10-12.50
NY原油(ドル/バレル)
80.58-0.30
円・ドル
114.78 – 114.84+0.52
【シカゴ日本株先物概況】
16日のシカゴ日経平均先物は続伸した。12月物は前日比105円高の2万9825円で引け、16日の大取終値を55円上回った。
NYダウは、良好な小売り企業の決算を好感し、寄り付き後、上昇。また、11月小売売上高や住宅市場指数、10月製造業指数などが予想を上回ったため経済の強い回復期待も手伝い終日堅調に推移した。米企業の決算や経済指標を手掛かりに景気回復への期待が広がり日経平均先物は、米株とともに買われた。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
29825 ( +55 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
29840 ( +70 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7326.97(-24.89)
16日のFTSE100種総合株価指数は反落した。前日の終値に比べ24.89ポイント(0.3%)安の7326.97で引けた。ポンド高を嫌気して売りが優勢となり、指数構成銘柄の約6割が下落した。
個別銘柄では、時価総額の大きい医薬品のアストラゼネカが4%下落するなど、医薬品株の下落が株価指数に大きく影響した。サイバーセキュリティのダークトレースも売られた。
一方、携帯電話サービスのボーダフォン・グループは5%近く上げた。2022年3月期通期の利益見通しを引き上げたことが好感された。不動産投資信託(REIT)のランド・セキュリティーズも上昇した。21年4~9月期の税引き前利益が黒字回復し、買い材料となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 16247.86(+99.22)
16日のドイツ株式指数(DAX)は5日続伸した。終値は前日と比べて99.22ポイント(0.6%)高の1万6247.86と、終値ベースで連日の最高値更新となった。欧州の利上げ観測の後退などが買いを誘った。
個別では、分子診断のキアゲンは4%超上昇した。米企業によるM&A(合併・買収)の可能性が伝わり買いが広がった。料理宅配大手のデリバリーヒーローも買われた。航空エンジン大手のMTUエアロ・エンジンズは下げた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7152.60(+23.97)
フランスの株価指数CAC40の終値は前日に比べて0.3%上昇した。
