14日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前日比53ドル62セント高の3万3730ドル89セントで終えた。
新型コロナウイルスのワクチン普及の遅れへの懸念が和らぎ、景気敏感株に買いが広がった。市場予想を上回る好決算を発表した金融のゴールドマン・サックスが大幅高となり、ダウ平均を押し上げた。ただ、主力ハイテク株が下げ、上値は重かった。
この日発表されたゴールドマン・サックスやウェルズ・ファーゴなど米金融大手3社の1~3月期決算を好感し、金融株が上昇。3社は景気改善に伴う貸倒引当金の戻し入れなどが寄与し、いずれも大幅増益を達成した。ただ、「慎重な金利収入見通しなどが嫌気された」ことから、3社のうちJPモルガン・チェースのみ売られた。
また、原油先物相場が大幅高となったことを受けてエネルギー株も上昇。国際エネルギー機関(IEA)がこの日発表した月報で、今年の世界の石油需要見通しを引き上げたことなどが原油相場を押し上げた。
米当局が13日にジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製のワクチンの接種中断を勧告したが、米政権は同日、「米国の接種計画に大きな影響はない」との見方を示した。ファイザーは5月末までにワクチン供給量を10%増やし、目標とする3億回分の供給を前倒して達成できる見通しを示した。ワクチン普及で米経済活動の正常化が順調に進むとの期待が盛り返した。
化学のダウや建機のキャタピラー、クレジットカードのアメリカン・エキスプレスなど景気敏感株に買いが入った。原油高で石油のシェブロンも高い。ワクチン普及による経済再開の恩恵を受けやすい映画・娯楽大手のウォルト・ディズニーも上げた。2021年1~3月期決算が市場予想を上回ったゴールドマン・サックスは2%高となり、1銘柄でダウ平均を50ドル押し上げた。
ダウ平均の上げ幅は一時230ドルを超えたが、取引終了にかけて伸び悩んだ。前日に買われた主力ハイテク株に利益確定の売りが出て、スマートフォンのアップルとソフトウエアのマイクロソフトが下落。ダウ平均の構成銘柄以外では電気自動車のテスラやネット通販のアマゾン・ドット・コム、交流サイトのフェイスブックが安く終えた。エヌビディアなど半導体株の下落も目立った。
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比138.259ポイント(1.0%)安の1万3857.840で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
33,730.89+53.62
S&P500種
4,124.66-16.93
ナスダック
13,857.840-138.259
NY金(ドル/トロイオンス)
1,736.30-11.30
NY原油(ドル/バレル)
62.92-0.23
円・ドル
108.93 – 108.95-0.06
【シカゴ日本株先物概況】
14日のシカゴ日経平均先物は反落した。6月物は前日比230円安の2万9600円で引け、14日の大取終値を10円下回った。
14日の米株式市場で全米の経済活動が緩やかなペースで加速したことが明らかになり、NYダウは終日堅調に推移。長期金利の上昇でハイテク株は売られ、ナスダック総合指数は下落し、日経平均先物に売りが波及した。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
29600 ( -10 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
29620 ( +10 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6939.58(+49.09)
14日のFTSE100種総合株価指数は続伸した。前日の終値に比べ49.09ポイント高の6939.58で引けた。上昇と下落の銘柄数はほぼ拮抗した。
米国株が過去最高値を更新する中、英国株も堅調だった。新型コロナウイルスワクチンの普及と銅と原油の相場上昇を背景に鉱業株と石油株が買われ株価指数を押し上げた。
個別銘柄では、ファッションのバーバリー・グループは、仏同業のLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの好業績を好感し買われた。資源商社のグレンコアは5%超上げた。アナリストが投資判断と株価目標をともに引き上げたことも材料視された。石油のBPの上げも目立った。半面、スーパーマーケットのテスコは業績悪化が嫌気され売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15209.15(-25.21)
14日のドイツ株式指数(DAX)は小反落した。終値は前日と比べて25.21ポイント(0.2%)安の1万5209.15だった。終日狭い範囲の取引だった。
個別では、ドイツポストの下げが目立った。IT(情報技術)のSAPは、2021年の売上高見通しを引き上げたことが好感され上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6208.58(+24.48)
フランスの株価指数CAC40は前日に引き続き、終値ベースで2000年11月以来の高値で引けた。
