21日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前週末比37ドル40セント高の3万0216ドル45セントで終えた。
新型コロナウイルスの変異種への懸念から朝方に一時400ドル超下落したが、売り一巡後は下げ幅を縮め、午後に上げに転じた。米政府の追加経済対策への期待から買い優勢となった。
英国では、新型コロナの変異種への感染が広がっており、同国政府は20日、ロンドンなどで再びロックダウン(都市封鎖)に踏み切った。欧州各国は英国からの渡航を制限。米ニューヨーク州は、航空3社に対し、英国から乗り入れる便について、搭乗前のウイルス検査を要請した。
市場ではコロナ禍が長引くとの警戒が強まった。市場心理を測る指標となる米株の変動性指数(VIX)は前週末に比べ大幅に上昇し、30を超える場面もあった。
ただ、売り一巡後は経済対策の成立を期待した買いが次第に強まった。米与野党の指導部は20日、9000億ドル規模の追加の経済対策で最終合意した。21日には関連法案を採決し、超党派の賛成多数で可決する見通し。現金給付や失業給付を加算する特例措置を含む。
ムニューシン財務長官は21日、米メディアで「来週にも国民1人600ドルの支給を始める」と明らかにした。ダウ平均の上げ幅は一時、100ドルを超え、午前中の安値から500ドル超戻した。
世界保健機関(WHO)は21日、英国で広がる新型コロナの変異種について、これまでに開発されたワクチンが有効だとの認識を示した。変異種への過度な懸念が和らいだことも相場を支えた。
自社株買いの再開を好感し大手金融株が買われ、JPモルガン・チェースが4%、ゴールドマン・サックスは6%上げた。18日夕に発表した2020年9~11月期決算が市場予想を上回る増収増益だったスポーツ用品のナイキが大幅高。自社のパソコンやクラウドサービス向けに、半導体の独自開発を進めていると伝わったソフトウエアのマイクロソフトも高い。
セクター別では、銀行や耐久消費財・アパレルが上昇した一方で、自動車・自動車部品が下落した。
ナスダック総合株価指数は前週末比13.122ポイント安の1万2742.516と小幅に続落した。インテルやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など半導体関連株が下げた。21日からS&P500種株価指数に採用された電気自動車のテスラは、前週後半に急上昇した反動で6%安で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
30,216.45+37.40
S&P500種
3,694.92-14.49
ナスダック
12,742.516-13.122
NY金(ドル/トロイオンス)
1,888.90-1.50
NY原油(ドル/バレル)
47.79-1.31
円・ドル
103.29 – 103.30-0.30
【シカゴ日本株先物概況】
21日のシカゴ日経平均先物は続落した。3月物は前週末比190円安の2万6515円で引け、21日の大取終値を135円下回った。
英国で拡大している新型コロナウイルス変異種の感染性が高いことが明らかになり、警戒感から寄り付き後大きく下落した。その後、安値からはファイザーに続き、米食品医薬品局(FDA)の承認を受けたモデルナのワクチン接種が開始されたことや、議会が追加経済対策で合意にいたったことを好感した買いに支えられ、引けにかけてダウは上昇に転じた。
この日の3月物安値は2万6160円、高値は2万6965円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
26515 ( -135 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
26545 ( -105 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6416.32(-112.86)
21日のFTSE100種総合株価指数は3日続落した。前週末の終値に比べ112.86ポイント(1.7%)安の6416.32で引けた。構成銘柄の約9割が下落し、日中を通して大幅安の水準圏で推移した。
強い感染力を持つ新型コロナウイルスの変異種が英国で確認され、ロンドンなどが三たび都市封鎖(ロックダウン)に追い込まれた。英国からの渡航を禁止する動きが世界的に広がり、投資家のリスク回避姿勢が強まった。
英国と欧州連合(EU)の将来関係を巡る交渉が引き続き難航していることも売りにつながった。
原油相場の大幅安を背景にBPなど時価総額の大きい石油株が大幅下落し、株価指数の下げに大きく影響した。景気に敏感な金融株も下落し、指数の押し下げ要因となった。
個別では、航空のインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は朝方から大幅安が続き、8%安で引けた。生保のリーガル・アンド・ゼネラル(L&G)の下げも目立った。
半面、行動規制の強化で巣ごもり需要が伸びるとの見方からネット専業スーパーのオカド・グループと料理宅配のジャスト・イートは買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13246.30(-384.21)
21日のドイツ株式指数(DAX)は大幅続落となり全面安となった。終値は前週末と比べて384.21ポイント(2.8%)安の1万3246.30だった。
英国で新型コロナウイルス変異種の感染が急速に拡大しているため、欧州では英国との渡航を禁止する措置が相次いだ。景気への悪影響が懸念され、欧州各国市場で売りが広がった。
個別では、ドイツ銀行が4%安など金融関連株の下げが目立った。医薬・農薬大手のバイエルや医療機器のフレゼニウスもそれぞれ4%下げた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5393.34(-134.50)
