29日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前週末比236ドル60セント(0.7%)高の3万5135ドル94セントで終えた。目先の反発を見込んだ投資家がハイテクやディフェンシブ株を中心に押し目買いを入れた。
前週末のダウ平均は、南アフリカなどで見つかった新型コロナウイルスの変異株「オミクロン型」への懸念が急速に強まり、26日に905ドル安と今年最大の下げ幅を記録した。この日は、ワクチンメーカーの早期対応姿勢も好感される中、前週末に大幅安となった銘柄などが買われた。
バイデン米大統領は29日、オミクロン型の感染拡大を巡り「現時点でロックダウン(都市封鎖)は考えていない」と述べた。米経済の先行きに対する過度な懸念が後退し、株買いを誘った。オミクロン型に対応するワクチンが必要になれば「あらゆる手段を使って開発や供給を加速する」と対策に意欲を示したことも投資家心理を支えた。
26日に大きく低下した米長期金利が小幅の上昇にとどまり、1.5%台前半で推移した。金利が上昇すると相対的な割高感から売られやすい高PER(株価収益率)のハイテク株に買いが入った。スマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトが上昇。30日に決算発表を控える顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムは4%強上昇した。
業績が景気の影響を受けにくいディフェンシブ株も買われた。医療保険のユナイテッドヘルス・グループが3%高で終え、飲料のコカ・コーラと日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)がしっかり。
ダウ平均の構成銘柄以外では、先週に大幅安となったクルーズ船のロイヤルカリビアン・グループやホテルのマリオット・インターナショナルなど旅行・レジャー株の一角に「売られすぎ」とみた買いが入った。
半面、景気敏感株は下げた銘柄が目立った。オミクロン型の景気への影響を警戒し、押し目買いが入りにくかった。ダウ平均の構成銘柄では建機のキャタピラー、航空機のボーイングが続落した。金融のJPモルガン・チェースとゴールドマンサックスも安い。
ナスダック総合株価指数も反発した。前週末比291.177ポイント(1.9%)高の1万5782.834で終えた。アップル、マイクロソフトに加え、ネット通販のアマゾン・ドット・コム、検索エンジンのアルファベットなど主力株は軒並み上昇。電気自動車のテスラは5%高で終えた。半導体のエヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)の上昇も目立った。
NYダウ工業株30種(ドル)
35,135.94+236.60
S&P500種
4,655.27+60.65
ナスダック
15,782.834+291.177
NY金(ドル/トロイオンス)
1,785.20-2.90
NY原油(ドル/バレル)
70.06+1.91
円・ドル
113.53 – 113.58-0.03
【シカゴ日本株先物概況】
29日のシカゴ日経平均先物は反発。12月物は前週末比175円高の2万8330円で引け、29日の大取終値を110円上回った。
新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大への警戒から先週末に米国株相場が急落した反動で、買戻しが先行し29日は急反発した。日経平均先物もつれ高となった。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
28330 ( +110 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
28330 ( +110 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7109.95(+65.92)
29日のFTSE100種総合株価指数は反発した。前週末の終値に比べ65.92ポイント高の7109.95で引けた。
新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン型」の拡大懸念に伴うリスク回避の動きは一服し、指数構成銘柄の約8割が値上がりした。
「オミクロン型」の詳細についてはまだ不明な部分が多い。症状は軽度との専門家の見方も伝わり、投資家の過度なリスク回避姿勢が後退し買い戻しが広がった。商品相場の上昇を背景に資源株が買われ、株価指数の押し上げ要因となった。
個別銘柄では、通信のBTグループは6%超上げた。同社に対し、インドの複合企業が買収提案を検討しているとの一部報道で、一時は9%超上げる場面もあった。インドの同企業はその後報道を否定した。食品サービスのコンパス・グループの上昇も目立った。
一方、資産運用会社ハーグリーブズ・ランズダウンが5.6%安、産金・産銀会社ポリメタル・インターナショナルが2.3%安とさえなかった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15280.86(+23.82)
29日のドイツ株式指数(DAX)は小幅に反発した。終値は前週末と比べて23.82ポイント(0.16%)高の1万5280.86だった。前週末に大幅下落した反動で、欧州各国の株式市場では買い戻しが広がった。
個別では、電力のRWEとスポーツ用品のプーマが買われた。タイヤのコンチネンタルの売りが目立った。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6776.25(+36.52)
