NYダウ反発1048ドル高 米経済対策への期待

 
17日のダウ工業株30種平均は大幅に反発した。前日比1048ドル86セント(5.2%)高の2万1237ドル38セントで終えた。新型コロナウイルスによる景気下振れ懸念が強まる中、米政府が取りまとめる経済対策への期待から買われた。前日に3000ドル近く下げたこともあり、短期的な反発狙いの買いも入った。
 
前日のNYダウは、新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済が景気後退入りすることへの懸念から暴落し、2997ドル(12.9%)安で終了。下落幅は過去最大、下落率は1987年のブラックマンデー(22.6%)に次ぐ過去2番目の大きさとなった。この日は安値拾いの買いが先行したものの、すぐに下げに転じ、ダウはマイナス圏に転落。一時、2017年2月以来約3年1カ月ぶりに2万ドルの節目を割り込んだ。
 
ムニューシン米財務長官は17日の記者会見で「米国民に小切手を送るような施策を検討している」と述べた。個人や企業の税金の支払いの先送りなども含まれ、経済対策の規模は1兆ドルになるという。大型の経済対策が景気の一定の支えになると見方につながった。
 
米連邦準備理事会(FRB)は17日、企業が短期資金の調達に使うコマーシャルペーパー(CP)を買い入れる緊急措置を発動すると発表した。資金繰りが厳しくなった企業への支援を好感した買いも入った。
 
化学のダウが21%高と急騰した。経営トップが前日夕に中国需要の回復に言及した。ハイテク株に値ごろ感や割安感に着目した買いが入り、半導体のエヌビディアが11%高、ソフトウエアのマイクロソフトが8%高、ネット通販のアマゾン・ドット・コムが7%高と上げが目立った。アマゾンは通販の需要拡大に対応し、前日に10万人を新規採用すると発表したことも買い材料だった。
 
米商務省が17日発表した2月の米小売売上高(季節調整済み)は前月比0.5%減だった。市場予測(0.1%増)を下回り、個人消費の先行き懸念が強まった。世界景気が後退入りするとの見方も広がっており、リスク資産である株式の売りにつながった。
 
世界で国境をまたぐ移動を制限する動きが広がっている。旅客需要の減少で、航空機のキャンセルが増えるとの見方から航空機のボーイングが連日の大幅安となった。映画館の営業停止を嫌気し、娯楽・映画大手のウォルト・ディズニーも下げた。外食のマクドナルドも安い。
 
ただ、市場では新型コロナ問題に対する警戒心は解けていない。日系証券筋は「きょうはリスクオフの地合いの中で、景気敏感株ではなく、ディフェンシブ株を中心に買い戻しが入った印象だ。今後も不安定な値動きが続くだろう」と指摘した。
 
セクター別では公益事業・半導体・同製造措置が大きく上昇した一方で、消費者サービス、自動車が下落。
 
ナスダック総合株価指数は反発した。前日比430.190ポイント高の7334.782で終えた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
21,237.38+1,048.86
S&P500種
2,529.19+143.06
ナスダック
7,334.782+430.190
NY金(ドル/トロイオンス)
1,525.80+39.30
NY原油(ドル/バレル)
27.19+0.24
円・ドル
107.26 – 107.27+0.40
 


【シカゴ日本株先物概況】

17日のシカゴ日経平均先物は反落した。
6月物は前日比885円高の1万7105円で引け、17日の大取終値を435円上回った。
NYダウは前日の大幅下落を受けて買い戻しが先行。連銀が短期社債(CP)の買取プログラムを再開し、短期流動性を供給する処置をとったことが好感された。また米国政府が1兆ドル規模の追加支援策を検討しているとの報道を受けて、緩やかに上昇する展開となった。
この日の6月物高値は1万7345円、安値は1万6070円。
 
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
17105 ( +435 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
17330 ( +660 )
※( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 5294.90(+143.82)
17日のロンドン株式市場で、FTSE100種総合株価指数は反発した。前日の終値に比べ143.82ポイント(2.8%)高の5294.90で引けた。米連邦準備理事会(FRB)が17日、企業の資金繰りを支援するためコマーシャルペーパー(CP)の買い取りを再開すると発表した。企業への資金供給により世界景気の悪化が和らぐとの見方につながった。
 
個別銘柄では、産銅大手アントファガスタが16.0%高。オランダのオンライン食品デリバリー大手ジャストイート・テークアウェイは10.5%高、英オンライン食品販売オカド・グループは10.4%高、英自動車保険大手アドミラル・グループは10.1%高、英資産運用大手シュローダーは10.0%高だった。
 
一方、英小売JDスポーツファッションは18.0%安、英航空・防衛会社メギットは17.4%安、旅行大手カーニバルは15.8%安とふるわなかった。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 8939.10(+196.85)
17日のドイツ株式指数(DAX)は反発した。終値は前日と比べて196.85ポイント(2.25%)高の8939.10だった。
フランスのルメール経済・財務相が17日、企業に450億ユーロ(約5兆3000億円)の緊急支援をする用意があると述べたと報じられた。別の報道ではスペイン政府が2000億ユーロの企業支援策を検討していると伝わった。各国の景気刺激策で景気の冷え込みが和らぐとの期待が相場を支えた。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 3991.78(+110.32)

 

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