1日のNYダウ工業株30種平均は大幅に反発し、前日比482ドル54セント(1.4%)高の3万4326ドル46セントで終えた。
製薬のメルクはこの日、開発中の新型コロナ経口治療薬の後期臨床試験(治験)の暫定分析結果で、入院や死亡のリスクがほぼ半減したと明らかにした。同社株は急伸し、ダウの上昇をけん引したほか、前日に500ドルを超える下げを記録しており、安値拾いの買いも入った。取引中盤以降は堅調な展開を維持し、上げ幅は一時600ドルを上回った。
旅行・レジャーや消費関連などの銘柄が買われ、映画・娯楽のウォルト・ディズニーとクレジットカードのアメリカン・エキスプレスが4%高、クレジットカードのビザと航空機のボーイングは3%高で終えた。メルクも8%上昇した。
1日発表の9月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が市場予想に反して前月比で上昇したのも景気敏感株を中心に買いを誘った。新型コロナのデルタ型が拡大した中でも米景気が懸念していたほど減速していないとの見方が広がった。
ダウ平均は9月月間で4.3%安と下落率は昨年10月以来の大きさだった。前日も546ドル下げており、自律反発を期待した買いも入った。午後に買いの勢いが強まり、一時640ドルあまり上昇した。
午前は上値が重く、下げに転じる場面もあった。米連邦政府の債務上限問題は解決しておらず、18日にも政府資金が枯渇して米国債が債務不履行(デフォルト)に陥る可能性がある。サプライチェーン(供給網)混乱を背景としたインフレ懸念もくすぶり、投資家心理の重荷となった。
ナスダック総合株価指数は6営業日ぶりに反発し、前日比118.115ポイント高の1万4566.697で終えた。米長期金利上昇が一服し、高PER(株価収益率)銘柄への売り圧力が和らいだ。ソフトウエアのマイクロソフトやネット検索のアルファベット、交流サイトのフェイスブックなど主力ハイテク株に見直し買いが入った。
クラウドサービスのファイブ9の買収が破談になったビデオ会議システムのズーム・ビデオ・コミュニケーションズも上昇した。
NYダウ工業株30種(ドル)
34,326.46+482.54
S&P500種4,357.04+49.50
ナスダック
14,566.697+118.115
NY金(ドル/トロイオンス)
1,758.40+1.40
NY原油(ドル/バレル)
75.74+0.71
円・ドル
111.04 – 111.06-0.83
【シカゴ日本株先物概況】
1日のシカゴ日経平均先物は続落した。
12月物は前日比255円安の2万9050円で引け、1日の大取終値を230円上回った。1日の大取市場で売られた地合いを引き継ぎ、売りが先行した。引けにかけては好調な景気指標や開発中の新型コロナウイルス経口治療薬の良好なデータを発表した米製薬大手メルクに買いが集まるなどを手掛かりに米株が反発したため、下げ幅を縮めた。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
29050 ( +230 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
29100 ( +280 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
1日のFTSE100種総合株価指数は続落した。前日の終値に比べ59.35ポイント(0.8%)安の7027.07で引けた。構成銘柄の約8割が下落した。
米債務上限問題で投資家のリスク回避姿勢が強まり、相場を圧迫した。
1日のアジア株安が波及し、英国株も売りが優勢だった。外国為替市場でポンドが上昇し、ポンド高が業績の重荷になる医薬品株や鉱業株など多国籍企業銘柄への売りが目立った。
銀行株と石油株、酒類のディアジオも安かった。銀行株には、欧州の長期金利が低下し、利ざや悪化を意識した売りも出た。
個別銘柄では、資源大手BHPビリトン(2.4%安)、同リオ・ティント(2.1%安)など資源株が軒並み緩んだ。製薬大手アストラゼネカは2.1%安とさえなかった。
半面、航空大手のインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)をはじめ、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループやレジャー・外食のウイットブレッドといった旅行・レジャー関連株が高くなった。経済の再開による需要回復を期待した買いが入った。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
1日のドイツ株式指数(DAX)は続落した。終値は前日と比べて104.25ポイント安の1万5156.44だった。1日のアジア株安が及し、売りが優勢だった。
個別では、医療機器のザルトリウスが大幅安で引けた。アナリストが投資判断を引き下げたことが響いた。電力のエーオンは高かった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)6,517.69 -2.32
