NYダウは724ドル安、対中貿易摩擦への懸念

22日のNYダウ工業株30種平均は前日比724ドル42セント安の2万3957ドル89セントと大幅に続落で終えた。心理的な節目の2万4000ドルを下回り、2月8日以来1カ月半ぶりの安値を付けた。下げ幅も2月8日以来の大きさとなり、過去5番目となった。

この日のダウは、序盤から売りが先行した。トランプ米大統領が同日に署名を予定していた中国の知的財産権侵害に対する貿易制裁の発動を命じる文書に関連し、中国からの輸入品に年500億ドル(約5兆3000億円)規模の関税を適用するとの報道が嫌気された。

貿易摩擦への警戒感が高まり、幅広い銘柄に売りが膨らんだ。
中国向けの受注残が大きい企業や世界で事業展開する企業に売りが広がった。建機のキャタピラーや航空機のボーイング、工業製品・事務用品のスリーエム(3M)の下げが目立ち、3銘柄でダウ平均を257ドルあまり押し下げた。自動車のゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターも大幅に下げた。
投資家が運用リスクを回避する動きが広がり、安全資産とされる米国債は買われた。米長期金利が低下し、利ざやが悪化するとの観測からJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスといった金融株にも売りが波及した。

21日まで開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)では追加利上げが決定し、緩やかな利上げ継続の方針が示された。英中銀のイングランド銀行が早期に利上げするとの観測も広がり、主要国の中央銀行が金融政策の正常化に向かうことで株式市場への資金流入が細るとの思惑も相場の重荷だった。

ナスダック総合株価指数は前日比178.608ポイント安の7166.677と、2月14日以来ほぼ1カ月ぶりの安値で終えた。利用者情報が流用された問題でアナリストの目標株価引き下げが相次いだフェイスブックが下げ、主力株全体に売りが広がった。

セクター別では全面安となり、特に銀行や各種金融の下落が目立った。

個別では、一部の肺がん治療薬の開発を断念すると発表したバイオ製薬のアッヴィが急落。決算と併せて発表した業績見通しが慎重と受け止められた手芸・家庭雑貨販売のマイケルズにも売りが膨らんだ。四半期決算で売上高が市場予想を下回った外食のダーデン・レストランツにも売りが膨らんだ。
ダウ平均を構成する全30銘柄が下げた。
一方、四半期決算が好感されたカジュアル衣料のゲスは急伸した。四半期決算で1株利益が市場予想を上回った食品のコナグラ・ブランズも買われた。

NYダウ工業株30種(ドル)
23,957.89-724.42 
S&P500種
2,643.69-68.24 
ナスダック
7,166.677-178.608 

NY金(ドル/トロイオンス)
1,321.50 +9.60 
NY原油(ドル/バレル)
 64.20 -0.97
円・ドル
105.27 – 105.28 -1.17
 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は大幅に続落し、この日の安値近くで終えた。
6月物の終値は前日比280円安の2万0860円で、大阪取引所の終値を520円下回った。
米中の貿易摩擦への警戒感から、投資家心理が悪化し米株式とともに売られた。

トランプ米政権は22日、中国による知的財産権の侵害を理由に、中国に高関税を課す制裁措置を発表した。
6月物の安値は2万0845円、高値は2万1400円。

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数は続落した。前日21日の終値に比べ86.38ポイント安の6952.59で引けた。7000の節目を下回るのは2016年12月以来。構成銘柄の約8割が下落した。
米中間の貿易摩擦が強まるとの懸念から、欧州各国株式相場が下落し、英国株もつれ安となった。午後には米国株の下げもあり、下げ幅を拡大した。

個別では、銀行のHSBCホールディングスとスタンダードチャータード銀行の下げが目立った。金属価格の下落を受けて、リオ・ティントなど鉱業関連株も下がった。資源商社のグレンコアは転換社債の発行なども売り材料となった。原油安で石油のBPとロイヤル・ダッチ・シェルも安くなった。

前日に急落した小売りのキングフィッシャーは、アナリストによる株価目標引き下げも響いて、この日も売られた。ヘルス・安全装置関連のハルマは、通期税引き前利益が市場予想の範囲内にとどまるとの見通しを示し下落した。

半面、日用品のレキットベンキーザーは5%近く上がった。同社は前日遅くに、米同業ファイザーのコンシューマー・ヘルスケア事業の買収から撤退すると発表した。飲料のコカ・コーラ・ヘレニック・ボトリングとネット食品デリバリーのジャスト・イートも上昇した。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数(DAX)は3日ぶりに反落した。終値は前日21日と比べて209.07ポイント安の12100.08だった。
トランプ米政権が保護主義的な通商政策に傾き、米中の貿易摩擦が強まると懸念され、欧州各国株式相場が下落した。ドイツ株は日中を通して徐々に下げ幅を拡大した。

米利上げペースの加速観測が後退し、利上げで恩恵が期待される銀行株が売られた。コメルツ銀行は、アナリストが投資判断を引き下げたことなども響いて6%超下落した。ドイツ銀行は、アナリストによる株価目標引き下げを受けて、下げが大きくなった。半導体のインフィニオンテクノロジーズと工業用ガスのリンデの下げも目立った。

一方で、上昇したのは、ドイツ取引所と不動産のボノビア、日用品のバイヤースドルフの3銘柄だけだった。

■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40の終値が前日に比べて1%以上下落した。

 

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