NYダウは70ドル安、貿易摩擦懸念が広がる

2日のNYダウ工業株30種平均は4日続落し、前日比70ドル92セント安の2万4538ドル06セントと2月9日以来の安値で終えた。
前日にトランプ大統領による鉄鋼・アルミニウム輸入に関税を課す方針が発表され、主要貿易相手国による報復措置や、製造業のコスト増への懸念から売りが先行した。
午後にかけて下げ幅を縮小したものの、上値の重い展開となった。
 
トランプ大統領は来週にも、追加関税をかける具体的な対象国などを発表する見込み。詳細が不透明ななか、新興国市場での売り上げ規模が大きい航空機のボーイングや建機のキャタピラーが売られて相場の下げをけん引した。
投資判断の引き下げがあった外食のマクドナルドが売られたこともダウ平均を下押しした。ボーイングとキャタピラー、マクドナルドの3銘柄でダウ平均を約110ドル押し下げた。
 
週末にはイタリアで総選挙が実施されるほか、ドイツでは第2党、ドイツ社会民主党(SPD)がメルケル首相率いる中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)との大連立継続を問う党員投票の結果が判明する。欧州政局の先行き不透明感の強さも重荷だった。
 
ダウ平均は前日までに約1100ドル下げたとあって短期的な買い戻しが入り、取引終盤に一時約21ドル安まで下げ渋った。ダウ銘柄ではアップルやインテル、メルクやファイザー、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などヘルスケア株が買われて相場を下支えした。
 
ナスダック総合株価指数は4日ぶりに反発し、前日比77.306ポイント高の7257.867で終えた。業績期待の高いハイテク株の一角は買い直された。アップルやアルファベット(グーグル)など主力株の一部に加え、ブロードコムなどの半導体関連やインサイト・コーポレーションといったバイオ医薬の上げが目立った。
 
セクター別では、半導体・半導体製造装置や医薬品・バイオテクノロジーが上昇する一方で消費者・サービスや不動産が下落した。
 
個別では、スポーツ用品小売のフット・ロッカー(FL)は、決算内容が予想を下振れたほか、弱気な業績見通しが嫌気され大幅下落。小売大手のウォルマート(WMT)は、一部アナリストによる投資判断引き下げを受けて売られた。化粧品小売りのアルタ・ビューティーや家電量販店のベストバイ、ホームセンターのロウズの下げも目立った。
 
一方で、アパレルのギャップ(GPS)や百貨店のノードストローム(JWN)は、決算内容が好感され上昇した。高解像画像処理用半導体メーカーのアンバレラが大幅高。前日夕に発表した17年11月~18年1月期決算が市場予想を上回った。
 
VIX指数は19.59と下落(前営業日22.47)。トランプ米大統領が「貿易戦争は有用、勝つのも簡単」とツイートしたことで、ダウ平均は貿易戦争への警戒感から一時前日比376.08ドル安の24217.76ドルまで下落した。
VIX指数も一時26.22まで上昇した。しかし、堅調なNASDAQや底堅い動きだったS&Pに連れ高となり、ダウ平均も引けにかけて下げ幅を縮小したことで、VIX指数は19台まで下落して引けた。
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,538.06-70.92             
S&P500種
2,691.25+13.58
ナスダック
7,257.867+77.306
 
米10年債利回り(%)
2.8661 +0.064
米2年債利回り(%)
 2.2459 +0.04
 
NY金(ドル/トロイオンス)
1,323.40+18.20
NY原油(ドル/バレル)
61.45+0.46
円・ドル
105.66 – 105.67   -1.14

 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は売り先行の後に値を戻した。
3月物は前日比5円高の2万1125円で引け、同日の大取終値を5円下回った。
米株とともに売りが先行した。引けにかけてはじりじりと戻した。
この日の3月物高値は2万1270円、安値は2万0685円。
 
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
21125 ( -5 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
21125 ( -5 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数は4日続落した。前日1日の終値に比べ105.74ポイント安の7069.90で引けた。構成銘柄の約8割が下落した。
前日に鉄鋼とアルミニウムに追加関税を課す方針を示したことが世界的な貿易戦争につながるとの懸念から、世界各国株式相場が下落した。英国株もつれ安となり、日中を通して断続的に売りが広がった。銀行株の下げが株価指数の下落に大きく影響した。
 
個別では、銀行株が下がり、なかでもロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は3%安と目立った。
石油のロイヤル・ダッチ・シェルとBPも下落した。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど鉱業株も売られた。
大幅増益となった一方で、費用増加を懸念する声もあった。自動車部品のGKNとスーパーマーケットのテスコの下げも大きくなった。
 
半面、製紙のモンディは、通期増収・増益が好感され4%近く上昇した。アナリストが投資判断を引き上げたファッションのバーバリー・グループの上げも大きくなった。
 

■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数(DAX)は4日続落した。
終値は前日1日と比べて277.23ポイント安の11913.71だった。欧州各国株式相場が軒並み大幅安となった。
米国の鉄鋼関税が懸念され、鉄鋼のティッセン・クルップは4%安。コメルツ銀行とドイツ銀行、重電のシーメンスの下げも目立った。上昇したのは、日用品のバイヤースドルフだけだった。

■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)5,136.58-125.98
 

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