NYダウは669ドル高、米中貿易貿易摩擦の懸念和らぐ

【概況】
 
26日のNYダウ工業株30種平均は前週末比669ドル40セント高の2万4202ドル60セントで終え4営業日ぶりに大幅に反発した。上昇額はリーマン・ショック直後の2008年10月28日以来ほぼ9年5カ月ぶりの大きさ。
 
貿易摩擦の回避に向けて米中高官が交渉を開始し、警戒感が緩和したことで、先週の株価下落を受けた買い戻しの動きが先行となった。中国側が米国製半導体の購入拡大を検討していることも報じられ、ハイテク株を中心に大幅上昇となった。
ダウ平均は前週に1400ドル超下落したため、自律的な反発に期待した買いも入りやすかった。
 
米ウォール・ストリート・ジャーナルは26日、ムニューシン米財務長官と米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が19日に副首相に就いた中国の劉鶴氏に書簡を送っていたと報じた。自動車の関税引き下げや半導体の調達拡大、金融市場の一段の開放といった具体的な要求をしたといい、交渉が進展するとの思惑を誘った。
 
報道を受けて半導体関連を中心にIT関連株に買いが膨らみ、金融株も大幅に上昇した。米中の貿易戦争に発展するとの警戒感から売り込まれていた航空機のボーイングや建機のキャタピラーなど資本財関連株が買われた。
 
ナスダック総合指数は、同227.877ポイント高の7220.543で終えた。上げ幅はITバブル期の01年1月3日以来の大きさだった。アナリストが目標株価を引き上げたマイクロソフトが8%近く急伸。アナリストが投資判断を引き上げた半導体のインテルも6%超高と買われ、指数を押し上げた。
 
セクター別では全面高となり、半導体・半導体製造装置やテクノロジー・ハード・機器の上昇が目立った。
 
個別では、建築資材のUSG(USG)は、同業の独クナウフの買収提案を拒否したものの、筆頭株主である投資会社のバークシャー・ハサウェイが約31%の出資持分の全売却をクナウフに打診していたことが明らかとなり、20%近い上昇した。
ロバート・ニブロック最高経営責任者(CEO)の後任が見つかり次第退任すると発表したホームセンターのロウズが大幅に上昇。上場2日目のクラウドデータ補完・共有大手のドロップ・ボックスへの買いも続いた。
 
一方、半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が下落。仮想通貨の採掘向けの需要減少を理由にアナリストが目標株価を引き下げたのが嫌気された。ダウ平均の構成銘柄では、複合企業のゼネラル・エレクトリック(GE)は、株価が続落し2009年以来の安値を更新した。
 
VIX指数は21.03と低下(前営業日24.87)。主要株式3指数は、米中間の通商協議で米中貿易戦争が回避できるとの期待感が高まったことで大幅に反発した。
ダウ平均は史上3番目の上げ幅を記録した。
金朝鮮労働党委員長が中国を電撃訪問した、との報道も朝鮮半島情勢の地政学リスク後退につながるとの見方で、株買い要因となった。VIX指数は一時20.71まで低下した。
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,202.60+669.40
S&P500種
2,658.55+70.29
ナスダック
7,220.543+227.877
 
米10年債利回り(%)
2.852 +0.026
米2年債利回り(%)
2.2746 +0.013
 
NY金(ドル/トロイオンス)
1,355.00+5.10   
NY原油(ドル/バレル)
65.64+0.09
円・ドル
105.53 – 105.54   +0.47

 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は4営業日ぶりに反発した。
6月物は前週末比510円高の2万0680円で引け、同日の大取終値を200円上回った。
米中貿易摩擦による世界景気の悪化懸念が薄れ、米株とともに買われた。米中交渉が進展すれば貿易摩擦の影響は限られるとの見方が広がった。
この日の6月物高値は2万0705円。安値は2万0130円。
 

シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
20680 ( +200 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
20725 ( +245 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6888.69(-33.25)
FTSE100種総合株価指数は4日続落した。前週末23日の終値に比べ33.25ポイント安の6888.69で引けた。医薬品株と鉱業株の下げが指数を押し下げ、構成銘柄の約7割が下落した。
米中間の貿易摩擦に関する懸念がやや後退、買いが広がり、日中は高値圏で推移した。ただ、午後に米国と欧州14カ国がロシア外交官の追放を決めたと伝わり、ロシアとの関係緊迫化が懸念されると、欧州各国株式相場が売りに転じ、英国株もつれ安となった。
 
個別では、グラクソ・スミスクラインなど医薬品株と、資源商社のグレンコアなど鉱業関連株が下落した。たばこのインペリアル・ブランズとブリティッシュ・アメリカン・タバコも売られた。
梱包材メーカーのスマーフィット・カッパ・グループは約4%下がった。同社は26日、米同業のインターナショナル・ペーパーからの新たな買収提案も拒否した。
 
半面、石油のBPとロイヤル・ダッチ・シェルは買われた。金関連のフレスニージョは4%超上昇した。ゴールドマン・サックスがインフレ率上昇を理由に金相場に強気の見通しを示したことが買い材料となった。同業のランドゴールド・リソーシズの上げも目立った。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11787.26(-99.05)
ドイツ株式指数(DAX)は3日続落した。終値は前週末23日と比べて99.05ポイント安の11787.26だった。米中間の貿易摩擦に関する懸念がやや後退し、日中は欧州各国株式相場が上昇した。
午後に米国と欧州14カ国がロシア外交官の追放を決めたと伝わり、ロシアとの関係緊迫化が懸念されると、欧州各国株式相場は売りに転じた。
 
ドイツでは、医療機器のフレゼニウスと半導体のインフィニオンテクノロジーズ、工業用ガスのリンデの下げが目立った。一方で、自動車のBMWと、航空のルフトハンザは上昇した。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5066.28(-28.94)

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