3日のNYダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに小反発し、前日比5ドル17セント高の2万3930ドル15セントで終えた。
米中貿易摩擦をめぐる思惑が交錯し、ほぼ横ばいで終了した
米中両政府はこの日、「貿易戦争」回避に向けた交渉を開始。トランプ米大統領はムニューシン財務長官やロス商務長官を北京に派遣し、2日間にわたり問題を協議する。
交渉が決裂すれば両国は大規模な貿易制裁に踏み切るとみられ、先行きへの警戒感からこの日のダウは売り優勢で始まった。前日引け後に発表された保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)などのさえない決算も売り圧力となり、ダウは午前に一時、393ドル安を付けた。
ただ、売り一巡後にダウ平均が下値支持線として意識されている200日移動平均を上回ると、資本財やIT関連株などに押し目買いが入り急速に下げ渋った。ボーイングが2%上昇し、1銘柄でダウ平均を44ドルあまり押し上げた。シスコシステムズや工業製品・事務用品のスリーエム(3M)なども上昇した。
翌4日に4月の米雇用統計の発表を控える中で上値は重く、ダウは中盤以降、前日終値近辺を小幅に推移した。
ナスダック総合株価指数は続落し、同12.746ポイント安の7088.151で終えた。フェイスブックなどの主力株の一部やバイオ関連株が売られ、指数の重荷となった。
セクター別では、商業・専門サービスや家庭用品・パーソナル用品が上昇する一方で耐久消費財・アパレルや保険が下落した。
個別では、食品会社のクラフト・ハインツ(KHC)は、決算内容が予想を上振れ上昇した。四半期決算が市場予想を上回る増収増益となった食品のケロッグが高い。
一方、電気自動車のテスラ・モーターズ(TSLA)は、予想を上回る決算を発表したものの、電話会議でイーロン・マスクCEOが複数のアナリストの質問を拒否した事が嫌気され軟調推移した。イスラエルの後発薬のテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズは大幅安。通期の業績見通しを引き上げ買いが先行したが、薬価の引き下げが収益を圧迫するとの警戒感が次第に強まった。アムジェンなどの製薬株にも売りが広がった。
VIX指数は15.90と下落(前営業日15.97)。
ダウ平均は米中通商協議や中東の地政学リスクへの警戒感などから、一時前日比393ドル安の23531ドルまで下落した。
VIX指数は18.66まで上昇した。しかし、ホワイトハウス高官が、初日の米中通商協議がポジティブだった、と述べたことで、ダウ平均はプラス圏に戻して引けた。
NYダウ工業株30種(ドル)
23,930.15+5.17
S&P500種
2,629.73-5.94
ナスダック
7,088.151-12.746
米10年債利回り(%)
2.9477 -0.016
米2年債利回り(%)
2.4802 -0.016
NY金(ドル/トロイオンス)
1,312.70+7.10
NY原油(ドル/バレル)
68.48+0.05
円・ドル
109.20 – 109.21 +0.03
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は続落した。
6月物は前日比75円安の2万2350円で取引を終え、2日の大阪取引所の終値を120円下回った。NYダウ工業株30種平均が大幅に下げた場面で売りが膨らんだ。
その後はダウ平均が上げに転じ、日経平均先物も下げ幅を縮めた。4日発表の4月の米雇用統計を控え、持ち高調整の動きが広がった。
この日の6月物の安値は2万2090円、高値は2万2415円。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
22350 ( -120 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
22360 ( -110 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数は6営業日ぶりに反落した。前日2日の終値に比べ40.51ポイント安の7502.69で引けた。
4月の英非製造業購買担当者景気指数の発表後に一時、上昇する場面があったものの、午後に入り、米株安の流れが英株にも波及し下げ幅を広げた。構成銘柄の約7割が下落した。
個別では、スミス・アンド・ネフューは約7%安で引けた。通期の収益見通しを下方修正し、アナリストが目標株価を引き下げたことが売り材料視された。同様にアナリストが投資判断などを引き下げた通信のBTグループの下げも目立った。
配当の権利落ちとなった小売りのキングフィッシャー、製紙のモンディ、セキュリティー・サービスのG4S、ロンドン証券取引所(LSE)グループは軒並み下落した。
時価総額の大きい医薬品株とたばこ株にも売りが広がった。
半面、金価格の上昇を背景に関連のランドゴールド・リソーシズとフレスニージョは上げた。ロシアの鉄鋼大手エブラズも大幅上昇した。旅行のTUIはアナリストがポンドとユーロでの目標株価を引き上げたことを手掛かりに買われた。
WMモリソン・スーパーマーケッツの上げも目立った。同業のテスコも上昇。4月30日のセインズベリーとアズダの経営統合発表以来、売り基調が続いていたこともあり、値ごろ感に着目した買いが入った。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数(DAX)は5営業日ぶりに反落した。終値は前日2日と比べて112.10ポイント安の12690.15だった。構成銘柄の約7割が下落した。
個別では、アディダスが大幅下落した。6月からロシアで開催される国際サッカー連盟(FIFA)ワールドカップでの経済的効果は限定的だとの見方を示したほか、年間で200店程度の閉店を計画しているとの最高経営責任者(CEO)の発言が伝わり、嫌気した売りが出た。
一方で電力のエーオン、消費財のヘンケルなどが小幅上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)5,501.66 -27.56
