5日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前営業日の3日と比べて181ドル92セント高の2万4356ドル74セントで終えた。
欧米間の自動車・自動車部品への関税を巡る貿易摩擦への懸念が後退し、欧州株が全面高となると、米国株にも買いが先行した。注目のFOMC議事録では、通商政策によるリスクを認識した一方で、利上げ継続の方針が示された。発表後は上げ幅をやや縮小したものの、引けにかけて上昇した。
ハイテク株を中心に個別の材料が出た銘柄に買いが入った。た
半導体のマイクロン・テクノロジーが中国の裁判所から一部製品の生産・販売の差し止めを命じられた件について、5日朝に2018年6~8月期の売上高への影響は1%程度にとどまるとの声明を発表した。安心感からマイクロンが買われ、半導体株全般の上げに波及。ダウ平均構成銘柄ではインテルが上昇した。
前日には駐ドイツ米大使が独自動車大手幹部に対し、米と欧州連合(EU)間の自動車関税をそれぞれゼロにすることを提案したと伝わった。これを受け、ゼネラル・モーターズ(GM)など自動車株が上げた。通商政策を巡る米政権の強硬姿勢が和らぐとの期待から、建機のキャタピラーなど海外売上高比率の高い銘柄が買い直された。
米連邦準備理事会(FRB)が午後に6月12~13日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表すると、相場はやや伸び悩んだ。貿易摩擦の懸念が深まるなかでも緩やかな利上げを続ける姿勢を強調し、米株には重荷となった。
翌6日に米中両国が340億ドル(約3兆7600億円)相当の輸入品に第1弾の追加関税措置をそれぞれ発動するほか、重要指標である米雇用統計の発表も予定されているため、積極的に上値を追う動きは限られた。
ナスダック総合株価指数は反発し、3日と比べて83.753ポイント高の7586.427で終えた。目標株価の引き上げを手掛かりにフェイスブックが上昇。アルファベット(グーグル)やネットフリックスなど主力株の一角や半導体株が総じて買われ、相場を押し上げた。
セクター別ではエネルギーを除いて全面高となり、特に半導体・半導体製造装置や家庭用品・パーソナル用品の上昇が目立った。
個別では、米政府高官が欧州連合(EU)との自動車関税をゼロにすると提案したことが報じられ、自動車大手のフィアット・クライスラー(FCAU)、フォード(F)、ゼネラル・モーターズ(GM)が軒並み上昇した。エヌビディア(NVDA)やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)も連れ高。SNSのフェイスブック(FB)は、一部アナリストによる目標株価引き上げを受け上昇した。
NYダウ工業株30種(ドル)
24,356.74+181.92
S&P500種
2,736.61+23.39
ナスダック
7,586.427+83.753
米10年債利回り(%)
2.8345 -0.003
米2年債利回り(%)
2.5568 +0.025
NY金(ドル/トロイオンス)
1,258.80+5.30
NY原油(ドル/バレル)
73.12+0.18
円・ドル
110.65 – 110.66 ±0.00
VIX恐怖指数 14.97 ▼7.25% -1.17
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は小幅ながら4営業日続落した。9月物は前日比20円安の2万1680円で引け、同日の大取終値を190円上回った。
欧米の貿易摩擦が和らぐとの期待から米株が上昇したため、下げは限られた。
この日の9月物安値は2万1435円、高値は2万1755円。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
21680 ( +190 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
21720 ( +230 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7603.22(+30.13)
FTSE100種総合株価指数は米欧貿易摩擦をめぐる懸念がやや後退し、資源株の主導で反発した。前日4日の終値に比べ30.13ポイント高の7603.22で引けた。
この日のFT指数は高寄り後に7600台を回復。ただ、終盤には失速して上げ幅を縮小した。
構成銘柄の約6割が上昇した。
個別では、ロシア鉄鋼大手エブラズが3.0%高、鉱業大手アングロ・アメリカンは2.8%高。資源商社のグレンコアは、子会社の問題で過去2日間に大幅下落したが、この日は自社株の買い戻し計画が好感され買い戻された。
半面、英食品・小売大手のアソシエーテッド・ブリティッシュ・フーズは4.2%下がった。砂糖事業の見通しで警戒感を示したことが嫌気された。衣料小売りのネクストは、配当権利落ちで下がった。住宅建設のバークリー・グループと不動産投資信託(REIT)のランド・セキュリティーズの値下がりも目立った。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12464.29(+146.68)
ドイツ株式指数(DAX)は反発した。終値は前日4日と比べて146.68ポイント高の12464.29だった。
米国と欧州連合(EU)間の自動車関税をそれぞれゼロにする提案があったと4日に報じられた。これを受けて、自動車株を中心に欧州各国の株式相場が上昇した。
個別では、自動車のフォルクスワーゲンとダイムラー、BMWの値上がりが目立った。工業用ガスのリンデは4%高。産業ガスの大陽日酸が同業の米プラクスエアから欧州事業の一部を買収すると発表。欧州事業の切り離しで、プラクスエアとリンデの経営統合にメドがつく。
一方、不動産のボノビアと消費財のヘンケルは売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5366.32(+45.82)
