NYダウ、5日連続最高値 ヘルスケアや小売り株に買い

16日のNYダウ工業株30種平均は5日続伸し、前週末比110ドル02セント高の3万5625ドル40セントで終えた。
ダウ平均は連日の最高値更新の後で売りが出やすく、取引前半はマイナス圏で推移した。中国の7月の小売売上高や鉱工業生産の伸びが鈍化したことや、新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」の世界的な拡大、アフガニスタン情勢をめぐる懸念が、利益確定売りにつながった。
ただ、序盤に下落した後は徐々に買い戻され、相場はプラス圏を回復。景気動向に左右されにくいとされるヘルスケア株や公益株などが上昇を支えた。翌日に決算発表を控えた小売り大手ウォルマートとホーム・デポも、好業績への期待から買われた。一方、エネルギーや素材、金融など、景気動向の影響を受けやすい銘柄は下落した。
 
16日発表の7月の中国の工業生産高と小売売上高が市場予想に届かなかった。新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)の感染拡大が続き、世界景気の回復が鈍るとの懸念を招いた。ニューヨーク連銀が発表した8月の製造業景況指数が市場予想以上に低下したことも重なり、米長期金利が低下して市場心理を冷やした。
 
アフガニスタンで反政府武装勢力タリバンが首都カブールを掌握し、同地域の地政学リスクが高まるとの見方も相場の重荷だった。原油相場が下げ、石油株や素材株への売りを誘った。ダウ平均は朝方に280ドル超下げる場面があった。
 
ただ、売り一巡後は下げ渋り、午後に上げに転じた。7月下旬以降、景気敏感株に比べ値動きがさえなかったヘルスケア株が買い直された。医療保険のユナイテッドヘルス・グループ、製薬のメルク、バイオ薬のアムジェンがダウ平均構成銘柄の上昇率1~3位を占めた。今週に決算発表を予定する小売りのウォルマートとホームセンターのホーム・デポが買われ、ダウ平均を支えた。スマートフォンのアップルとソフトウエアのマイクロソフトも高い。
 
S&P500種株価指数は5日続伸した。前週末比11.71ポイント(0.3%)高の4479.71で終え、連日で過去最高値を更新した。
 
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前週末比29.136ポイント安の1万4793.762で終えた。電気自動車(EV)のテスラが4%超下げた。
米運輸省が16日に同社の運動支援システムの安全性を正式に調査すると発表し、リコール(回収・無料修理)の可能性が懸念された。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やエヌビディアなど半導体株の一角も売られた。
 
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
35,625.40+110.02
S&P500種
4,479.71+11.71
ナスダック
14,793.762-29.136
NY金(ドル/トロイオンス)
1,789.80+11.60
NY原油(ドル/バレル)
67.47+0.18
円・ドル
109.24 – 109.26-0.16
 

 


【シカゴ日本株先物概況】

 
16日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前週末比240円安の2万7660円で引け、16日の大取終値を180円上回った。
NYダウは、中国や米国の経済指標が市場予想を下回ったほか、中東の地政学的リスク上昇で寄り付き後、大きく下げた。新型コロナ・デルタ株感染拡大への懸念も根強く、さらなる売り材料になった。その後、引けにかけては、資本流入や防衛関連への期待に上昇に転じると、ダウは連日史上最高値を更新して引けた。日経平均先物は引けにかけては米株が上げに転じるにつれて買われ、下げ幅を縮めた。
 

シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
27660 ( +180 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
27670 ( +190 )
※( )は大阪取引所終値比

 

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7153.98(-64.73)
16日のFTSE100種総合株価指数は反落した。前週末の終値に比べ64.73ポイント安の7153.98で引けた。構成銘柄の約8割が下落した。
米国や中国のさえない経済指標やデルタ株のまん延を受け、世界景気の先行きが懸念され、欧州各国の株式相場とともに売りが先行した。アフガニスタン情勢の悪化も投資家心理に影を落とした。景気に敏感な資源株と銀行株の下落が株価指数の下げに大きく影響した。
 
個別銘柄では、ファッションのバーバリー・グループは中国での業績が懸念され3%超下げた。保険のプルーデンシャルの下落も目立った。
半面、製薬大手アストラゼネカ(0.6%高)、同グラクソ・スミスクライン(0.5%高)など製薬株が締まった。鉱業のフレスニージョは買われた。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15925.73(-51.71)
16日のドイツ株式指数(DAX)は5営業日ぶりに反落した。終値は前週末と比べて51.71ポイント(0.3%)安の1万5925.73だった。
7月の中国の工業生産高と小売売上高が市場予想を下回った。世界景気の回復ペースの鈍化が懸念され、欧州各国の株式相場がそろって下げた。
 
個別では、自動車株が売られ、中でもフォルクスワーゲン(VW)の下げが目立った。電力のエーオンは買われた。
 
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6838.77(-57.27)

 

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