NYダウ 196ドル安、貿易摩擦懸念広がる

21日のNYダウ工業株30種平均は8日続落し、前日比196ドル10セント安の2万4461ドル70セントと5月末以来の安値で終えた。8日続落は2017年3月下旬以来1年3カ月ぶり。
米国と各国の貿易摩擦を警戒し、投資家が運用リスクを避ける流れが続いた。午後には一時250ドル強下落した。
 
6月フィラデルフィア連銀製造業景況指数や5月景気先行指数が予想を下振れたほか、明日予定される石油輸出国機構(OPEC)での協調減産緩和の思惑から、原油相場が下落したことも嫌気され、軟調推移となった。
 
また、独自動車大手ダイムラーは前日、中国が米輸入車に報復関税を適用する方針であることを理由に、通期の業績見通しを下方修正した。米中貿易摩擦が企業活動に実際の打撃となり始めたことが確認され、業績期待が後退。市場ではリスク回避ムードが広がり、工業株を中心に売りが出た。
 
航空機のボーイングや建機のキャタピラー、工業製品・事務用品のスリーエム(3M)など海外売上高比率の高い銘柄への売りが続いた。ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターが売られた。
 
22日に石油輸出国機構(OPEC)総会を控え、シェブロンなど石油株が下げたこともダウ平均を下押しした。
 
米最高裁が21日、オンライン小売業者に売上税の徴収を義務付ける権限を、州政府に与える判決を下した。ネット通販大手のアマゾン・ドット・コムが売られ「主力ハイテク株にも利益確定売りが波及した」との声があった。
 
ただ、米中両国は強硬な姿勢を崩しておらず、貿易問題は引き続き相場の重しとなりそうだ。一方で、市場関係者からは「経済への影響は大きくないと予想、早期解決が可能だと見る投資家も多く、まだリスクは真剣に織り込まれていない」との声も聞かれ、ダウの下値は堅かった。
 
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比68.563ポイント(0.9%)安の7712.952で終えた。
 
セクター別では、食品・生活必需品小売や不動産が上昇する一方でエネルギーや自動車・自動車部品が下落した。
 
個別では、米最高裁が州や地方自治体に対してオンライン小売業者からの売上税徴収を認め、ネット小売のアマゾン(AMZN)、クラフト商品市場のエッツィ(ETSY)、食材宅配サービスのブルーエプロン(APRN)などが軒並み下落した。
売上税を巡る最高裁の決定を受け、家具のネット通販を手掛けるウェイフェアやオーバーストック・ドット・コム、電子商取引大手のイーベイなどが下げた。
インテルが安い。ブライアン・クルザニッチ最高経営責任者(CEO)が社内規則に反し、過去に従業員と「合意に基づき交際」していたとして辞任を発表した。
 
一方で、ホーム・デポは0.6%高、四半期決算を手掛かりに外食のダーデン・レストランツやスーパーのクローガーが急伸。半導体のマイクロン・テクノロジーは前日夕の決算説明会で強気の業績見通しを示し、買いが優勢となった。
 
 
VIX指数は14.64と上昇(前営業日12.79)。
米中報復関税合戦により米中貿易戦争が勃発する可能性に加え、米国の景況感指標が低迷したこと、米最高裁が米国州当局によるオンライン小売業者への売上課税を認める判断を下したことで関連銘柄が下落した。VIX指数は一時15.18まで上昇した。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,461.70-196.10
S&P500種
2,749.76-17.56
ナスダック
7,712.952-68.563
 
米10年債利回り(%)
2.8986 -0.029
米2年債利回り(%)
2.5411 -0.021
 
NY金(ドル/トロイオンス
1,270.50-4.00
NY原油(ドル/バレル)
65.80 +0.09
円・ドル
109.89 – 109.90 -0.64

 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比90円安の2万2390円で引け、同日の大取終値を210円下回った。貿易摩擦による世界景気の悪化懸念が広がり、米株とともに売られた。米景気指標の悪化で長期金利が下げ、円が反発したことも弱材料になった。
この日の7月物安値は2万2360円、高値は2万2730円。
 
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
22390 ( -210 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
22425 ( -175 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7556.44(-70.96)
FTSE100種総合株価指数は反落。前日20日の終値に比べ70.96ポイント安の7556.44で引けた。欧州株安やリスク回避の強まりを受けて構成銘柄の9割近くが下落した。
銀行株と石油株に売りが膨らんだほか、大型株の医薬品株が売りに押されたことも指数を押し下げた。
 
20日の英金利政策発表で、英中央銀行イングランド銀行が政策金利を据え置いたことを受けて、銀行株は下げ幅を広げた。原油相場の大幅な下落を背景に石油株にも売りが膨らんだ。
 
個別銘柄では、食品・日用品のユニリーバも上げ幅を縮小した。配当の権利落ちとなった水道サービス会社のユナイテッド・ユーティリティーズが約6%超安と大幅下落した。住宅大手バラット・デベロップメンツと英投資会社メルローズ・インダストリーズは各3.8%安だった。
 
半面、英オンライン食品販売オカド・グループは3.8%高、有料テレビ大手のスカイが続伸し、高く引けた。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12511.91(-183.25)
ドイツ株式指数(DAX)は大幅反落。終値は前日20日と比べて183.25ポイント安の12511.91だった。
米中貿易摩擦をめぐる先行き不透明感がくすぶるなか、自動車株が下落した。
個別では、ダイムラーは4%超安で引けた。関税による影響が懸念され、通期の業績目標を引き下げた。フォルクスワーゲンとBMWは3%前後の下落。日用品のバイヤースドルフが大幅安となった。
 
一方、アディダスや医療機器のフレゼニウスが小幅上昇した。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5316.01(-56.30)
フランスの株価指数CAC40は1%前後下げた。
 

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