15日のNYダウ工業株30種平均は前日比60ドル08セント高の2万3685ドル42セントで終えた。経済活動の再開に伴う米景気指標の改善や原油先物相場の上昇などを好感した買いが入った。
朝方は売りが優勢で、ダウ平均は270ドル安まで下げる場面があった。米商務省が15日に中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に対する事実上の禁輸措置を強化すると発表した。米国製の半導体製造装置を使っていれば、米国外で製造した半導体でもファーウェイに輸出できなくなる。中国政府も対抗措置をとる構えで、中国共産党系メディアはスマートフォンのアップルや半導体のクアルコムなどが標的となる可能性を報じた。
ダウ平均は中盤まで、米中対立深刻化への懸念や、米経済指標の大幅悪化を嫌気し、おおむねマイナス圏で推移。終盤はウォルト・ディズニーやホーム・デポなどの上昇が支えとなり、プラス圏に浮上した。
ニューヨーク連銀が発表した5月の製造業景況指数は景況感の弱さを示す水準だったものの4月からは改善した。4月の消費者態度指数(ミシガン大学調べ)も市場予想を上回った。米国では30州以上が経済活動を再開。経済規模の大きいニューヨーク州も一部地域で経済活動の再開を決めた。米景気が回復に向かうとの期待が買いを誘った。
原油先物市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近物が一時2カ月ぶりの高値を付けた。原油相場が底入れすれば、エネルギー産業の低迷を通じた米経済の下振れリスクが減るとして買い安心感につながった。
米下院は野党民主党がまとめた追加の経済対策を可決する見通しと伝わった。与党共和党が多数派の上院を通過する可能性は低いが、与野党が近く追加策をまとめるとの期待感も相場を支えた。
トランプ米大統領は14日もFOXテレビのインタビューでも新型コロナウイルスへの中国の対応を批判し、米中の関係遮断にも言及していた。米議会でも人権問題などで中国への圧力を強めるようトランプ政権に求める動きが強まっている。米中の対立が米景気回復を遅らせかねないとの懸念が広がった。
一方で、トランプ米大統領はこの日、新型コロナウイルスの複数のワクチン候補に米政府が投資すると表明。トランプ氏は年末までにワクチン利用が可能になるとの期待を語った。
セクター別では、メディア・娯楽や小売りが上昇した一方で、公益事業、半導体・同製造装置は下落。
ナスダック総合株価指数は同70.84ポイント高の9014.56で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムやSNS(交流サイト)のフェイスブックが上昇した。
NYダウ工業株30種(ドル)
23,685.42+60.08
S&P500種
2,863.70+11.20
ナスダック
9,014.560+70.839
NY金(ドル/トロイオンス)
1,756.30+15.40
NY原油(ドル/バレル)
29.65+2.09
円・ドル
107.13 – 107.15+0.27
【シカゴ日本株先物概況】
15日のシカゴ日経平均先物は小幅に下落した。6月物は前日比40円安の2万0020円で引け、15日の大取終値を20円下回った。
経済指標や米中関係の悪化懸念を背景に売られた。15日発表の4月の米小売売上高が過去最大の下げ幅を記録し、個人消費の落ち込みが意識された。
5月のミシガン大消費者信頼感が予想外に改善したほか、NY州を始め経済活動の再開が一段と拡大される見通しとなり、NYダウは緩やかに上昇に転じる展開となった。引けにかけては景況感の改善を示す指標や経済再開への期待から投資家心理がやや上向き、日経平均先物は下げ幅を縮めた。
この日の6月物安値は1万9820円、高値は2万0180円。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
15日のFTSE100種総合株価指数は、中国の景気回復を示す統計が支援材料となり、3日ぶりに反発した。前日の終値に比べ58.23ポイント(1.0%)高の5799.77で引けた。
15日発表の4月の中国工業生産高は4カ月ぶりに前年同月比でプラスに転じた。新型コロナウイルスのまん延後の中国生産の回復を好感し、資源メジャーのアングロ・アメリカンやリオ・ティント、BHPビリトンなど資源株を中心に買いが広がった。
個別銘柄では、英航空・防衛会社メギットが7.2%高。旅行大手カーニバルは6.7%高、メキシコ産金大手フレスニロは6.1%高。英通信大手BTは5.4%高、英投資会社メルローズ・インダストリーズは5.2%高、アングロ・アメリカンは5.1%高だった。
一方、英プライベート・エクイティ会社3i(スリーアイ)グループは3.9%安、英金融大手M&Gは3.7%安、英衣類小売ネクストは3.3%安とふるわなかった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
15日のドイツ株式指数(DAX)は5日ぶりに反発した。終値は前日と比べて128.15ポイント(1.2%)高の10465.17だった。
1-3月期実質GDP速報値が前年同期比2.3%減と市場予想(同2.0%減)を下回る落ち込みをみせたが、反応薄となっている。きのうまで4日続落しており、反動買いが入っているようだ。自動車セクターを中心に幅広いセクターで上昇している。
■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)4,277.63+4.50
