9日のNYダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、前日比201ドル92セント安の2万5989ドル30セントで終えた。
この日のNYダウは安寄りして開始。中国が同日発表した10月の卸売物価指数(PPI)は前年同月比3.3%上昇となり、4カ月連続で伸びが鈍化。米中貿易摩擦の激化による経済への悪影響が警戒され、中国事業の比率が高い資本財やハイテク株を中心に売りが出た。
アマゾン・ドット・コムやアップル、マイクロソフトなど主力株が総じて下げ、投資家心理の重荷となった。
また、供給過剰懸念を背景に原油先物価格が下落したことや、月末に米中首脳会談が予定される中、対中強硬派のナバロ米大統領補佐官(通商製造業政策担当)が中国を批判したと伝わったことも投資家のリスク回避姿勢を強めた。
ニューヨーク原油先物相場は10日続落し一時9カ月ぶりの安値を付けた。原油相場の下落で世界経済の減速懸念が改めて強まった。中国汽車工業協会は9日、10月の中国の新車販売台数が前年同月比11.7%減り、1~10月の累計販売台数がマイナスに転じたと発表したことも材料視された。
セクター別では、家庭用品・パーソナル用品や食品・飲料・タバコが上昇する一方でテクノロジー・ハード・機器や自動車・自動車部品が下落した。
建機のキャタピラーや工業製品・事務用品のスリーエム(3M)など、中国事業の比率が高い銘柄の売りが目立った。ゼネラル・モーターズ(GM)も大幅安だった。
ナスダック総合株価指数は続落し、前日比123.983ポイント安の7406.902で終えた。アマゾンなどに加え、マイクロン・テクノロジーやインテルといった半導体株やバイオ製薬株も売り優勢だった。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,989.30-201.92
S&P500種
2,781.01-25.82
ナスダック
7,406.902-123.983
NY金(ドル/トロイオンス)
1,225.10-3.60
NY原油(ドル/バレル)
59.84-0.83
円・ドル
113.81 – 113.82 +0.12
【シカゴ日本株先物概況】
日経平均先物は続落した。12月物は前日比335円安の2万2125円で引け、9日の大取終値を145円下回った。
米利上げ継続見通しや原油安による景気減速懸念が広がり、米株とともに売られた。12月物は日中取引で一時2万2010円まで下げたが、引けにかけて下げ幅を縮めた。
この日の12月物高値は2万2485円。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数は3日ぶりに反落した。前日の終値に比べ35.34ポイント安の7105.34で引けた。構成銘柄の約6割が下落した。
中国経済の先行き不透明感などが相場を下押しした。
朝方発表された英7~9月期GDP速報値は前期から加速し、通貨ポンドも対ドルで下落したが、株価は安値圏でのもみ合いだった。中国で発表された経済指標が市場予想を下回り、米中貿易摩擦の影響に懸念が広がった。
個別銘柄は、鉱業のアントファガスタとフレスニージョがそれぞれ4%超下落した。銀行株も安くなった。電力のSSEも売られた。英規制当局が電気料金の上限規制を提案したことにともない、同社は独同業RWEの子会社イノジーと、それぞれの英小売部門を提携させる条件の変更について交渉している。
中国経済の影響を受けやすい高級衣料バーバリーが4.9%安と軟調となった。
半面、医薬品株は上昇した。前日に新薬の貢献で増収を発表したアストラゼネカは、複数のアナリストが株価目標を引き上げたことから、この日も買われた。情報・出版のインフォーマは、1~10月の売上高が増え、通期予想を達成する見通しを示したことから上昇した。たばこのインペリアル・ブランズの値上がりも目立った。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数(DAX)は小反発した。終値は前日と比べて1.84ポイント高の11529.16だった。
当面の米利上げ継続に対する警戒感から、アジアと米国の株式が下落し、ドイツも日中は下がっていたが、午後に上昇に転じた。
個別銘柄では、航空のルフトハンザは大幅高。10月の乗客数が増加したことが好感された。アナリストが株価目標を引き上げた保険のアリアンツも上がった。
一方、鉄鋼のティッセン・クルップは9%超の下落。一時は約12%下がった。今年2度目となる通期の利益見通し引き下げが嫌気された。自動車のフォルクスワーゲンも大幅安。フォルクスワーゲンブランドの10月の販売台数が落ち込んだ。
■フランス・パリ株価指数
仏CAC40 5106.75 -24.70
