NYダウは148ドル安、大型M&Aを嫌気、通信株売りへ波及

4月30日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前週末比148ドル04セント安の2万4163ドル15セントで終えた。
米企業決算発表が佳境を迎える中、これまでに発表された2018年1~3月期米企業決算がおおむね良好な内容であることから、投資家に買い安心感を与えており、ダウは寄り付きから上伸した。
通信セクターの大型買収成立が嫌気されたほか、明日から2日間にわたり開催されるFOMCの結果発表や、今週の決算発表の動向を見極めたいとの思惑から、午後にかけて上げ幅を縮小し、下落に転じた。
 
29日に株式交換による統合を発表したソフトバンクグループ傘下で米携帯4位のスプリントと同3位のTモバイルUSが、米規制当局の反対を警戒した売りで急落した。同1位のベライゾン・コミュニケーションズなどほかの通信株の売りに波及し、投資家心理を弱気に傾けた。
 
イスラエルのネタニヤフ首相がイランについて「核兵器開発の極秘計画があったにも関わらずウソをついていた」と述べたと伝わった。同氏と会談したポンペオ米国務長官は前日、「イラン核合意は欠陥がある」と発言した。核合意を巡る先行き不透明感もリスク資産の重荷になった。
 
朝方発表された3月の個人消費支出(PCE)デフレーターは、米連邦準備理事会(FRB)が物価指標として注視するコア指数が前年同月比1.9%上昇した。5月1~2日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、利上げ議論の行方を見極める雰囲気が広がったことも株式の買い控えにつながった。
 
午前のダウ平均は堅調に推移し、一時は前週末終値を170ドル近く上回った。外食のマクドナルドが大幅高となり、相場を押し上げた。朝方発表した四半期決算で特別項目を除いた1株利益と売上高がともに市場予想を上回った。
 
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前週末比53.533ポイント低い7066.266で終えた。
 
セクター別では、消費者・サービスやテクノロジー・ハード・機器が上昇する一方で電気通信サービスや自動車・自動車部品が下落した。
 
個別では、アルミ応用製品のアルコニック(ARNC)は、通期の業績見通しを引き下げ急落した。米製油大手のマラソン・ペトロリアムは同業のアンデバーを買収すると発表し、財務負担を警戒した売りに押された。バイオ医薬品のセルジーン(CELG)は、モルガンスタンレーが同社の多発性硬化症治療薬の新薬承認に最長3年を要する可能性を指摘し軟調推移した。四半期決算を手掛かりにアイルランドの製薬アラガンも売られた。
 
一方で、マラソンによる買収を好感した買いでアンデバーは急伸した。小売大手のウォルマート(WMT)は、英同業のセインズベリーに傘下の小売業者アズダの売却で合意し買われた。
ツイッターはコンテンツの制作と広告配信で映画・娯楽のウォルト・ディズニーと提携することで合意したと発表し、大幅に上昇。ディズニーも買い優勢で終えた。
 
 
VIX指数は15.93と上昇(前営業日15.41)。
米主要株価指数は、中東の地政学リスクへの警戒感が高まったこと、米中通商協議への警戒感などから先週末比でマイナス圏に沈んだ。VIX指数は一時16.35まで上昇した。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,163.15-148.04
S&P500種
2,648.05-21.86
ナスダック
7,066.266-53.533
 
米10年債利回り(%)
2.955 -0.002
米2年債利回り(%)
2.492 +0.008
 
NY金(ドル/トロイオンス)
1,319.20-4.20
NY原油(ドル/バレル)
68.61+0.04
円・ドル
109.25 – 109.26   -0.14

 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は小幅反落した。6月物は前週末比10円安の2万2440円とこの日の安値寄りで引け、27日の大取終値を70円下回った。
上昇して始まった米株が下落に転じ、日経平均先物も売りに押された。この日の6月物安値は2万2425円、高値は2万2640円。
東京株式市場が休場とあって取引は低調だった。
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
22440 ( -70 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
22450 ( -60 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7509.30(+7.09)
FTSE100種総合株価指数は小幅ながら3日続伸した。前週末27日の終値に比べ7.09ポイント高の7509.30で引けた。構成銘柄の半数以上が上昇した。一時45ポイント程度上昇し、1月下旬以来の高値を上回る局面もあったが、午後にかけて上げ幅を縮小した。
 
個別では、経営統合を発表したスーパーマーケットのセインズベリーが大幅上昇し、指数をけん引した。朝方からセインズベリーが大幅上昇し、14%超高で引けた。一時20%以上、上げる場面もあった。
30日に米小売り最大手ウォルマート傘下のアズダと経営統合することで合意したと発表した。英スーパーマーケット2位のセインズベリーと3位のアズダが統合すると、市場シェアで最大手のテスコの規模を上回る。株価の先高観などを意識した買いが入った。
 
WPPグループは第1四半期の売り上げが市場予想を上回ったことが好感され、大幅高で引けた。事実上の創業者である最高経営責任者(CEO)の辞任による業績の先行きが懸念されていた。
 
半面、軟調な原油相場を背景に石油株が売られた。前週末に上昇して引けたこともあり、利益確定の売りも出た。
資源商社のグレンコアの下げが目立った。アナリストが目標株価と投資判断を引き下げたことが売り材料視された。ソフトウエア開発のマイクロフォーカスと飲料のコカ・コーラ・ヘレニック・ボトリングが安かった。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12612.11(+31.24)
ドイツ株式指数(DAX)は3日続伸。終値は前週末27日と比べて31.24ポイント高の12612.11だった。
 
個別では、電力のエーオンが高くなった。RWEも上昇した。医療機器のフレゼニウスが上昇した。
一方、鉄鋼のティッセン・クルップと航空のルフトハンザが安かった。米携帯スプリントと合併合意した同TモバイルUSの親会社ドイツテレコムは、午前は小幅上昇していたが、結局下落した。自動車株も軟調だった。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5520.50(+37.31)

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