NYダウは193ドル安、長期金利上昇が重荷

15日のNYダウ工業株30種平均は9営業日ぶりに反落した。前日比193ドル00セント安の2万4706ドル41セントで終えた。
4月小売売上高が前月から増加し米国債利回りが2011年以来の高水準に到達すると、企業収益や景気への悪影響が懸念され、終日軟調推移となった。
 
また、米国のブランスタッド駐中国大使が15日、東京都内で開かれた会合で、米中貿易摩擦について、両国間には大きな見解の隔たりがあると表明したとの報も圧迫材料だった。前日のダウは、米中による貿易摩擦解消に向けた協議進展への期待から上伸していたが、この日は一転、協議が予想外に難航するのではないかとの観測が広がっていた。
 
米長期金利の指標である10年物国債利回りは一時3.09%に上昇した。金利上昇は家計や企業の資金調達コストを押し上げるうえ、利回りでみた株価の割高感につながるとの見方から株売りが広がった。
ダウ平均の下げ幅は一時270ドルに達した。
 
住宅ローン金利が一段と上昇し、住宅需要を冷やす可能性も意識された。DRホートンやトール・ブラザーズなど住宅建設株に売りが膨らんだ。ホーム・デポは2018年2~4月期決算で売上高と通期の見通しが市場予想を下回り、先行きの成長力に不透明感が強まり売りに押された。
 
外国為替市場でドルが主要通貨に対して上昇し、建機のキャタピラーや半導体のインテルなど海外事業の比率が高い銘柄の売りを促した面もある。
 
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比59.688ポイント安の7351.627で終了した。アルファベット(グーグル)やアマゾン・ドット・コムなど主力株が軒並み下げ、指数の重荷となった。
 
セクター別では、自動車・自動車部品や銀行が上昇する一方で不動産や半導体・半導体製造装置が下落した。
 
個別では、医療用計測機器を手掛けるアジレント・テクノロジー(A)は、慎重な通期見通しが嫌気され、下落。電気自動車のテスラも下落。モルガン・スタンレーによる目標株価の引き下げを受けて売られた。株価上昇が続いていたクアルコムやエヌビディアなど半導体株の一角にも売りが膨らんだ。
 
一方、スポーツ用品のナイキや映画・娯楽大手ウォルト・ディズニーが上昇した。金利上昇による利ざや拡大の期待からBB&Tなど一部の地銀も上げた。
アパレルのギャップ(GPS)は、一部アナリストによる投資判断引き上げを受けて上昇した。
 
 
VIX指数は14.63と上昇(前営業日12.93)。米債利回りの急上昇を嫌気し、NY株式市場は寄付きから売りが先行した。
米株主要3指数は、終日マイナス圏での推移。VIX指数も底堅い動きとなり、一時15.01まで上昇した。米株が下げ幅をやや縮小して引けると、VIXも高値から緩み終えた。
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,706.41-193.00
S&P500種
2,711.45-18.68
ナスダック
7,351.627-59.688
 
米10年債利回り(%)
3.0723 +0.077
米2年債利回り(%)
2.5766 +0.03
 
NY金(ドル/トロイオンス)
1,290.30-27.90
NY原油(ドル/バレル)
70.94-0.37
円・ドル
110.26 – 110.27+0.38

 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は反落した。6月物は前日比135円安の2万2745円で引け、同日の大取終値を75円下回った。
米長期金利が上昇し約7年ぶりの高水準をつけたため、米株とともに売られた。朝方発表になった4月の米小売売上高など堅調な景気指標が長期金利の上昇を招いた。
この日の6月物安値は2万2720円、高値は2万2910円。
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
22745 ( -75 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
22755 ( -65 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7722.98(+12.00)
FTSE100種総合株価指数は小反発した。前日14日の終値に比べ12.0ポイント高の7722.98で引けた。上昇と下落の銘柄数はほぼ拮抗。午後には小幅安に転じる場面もあった。
石油株の上げが株価指数を押し上げた。石油のロイヤル・ダッチ・シェルとBPが高くなった。欧州で複数の銀行が好決算を発表したことから銀行株も買われ、指数押し上げ要因となった。
独コメルツ銀行や仏クレディ・アグリコルが決算発表後に上昇し、英国でもHSBCホールディングスなど銀行株が買われた。
 
一方で、時価総額の大きい携帯電話サービスのボーダフォン・グループは午後に一段安となり、指数の上値を抑えた。ボーダフォン・グループは、今秋に最高経営責任者(CEO)が交代すると発表し、経営の先行き不透明感から4%超下がった。
通信のBTグループは通期決算と業績見通しを発表した10日以来、4日連続で下落した。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12970.04(-7.67)
ドイツ株式指数(DAX)は3日続落した。終値は前日14日と比べて7.67ポイント安の12970.04だった。午後に上昇に転じる場面もあったが、その後再び下落した。決算発表が個別銘柄の明暗を分けた。
 
個別では、鉄鋼のティッセン・クルップは6%超下落した。エレベーターや自動車部品など資本財部門の利益率見通しを引き下げたことが響いた。医薬・化学大手の独メルクも6%超下がった。第1四半期の利益が減少したと発表したことが嫌気された。アナリストが株価目標を引き下げたことも売り材料となった。
 
一方で、コメルツ銀行は4%近く上がった。第1四半期の税引き前利益の減少幅が市場予想を下回ったことが好感された。電力のRWEは、第1四半期が減益となったものの、減少幅は市場予想よりも小さかったことから買われた。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5553.16(+12.48)
フランスの株価指数CAC40の終値は前日に比べて0.23%上昇し5553.16と、終値ベースで2007年12月下旬以来の高値を付けた。

 

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