17日のNYダウ工業株30種平均は前日比54ドル95セント安の2万4713ドル98セントと反落で終えた。
米長期金利の上昇で株式の割高感が意識された。貿易摩擦をめぐる米中協議の進展への不安から買い手控えにつながった。ダウ平均は一時129ドル安まで下げ幅を広げた。
米長期金利の指標とされる10年物国債利回りが17日未明に3.12%まで上昇した。債券に比べた相対的な割高感が強まったとして、ハイテク株などを中心に売りが出た。
さらにダウの重しとなったのは、構成銘柄である小売り世界最大手のウォルマート。同日朝に発表された2018年2~4月期決算は売上高が4.4%増と堅調だったが、価格競争の激化で利益率が低下したことが嫌気され、同社株は大幅安。
一方、2~4月期決算で純損失を計上した百貨店大手のJCペニー株も急落した。
半面、石油株がダウへ金の下値を支えた。原油先物相場が上昇し、収益拡大への期待からシェブロンなどが上昇した。米景気の拡大観測から、内需株が多い小型株への買いも続いた。小型株で構成する株価指数ラッセル2000は連日で過去最高値を更新した。
ナスダック総合株価指数は同15.822ポイント安の7382.473で終えた。アップルやアマゾン・ドット・コムなどが売られ、指数を押し下げた。
セクター別では、エネルギーや自動車・自動車部品が上昇する一方でテクノロジー・ハード・機器やメディアが下落した。
個別銘柄では、法人顧客の書類を不正に書き換えていたと報じられた銀行のウェルズ・ファーゴも安い。メディア大手のバイアコムに対する買収交渉が進むとの見方から、同業のCBSが大幅安となった。長期金利上昇による株価評価(バリュエーション)への懸念からソフトウェアのマイクロソフト(MSFT)、ネット小売のアマゾン(AMZN)など主要ハイテク株にも売りが広がった。
一方、アナリストによる投資判断と目標株価の引き上げが伝わった飲料のコカ・コーラは上昇。英ネットスーパーとの提携を発表した食品スーパーのクローガーが買われた。
食材宅配サービスのブルーエプロン(APRN)は新CFOを発表し上昇。玩具メーカーのハズブロ(HAS)は、5億ドルの自社株買い計画を発表し買われた。
VIX指数は13.43と上昇(前営業日13.42)。VIXは前日引け水準を挟み上下した。
小幅安で寄り付いた米株主要3指数がプラス圏で推移し始めると、VIX指数も一時12.65まで下落。
その後、トランプ米大統領が米朝首脳会談開催や中国との通商協議について懐疑的な発言をすると、ダウ平均は一時3桁安まで弱含み、恐怖指数VIXも13後半まで上昇する局面はあった。ただし大きくリスク回避に傾くわけではなく、引けにかけてやや低下し、前日終値とほぼ横ばいで引けた。
NYダウ工業株30種(ドル)
24,713.98 -54.95
S&P500種
2,720.13 -2.33
ナスダック
7,382.473-15.822
米10年債利回り(%)
3.1131 +0.018
米2年債利回り(%)
2.5688 -0.02
NY金(ドル/トロイオンス)
1,291.50 +1.20 16日 終値
NY原油(ドル/バレル)
71.57 +0.08
円・ドル
110.75 – 110.76 +0.59
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は続伸した。6月物は前日比90円高の2万2900円で引け、同日の大取終値を60円上回った。円安を好感された。
米長期金利の上昇を背景に米株が反落すると、伸び悩んだ。米中通商交渉の行方を見極めたい市場参加者も多い。
この日の6月物高値は2万2955円、安値は2万2785円。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
22900 ( +60 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
22900 ( +60 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数は3日続伸した。前日16日の終値に比べ53.77ポイント高の7787.97と、1月12日に付けた最高値を更新した。構成銘柄の約8割が上昇した。
北海ブレント原油先物が3年半ぶりに80ドル台を付けるなど上昇が続くなか、石油株の上げ幅が午後に広がり、これに伴い株価指数も一段高となった。好決算を発表した企業銘柄の上げも指数上昇に貢献した。
個別銘柄では、石油のロイヤル・ダッチ・シェルとBPが買われた。信用調査のエクスペリアンは5%超上がった。通期売上高が増加したほか、2018年も成長が期待できるとの見方を示した。
電力・ガス供給のナショナル・グリッドは、通期利益が増加したことが好感され3%超上昇した。
前日に好決算と自社株買い戻しを発表したファッションのバーバリー・グループはこの日も3%超上がった。複数のアナリストがこの日、株価目標を引き上げたことも買いにつながった。
半面、銀行のHSBCホールディングスと品質試験サービスのインターテック・グループは配当権利落ちで売られた。
郵便大手のロイヤル・メールは7%安。3月末までの通期売上高は増加したものの、今期は手紙等取り扱い量が減っていることが業績に悪影響を及ぼすおそれがあると指摘したことが嫌気された。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数(DAX)は続伸した。終値は前日16日と比べて118.28ポイント高の13114.61だった。午後に一段高となった。
個別銘柄では、医薬・化学大手の独メルクは6%超上がった。肺がん治療薬の臨床結果が良好だったことが買い材料となった。
透析器大手のフレゼニウス・メディカル・ケアは、堅調な成長が続くとの見通しを示し、3%超上昇した。
一方で、下落したのは、コメルツ銀行と消費財のヘンケル、ドイツポスト、ドイツテレコムの4銘柄だけだった。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40の終値が前日に比べて0.98%高の5621.92と、連日で2007年12月以来の高値を更新した。
