21日のNYダウ工業株30種平均が続伸し、前週末比298ドル20セント高の2万5013ドル29セントで終えた。およそ2カ月ぶりに2万5000ドル台を回復した。
米中両政府は週末19日に共同声明を発表し、米国の対中貿易赤字の貿易削減に向け中国が取り組みを進めることで一致。さらに、両国が実施の可能性に言及してきた巨額の追加関税についても棚上げで合意したことで投資家心理の改善から買いが先行した。
中国による制裁措置の影響が大きいとされた航空機メーカーのボーイング(BA)や建設機械のキャタピラー(CAT)に買い戻しが広がったほか、機械・航空機関連のユナイテッド・テクノロジーズも上げ、3銘柄でダウ平均を120ドルあまり押し上げた。
原油相場の上昇も好感され、終日堅調推移となった。
ただ、市場関係者からは「米中通商協議では今後、悪い話も出てくるだろう。懸念後退による株買いは一時的との見方が強い」との声も聞かれ、上値は重かった。
上昇基調にある米長期金利に対する警戒感も根強く、市場は23日に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨などを手掛かりに、利上げペースを見極めたい考えだ。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発し、同39.697ポイント高の7394.036で終えた。
セクター別では、資本財や電気通信サービスが上昇する一方で医薬品・バイオテクノロジーやメディアが下落した。
個別では、輸送関連事業を本体から切り離し、外部企業と統合すると発表したゼネラル・エレクトリック(GE)が高い。半導体のマイクロン・テクノロジー(MU)は、3-5月期の利益見通しを引き上げ上昇。電気自動車のテスラ・モーターズ(TSLA)は、「モデル3」の高性能モデルの受注を開始し堅調推移した。
一方で、食料品のキャンベルスープ(CPB)は、バンクオブアメリカ・メリルリンチによる投資判断引き下げを受け下落した。
鉄鋼のUSスチールやAKスチールが下落した。米政府が中国に対する追加関税を先送りし、売り材料視された。
VIX指数は13.08と前日から連日低下した(前営業日13.42)。貿易摩擦解消に向けた米中協議の進展を好感し、週明けの米株が大幅反発し、VIX指数は一時12.78まで低下した。ダウ平均は3月下旬以来の25000ドル台を回復した。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,013.29+298.20
S&P500種
2,733.01+20.04
ナスダック
7,394.036+39.697
米10年国債(%)
3.058-0.003
米30年国債(%)
3.201+0.002
NY金(ドル/トロイオンス)
1,290.90-0.40
NY原油(ドル/バレル)
72.57+1.29
円・ドル
111.01 – 111.02-0.34
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は反発した。6月物は前週末比185円高の2万3025円で引け、同日の大取終値を15円上回った。
米中貿易摩擦への懸念が薄れ、米株とともに買われた。ムニューシン米財務長官が「貿易戦争を当面保留する」と述べたことも好感された。円安も支援材料。
この日の6月物高値は2万3050円、安値は2万2895円。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
23025 ( +15 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
23030 ( +20 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7859.17(+80.38)
FTSE100種総合株価指数は反発した。前週末18日の終値に比べ80.38ポイント高の7859.17と、今月17日に付けた最高値を更新した。構成銘柄の約9割が上昇した。
米中の貿易摩擦問題への懸念が後退し、ドル高・ポンド安が進んだことから、通貨安で恩恵を受ける輸出関連株を中心に買われた。商品株と医薬品株の上げが株価指数を押し上げた。
個別では、石油のロイヤル・ダッチ・シェルとBPはともに午後に上げ幅を広げた。鉱業関連株も買われ、アングロ・アメリカンと資源商社のグレンコアの上げが目立った。
医薬品株も上昇した。アストラゼネカは3%超上がった。米食品医薬品局(FDA)が同社の高カリウム血症治療薬を承認したほか、アナリストが株価目標を引き上げたことなどが好感された。
HSBCホールディングスなど銀行株とオールド・ミューチュアルなど保険株も高くなった。スーパーマーケットのセインズベリーもそれぞれ大幅高となった。
半面、ロシアの鉄鋼大手エブラズとソフトウエア開発のマイクロフォーカス、ブリティッシュ・アメリカン・タバコは売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5637.51(+23.00)
■ドイツ・フランクフルト株価指数
休場
