23日のNYダウ工業株30種平均は前日比424ドル69セント安の2万3533ドル20セントと3日続落した。2017年11月22日以来ほぼ4カ月ぶりの安値で終えた。週間の下落率は5.7%と16年1月上旬以来の大きさ。
ナスダック総合株価指数は同174.011ポイント安の6992.666と節目の7000を下回り、2月12日以来の安値で終えた。
朝方は買い戻しの動きが広がったものの、トランプ政権による制裁関税策や世界貿易機関(WTO)への提訴に対する報復として、中国が米国産の豚肉や果物などに追加関税を課す計画を発表したことで貿易摩擦への懸念が強まり、もみ合う展開となった。その後、トランプ大統領が拒否権発動を示唆していた歳出法案に署名し上昇する場面もあったが、中国による米国債購入の減額検討や、ロシアの報復措置の報道を受け、引けにかけては下げ幅を拡大する展開となった
前日に大きく下げた反動で自律反発狙いの買いが先行したが、米中の貿易戦争への懸念が強く、午後にかけて幅広い銘柄で売りが優勢となった。
ハイテク株の下げも目立った。アマゾン・ドット・コム、会員情報の流用問題への懸念がくすぶるフェイスブックがともに3%強下落した。ナスダック指数が市場関係者が下値支持線として意識していた100日移動平均を明確に下回ると、幅広い銘柄に売りが広がった。
セクター別では全面安となり、特に半導体・半導体製造装置や銀行の下落が目立った。
個別では、半導体のマイクロン・テクノロジー(MU)は、3-5月の売上見通しが予想に届かず下落。中国の売上高比率が高い工業製品・事務用品のスリーエム(3M)や建機のキャタピラーへの売りが続いた。
米長期金利の低下で、ゴールドマン・サックス(GS)やJPモルガン・チェースなど金融株も軟調だった。ディスカウントストアのターゲット(TGT)は、食品小売のクローガー(KR)との合併協議が明らかとなり、売られた。
一方、ナスダック市場にこの日上場したクラウドデータ保管・共有のドロップボックスは公開価格を35%あまり上回る水準で取引を終えた。住宅メーカーのKBホーム(KBH)は、決算内容が好感され上昇。スポーツ用品のナイキ(NKE)は、売上高が予想を上振れ買われた。
VIX指数は24.87と上昇(前営業日23.34)。2月13日以来の高値で終えた。
反発して寄り付いた米株は売りに転じ、結局は大幅安となった。VIX指数は一時26.01と、2日につけた直近の節目26.22に迫った。市場心理の悪化の目安となる20を上回っての推移が続いた。
NYダウ工業株30種(ドル)
23,533.20-424.69
S&P500種2,588.26-55.43
ナスダック
6,992.666-174.011
米10年債利回り(%)
2.8135 -0.019
米2年債利回り(%)
2.2579 -0.029
NY金(ドル/トロイオンス)
1,349.90+22.50
NY原油(ドル/バレル)
65.74+1.44
円・ドル
104.75 – 104.76-0.93
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は3日続落し、この日の安値近くで引けた。6月物は前日比690円安の2万0170円で引け、同日の大取終値を180円下回った。米中の貿易摩擦が世界景気の減速を招くとの懸念から、米株とともに売り進まれた。
中国が23日に米農産物の関税引き上げなど報復措置を示した。トランプ米政権の大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に対外強硬派とみられるジョン・ボルトン元国連大使が起用されたことも、世界情勢の先行き不透明感を強めた。
この日の6月物安値は2万0130円、高値は2万0810円。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
20170 ( -180 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
20215 ( -135 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数は3日続落。前日22日の終値に比べ30.65ポイント安の6921.94で引けた。構成銘柄の約7割が下落した。
投資家のリスク回避で世界的に株安傾向となる中、朝方から売りが優勢だった。日中の取引時間中に2016年12月上旬以来の低水準となる6800台まで下げる場面があった。ただ午後に入り、割安感に着目した銘柄に買い戻しが入り下げ幅をやや縮小した。
景気敏感株とされる銀行株をはじめ、金融株が全面安で引けた。
個別では、保険のオールド・ミューチュアル、アヴィヴァの下げが目立った。
コアビジネスの不振が響き、上期の決算内容が悪化した自動車・航空部品のスミス・グループが安かった。朝方には1割程度下げていた。
品質試験サービスのインターテック・グループや航空機エンジンのロールス・ロイスも安くなった。
半面、ネクストが7%超高と大幅上昇した。通年の利益が減益となったものの、自社株買い計画などで1株利益の上昇見通しを示したことで株価の先高観が意識された。前日大幅下落したソフトウエア開発のマイクロフォーカスと小売りのキングフィッシャーには割安感が出て、ともに上昇した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数(DAX)は連日で大幅下落し、続落した。
終値は前日22日と比べて213.77ポイント安の11886.31と、2017年2月下旬以来、約1年1カ月ぶりの安値水準だった。
世界的な株安に連れ、ほぼ全面安となった。
個別では、タイヤのコンチネンタル、鉄鋼のティッセン・クルップ、医薬・農薬大手のバイエルの下げが目立った。一方で電力のエーオンとドイツテレコムの2銘柄が小幅高で引けた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)5,095.22-71.99
フランスの株価指数CAC40の終値は前日に比べて1.39%安となった。
