「俯瞰」
国有地払い下げ問題というのは明治の頃から政治ネタになってきた材料。
森友問題もさることながら、信濃川河川敷払い下げ問題(田中角栄内閣)などもあった。
古くは明治時代の「開拓使官有物払い下げ」(黒田清隆)などもあった。
信濃川の場合はファミリー企業への払い下げ問題が問題視されたが、今回は関係ない。
というか政治は国家観や未来展望でなくなどでなくこういう問題を論じることが好きなだけなのだろう。
正直「飽きている」というのが本音。
全体から個別を類推しがでもある株式市場。
しかし個別から全体が見えることもある。
例えば分割を発表したMDV(3902)。
医療データの一元化は国策。
2200万人ということは国民6人に一人の医療データを保有している。
これを活用した治験ビジネス。
従来は患者さん探しに苦慮していたがこのデータを使えば条件にある被験者のいる病院がすぐわかる。
もちろん個人情報は入っていないので、病院へは薬品メーカーの担当者が出向いて調査。
しかし従来は完全に人海戦術だった。
コストと時間の節約は価格の下落にもつながろう。
もうひとつ興味深いのは「検診・健診データを利用したセカンドオピニオンサービス」。
医師ネットワークと健診データを結びつけて最高の診断を受けられるようにするという。
加えて6期連続の増収増益だ。
もう一つは夢真(2362)の方向性。
建設現場の施工管理者の派遣というのがコアだった同社。
これはこれで大きく伸びる分野だ。
加えて技術者派遣も拡大し6000人の技術者集団を形成するという。
つまりITエンジニアだ。
ただ従来思考のようなメーカーへのIT技術者派遣ではない。
一般企業で不足しているIT技術者がターゲットだという。
企業のIT化は小売りでも物流でもあらゆる場面でIT技術者を必要とする時代。
これは相当面白い戦略だ。
もう一つは今話題のRPA(ロボティックス・プロセス・オートメーション)。
ロボットによる業務自動化の取り組みのことだ。
バックオフィスのホワイトカラーの業務代行が注目され始めている。
もっとも、基本は3つある。
(1)物理的:工場などのロボット
(2)対人:小売や金融などのフロント対面ロボット
(3)事務処理:いわゆる今のRPAの中核
先日LTS(6560)の椛島社長に伺った話も興味深かった。
「導入してみたものの最適化することに苦慮している企業は多いです」。
誰もがデジタルシフトと働き方改革の方向の中でIT化は推進している。
メガバンクのように多額のコストをかければ問題はないのだろう。
しかし局所的処理が重なるケースが多いという。
となるとシステムそのものの負担も増加。
あるいはシステムがバラバラになってかえって使い勝手が悪いことも生じるという。
システムの導入よりはむしろ企業の人材を研修することの方がはるかに効果的というケースも多いとの話。
だからこその過去最高の業績。
いろいろな側面から物事を見ることが必要だ。
因みに同社の最新のレポートは「RPAの躍進から見る日本企業のIT課題」。
↓
RPAはシステム化に比べれば迅速性やコストの低さという観点からは便利なツールです。
一方で人がデスクトップ上で行っている作業を自動化するツールという特性上、
セキュリティや内部統制、プロセス管理の観点からは(少なくとも今のところは)
情報システムと比較すると脆弱な仕組みであることも事実です。
またRPAはあくまでも現行の仕事のやり方を局所的に自動化するものに過ぎず、
業務の抜本的な見直しには向かないツールです。
ですから当初からRPA活用を前提としてしまうと、無駄な業務や属人化された業務、
非効率な仕事の進め方が見過ごされてしまう危険性も内包しています。
状況が許す限りはシステム化を含めた抜本的なプロセスの在り方の検討を優先し、
その上でシステム化対象から漏れる箇所にしっかり統制を効かせながらRPAを活用するというのが原則
だと考えます。
社内でどれだけのロボットが動いているか把握できない。
もともとの作成担当者がわからない。
などを「野良ロボット」と呼ぶと感覚はかなり面白い。
(櫻井)。
