29日の米株式相場は3営業日ぶりに反発した。ダウ工業株30種平均は前日比254ドル69セント高の2万4103ドル11セントで終えた。
欧州株がほぼ全面高となった流れを受けて買いが先行した。
週間新規失業保険申請件数が予想より減少した一方で、インフレ指標の一つである2月PCEコア指数2月の米個人消費支出(PCE)の物価指数が予想に一致したことから、利上げへの懸念を伴わない緩やかな景気改善が好感された。下落が続いていたハイテク株にも買い戻しが広がったほか、原油相場も上昇し、引けにかけて上げ幅を拡大した。
2月の米個人消費支出(PCE)の物価指数は、食品とエネルギーを除くコア指数が前年同月比1.6%上昇。2017年4月以来の伸び率になったが、市場予想の範囲内にとどまった。週間の新規失業保険申請件数は1973年1月27日以来、45年2カ月ぶりの水準に減少。3月の消費者態度指数(確報値)は14年2カ月ぶりの高水準だった。
個人情報の不正流用問題で風当たりが強まっているフェイスブックは28日に立て続けに対応策を発表し、規制強化などへの過度の警戒感が後退した。
フェイスブックやアマゾン・ドット・コムなど主力ハイテク株が買われ、投資家心理が改善した。四半期末と3連休を控え、売りに傾いた持ち高を中立方向に戻す目的の買いも入った。
相場下落が続き、S&P500種株価指数の1年後の予想PER(株価収益率)は23日に16.1倍と米大統領選前の2016年11月4日以来の水準に低下。1~3月期末を控えて機関投資家の持ち高整理も終わったとの見方から「割安な株価の恩恵を得られるように資金を投じるべきだ」との声も出ていた。
ナスダック総合指数は、同114.219ポイント高の7063.445で終えた。動画配信のネットフリックスを含む「FANG」が軒並み上昇。クラウド事業の強化に向け新たな部門を立ち上げると発表したマイクロソフトが上昇。アップルも買われた。
セクター別では不動産を除いて全面高となり、特に半導体・半導体製造装置やソフトウェア・サービスの上昇が目立った。
個別では、エネルギー会社のチェサピーク・エナジー(CHK)や原油精製のマラソン・ペトロリアム(MPC)などエネルギー銘柄が堅調推移。アルコール飲料のコンステレーション・ブランズ(STZ)は決算内容が好感され、買われた。
前日の取引終了後に発表した四半期決算が市場予想を上回る増収増益だったアパレル大手のPVHも買われた。
一方、前日夕に発表した四半期決算で米国事業の既存店売上高の伸びが市場予想に届かなかったドラッグストア大手のウォルグリーン・ブーツ・アライアンスが大幅安。
ゲーム小売のゲームストップ(GME)は通期見通しが予想を下振れ、大幅下落となった。
30日(金)は聖金曜日(グッドフライデー)の祝日で米国株式相場は休場となる。
VIX指数は19.97と低下(前営業日22.87)。米主要株式3指数は、イースター休場前の第1四半期末の取引日に、ナスダック総合指数がハイテク主導で反発したことで堅調に推移した。VIX指数は一時19.60まで低下した。
NYダウ工業株30種(ドル)
24,103.11+254.69
S&P500種
2,640.87+35.87
ナスダック
7,063.445+114.219
米10年債利回り(%)
2.7407 -0.034
米2年債利回り(%)
2.2701 -0.016
NY金(ドル/トロイオンス)
1,327.30-2.70
NY原油(ドル/バレル)
64.91+0.53
円・ドル
106.51 – 106.52-0.06
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は続伸した。
6月物は前日比245円高の2万1475円で引け、同日の大取終値を265円上回った。米株の反発を好感した。下げが続いたフェイスブックなどハイテク主要株が反発し、投資家心理が上向いた。
30日から3連休入りするため、持ち高調整の買いも入った。
この日の6月物高値は2万1625円、安値は2万0980円。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
21475 ( +265 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
21510 ( +300 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7056.61(+11.87)
FTSE100種総合株価指数は3日続伸した。前日28日の終値に比べ11.87ポイント高の7056.61で引けた。上昇・下落銘柄はほぼ拮抗した。
資源株やたばこ株など大型株が買われ、指数を押し上げた。一方で医薬品株が利益確定の売りで下落したほか、午前は買いが先行していた金融株の一角が午後にかけて売りに転じ、上げ幅を縮小して引けた。
前日下落した鉱業株と石油株が買い戻された。銅相場の上昇も強材料となり、アングロ・アメリカンをはじめ鉱業株は全面高。石油株も堅調だった。
個別では、引けにかけて自動車部品のGKNが9%強と急反発した。最終的に英投資会社メルローズからの買収を受け入れたとの報道が手掛かりになった。
時価総額の大きいたばこ株への買いも指数の上げに貢献した。航空のインターナショナル・エアラインズ・グループとイージージェットも高かった。6月から最高経営責任者(CEO)が交代することが伝わった医療のメディクリニック・インターナショナルが5%高と大幅に上昇した。
半面、イースター(復活祭)の連休を前にした利益確定の売りなどで午前は買われていた銀行のロイズ・バンキング・グループやHSBCホールディングス、保険のアヴィヴァなどが下落して引けた。同様に前日上昇した医薬品株も軟調だった。ただシャイアーは引けにかけて買いに転じた。
食品サービスのコンパス・グループの下げも目立った。フランスの同業他社の株安を嫌気した売りが出た。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12096.73(+156.02)
ドイツ株式指数(DAX)は大幅反発。終値は前日28日と比べて156.02ポイント高の12096.73だった。
自動車株が軒並み大幅上昇し、指数の上げをけん引した。
個別では、フォルクスワーゲン、ダイムラーは4%高。航空のルフトハンザも高かった。一方、コメルツ銀行、電力のRWEが下落した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5167.30(+36.86)
自動車のルノーが6%近く上げた。
