NYダウは240ドル高、貿易摩擦への懸念が後退

5日のNYダウ工業株30種平均は前日比240ドル92セント高の2万4505ドル22セントと3日続伸で終えた。ダウ平均が3日続伸するのは2月下旬以来、およそ1カ月ぶり。
 
中国の報復関税措置を受けて、米政府高官が交渉の可能性を示唆したことで米中貿易摩擦への警戒感が後退し買いが先行した。
1-3月期決算発表シーズンを来週に控えて、業績期待から買い戻しが広がったほか、長期金利の上昇も好感され、終日堅調推移となった。
 
前日に国家経済会議(NEC)のクドロー委員長などが中国との交渉に前向きな姿勢を強調したことから、米中の関税の応酬で貿易戦争に発展し、世界経済に悪影響を与えるとの過度の懸念が和らいだ。中国への収益依存度が相対的に大きい航空機のボーイングや建機のキャタピラーが上昇しダウ平均を押し上げた。
 
フェイスブックやアマゾン・ドット・コムなど主要ハイテク株に買い戻しが目立ったのも市場心理の改善につながった。長期金利の上昇を受けて利ざやが拡大するとの見方から金融株も上げた。ダウ平均は357ドル高まで上げ幅を広げる場面があった。
 
ただ米中の交渉が進展するかには不透明感が残る。6日発表の3月の米雇用統計の内容を見極めたいとの様子見ムードもあり、相場は伸び悩む場面があった。
 
ナスダック総合株価指数は同34.445ポイント高の7076.552で終えた。
 
セクター別では、素材やエネルギーが上昇する一方で半導体・半導体製造装置や医薬品・バイオテクノロジーが下落した。
 
個別では、フェイスブックが上昇。個人情報の不正流用問題で前日にザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が電話会見し、今後の経営などに対する過度の不透明感が和らいだ。アナリストが投資判断を「買い」とした半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)も高い。
光通信機器メーカーのフィニサー(FNSR)は、モルガン・スタンレーによる投資判断引き上げを受け上昇。種子メーカーのモンサント(MON)は、独バイエルとの合併成立に自信を示し買われた。
 
一方で、アナリストが投資判断を「売り」とした半導体のマイクロン・テクノロジーが大幅安。四半期決算が市場予想を下回った中古車販売のカーマックスも安い。
スポーツ用品メーカーのアンダーアーマー(UA)は、一部アナリストが通期見通しに慎重な見方を示し、軟調推移となった。
 
VIX指数は18.94と下落(前営業日20.06)。米中貿易戦争が通商協議で回避されるとの見方から、米主要株式3指数は続伸した。VIX指数は一時18.57まで下落した。
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,505.22+240.92
S&P500種
2,662.84+18.15
ナスダック
7,076.552+34.445
 
米10年債利回り(%)
2.8338 +0.044
米2年債利回り(%)
2.3066 +0.017
 
NY金(ドル/トロイオンス)
1,328.50-11.70
NY原油(ドル/バレル)
63.75+0.21
円・ドル
107.42 – 107.43+0.37
 
 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は続伸した。6月物は前日比320円高の2万1870円で取引を終え、大阪取引所の終値を220円上回った。
米中貿易摩擦への警戒感が後退し米株式とともに買われた。
国家経済会議(NEC)のクドロー委員長など米政権幹部の発言を受け、交渉により米中の貿易戦争は回避できるとの期待が広がった。市場関係者は6日発表の米雇用統計に注目している。
この日の6月物の高値は2万1915円、安値は2万1450円。

 
シカゴ日経225先物 (円建て)
21870 ( +220 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
21905 ( +255 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7199.50(+165.49)
FTSE100種総合株価指数は大幅続伸した。引けにかけて買いが膨らみ、前日4日の終値に比べ165.49ポイント高の7199.50となり、今日の最高値で引けた。終値では3月12日以来の高値となった。
構成銘柄の9割が上昇する中、多国籍企業の大型株に買いが集まり、株価上昇に貢献した。銀行株も高かった。
 
為替相場でポンド安・ドル高が進み、ポンド安の恩恵を受けやすい多国籍企業の石油株、鉱業株、医薬品株、たばこ株に買いが入りやすかった。なかでもロシアの鉄鋼大手エブラズ、資源商社のグレンコアの上げが目立った。
欧州の長期国債の利回り上昇を受けて、利ざやを見込んだ買いなどで銀行株も高くなった。
午後にかけてソフトウエア開発のマイクロフォーカスに買いが膨らみ、8%超高と急反発した。
 
半面、保険のダイレクトライン・インシュアランス・グループが6%安と大幅下落したほか、同業のアヴィヴァとセント・ジェームズ・プレイス、教育事業のピアソンも下げた。いずれも配当の権利落ちとなったことが響いた。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12305.19(+347.29)
ドイツ株式指数(DAX)は大幅反発。終値は前日4日と比べて347.29ポイント高の12305.19だった。全銘柄が上昇した。
投資家のリスク選好意欲が高まり、欧州株は大幅な全面高となった。午後に米株が上昇して始まったことに連れて、上げ幅を広げた。
工業用ガスのリンデ、医療機器のフレゼニウス、ドイツ銀行、鉄鋼のティッセン・クルップがいずれも4%超上げた。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5276.67(+134.87)
フランスの株価指数CAC40は2%以上、上昇した。

 

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