NYダウは572ドル安、4日ぶり反落。米中の貿易摩擦を警戒

6日のNYダウ工業株30種平均は前日比572ドル46セント安の2万3932ドル76セントと4日ぶりに反落した。
 
トランプ大統領が中国からの輸入品1000億ドルを対象とした追加関税策の検討を指示したことで、対中貿易摩擦への警戒感が一段と高まり、終日大幅下落となった。
中国事業の比率が高い建機のキャタピラーや航空機のボーイング、工業製品・事務用品のスリーエム(3M)が大幅に下落した。米長期金利が低下し、利ざや縮小への警戒感からゴールドマン・サックスなど金融株への売りも膨らんだ。ダウ平均は午後に一段安となり、一時767ドル安まで下げ幅を広げた。
 
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が講演で、緩やかな利上げを続ける姿勢を改めて示したと伝わった。貿易摩擦の激化が世界経済を下押ししても、FRBが利上げを続ける可能性が意識され株売りを促したとの指摘があった。
 
朝方発表の3月雇用統計で非農業部門雇用者数が大幅減少となる一方で、平均時給の伸びは予想を上振れたが相場への影響は限定的だった。
非農業部門の雇用者数は前月比で10万3000人増と増加幅は市場予想(18万人程度)を下回った。ただ、大幅増となった2月分の反動があったうえ、悪天候による一時的な影響が出たためで米雇用は基調としては堅調との評価が多かった。物価動向を占ううえで注目された平均時給の前年同月比の伸びは2.7%と前月から拡大したが市場予想並みとなった。
 
ナスダック総合株価指数は同161.441ポイント安の6915.111で終えた。トランプ米大統領が「平等な競争環境にない」などと批判したと伝わったアマゾン・ドット・コムのほか、アップルなど主力株が軒並み売られた。
 
セクター別では全面安となり、特に半導体・半導体製造装置や資本財の下落が目立った。
 
個別では、アマゾンが小口送金サービスに参入すると伝わり、ペイパルやスクエアなど決済サービス企業が売られた。証券会社による投資判断引き下げが伝わった半導体のザイリンクスが安い。前日に大きく下げた半導体のマイクロン・テクノロジーへの売りも続いた。
クラウドベースの顧客管理ソフトなどのセールス・フォース(CRM)は、計25億ドルの無担保社債による資金調達を行い売られた
 
一方、前日夕に増配と自社株買いを発表した外部記憶装置(ストレージ)のネットアップが小高い。身売りを模索していると報じられた食品スーパーのスーパーバリュが急伸した。
 
VIX指数は21.49と上昇(前営業日18.94)。
トランプ米大統領が1000億ドルの対中追加関税を指示し、中国商務省が報復措置を示唆したことで、米中貿易戦争への警戒感が再燃し、米主要株式3指数は反落した。VIX指数は一時23.12まで上昇した。
 
NYダウ工業株30種(ドル)
23,932.76-572.46
S&P500種
2,604.47-58.37
ナスダック
6,915.111-161.441
 
米10年債利回り(%)
2.7753 -0.057
米2年債利回り(%)
2.2702 -0.037
 
NY金(ドル/トロイオンス)
1,336.10+7.60   
NY原油(ドル/バレル)
61.95-1.59
円・ドル
106.95 – 106.96   -0.10
 
 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は反落した。6月物は前日比445円安の2万1425円で取引を終え、大阪取引所の終値を215円下回った。

米中貿易摩擦への懸念が再燃し米株式とともに売られた。トランプ米大統領は5日、対中制裁関税の積み増し検討を発表し、貿易戦争が回避できるとの期待が後退した。
6日発表の3月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が市場予想ほど伸びなかったが、市場の反応は限られた。

この日の安値は2万1305円、高値は2万1880円。
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
21425 ( -215 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
21460 ( -180 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数は3日ぶりに反落した。前日5日の終値に比べ15.86ポイント安の7183.64で引けた。構成銘柄の半数以上が上昇したものの、指数に寄与度の大きい資源株が下落し、指数を押し下げた。
米中貿易摩擦の動向に敏感とされる鉱業株が軒並み下落した。銅価格が下落したほか、前日大幅に上昇したことから利益確定の売りも出た。
 
個別では、アナリストが投資判断を引き下げたリオ・ティントと資源商社のグレンコアが安かった。午後に原油相場が下げ幅を広げたことに伴い、石油株が売られた。
小売りのマークス・アンド・スペンサー(M&S)とネクストは下落して引けた。
 
半面、前日に引き続き時価総額の大きいたばこ株が買われた。景気動向に左右されにくいとされる総合公益会社のユナイテッド・ユーティリティーズなど公益事業株のほか、電力のSSEなどエネルギー株も堅調だった。
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前日5日と比べて63.92ポイント安の12241.27だった。構成銘柄の約9割が下落した。
欧州の長期金利低下を背景にドイツ銀行が安くなった。コメルツ銀行も下落。工業用のリンデ、鉄鋼のティッセン・クルップは前日大幅高となったこともあり、利益確定の売りで下落した。
 
一方でアナリストが投資判断を引き上げた航空のルフトハンザが高くなった。医薬・農薬大手のバイエル、電力のRWE、不動産のボノビアは小幅安だった。

■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)5,258.24 -18.43

 

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