9日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前週末比46ドル34セント高の2万3979ドル10セントで終えた。
米中貿易摩擦問題について、ムニューシン財務長官やクドロー国家経済会議委員長が、交渉による解決を支持していることから、警戒感が和らぎ買いが先行した。原油高も好感されたが、今週から始まる1-3月期決算を控えて、企業業績動向を見極めたいとの思惑から上げ幅を縮小する展開となった。
ダウ平均は午後に400ドル超上げる場面があった。主力のがん治療薬の臨床試験で好結果が得られたと発表し、製薬のメルクが急伸。アップルやインテルなどのハイテク株やゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェースなど銀行株が買われ相場を押し上げた。
前週末6日は貿易摩擦への懸念に加え、3月の雇用統計で非農業部門の雇用者数の増加が市場予想を下回ったことが株売りを誘っていた。ただ市場では「いずれも過剰反応で、短期筋を中心に買い戻しが入った」との声があった。
ただ、ダウ平均は取引終盤にかけて伸び悩んだ。10日に中国の習近平国家主席が中国で講演する予定で、対米関係への発言を見極めたいとの雰囲気があった。
10~11日に利用者情報の不正流出について、フェイスブックのザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が議会で証言する。11日には3月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えるとあって、米株の上値を積極的に追う動きは限られた。
ナスダック総合株価指数は反発し、前週末比35.233ポイント高い6950.344で終えた。
セクター別では、医薬品・バイオテクノロジーやテクノロジー・ハード・機器が上昇する一方で耐久消費財・アパレルや小売が下落した。
個別では、種子大手モンサントが急伸した。米当局が独バイエルによる買収を承認すると伝わり、買い材料視された。バイオ製薬のアッヴィは関節リウマチ治療薬の試験で好結果が出たと明らかにし、買いが優勢だった。
一方で、ホームセンターのホーム・デポやロウズが下落。スポーツ衣料のアンダーアーマーやカジュアル衣料のギャップ、百貨店のメーシーズなど小売株の下げが目立った。通信のベライゾン・コミュニケーションズやAT&Tも売り優勢で終えた
VIX指数は21.77と上昇(前営業日21.49)。米株式市場は、オープン時は主要3指数とも反発して始まり、ダウ平均が一時400ドルを超えて上昇したことを受けて、VIX指数も20.34まで低下した。
しかし、NYクローズが近づくと、米露関係の悪化や、FBIが米大統領の顧問弁護士を強制捜査とのNYタイムズ紙の報道が伝わると、株価は上げ幅を大幅に縮小し、VIX指数は前日比を上回って引けた。
NYダウ工業株30種(ドル)
23,979.10+46.34
S&P500種
2,613.16+8.69
ナスダック
6,950.344+35.233
米10年債利回り(%)
2.7826 +0.008
米2年債利回り(%)
2.2824 +0.008
NY金(ドル/トロイオンス)
1,340.10+4.00
NY原油(ドル/バレル)
63.31-0.11
円・ドル
106.74 – 106.75-0.35
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は反発した。
6月物は前週末比170円高の2万1595円で引け、同日の大取終値を135円下回った。米中貿易摩擦への警戒感の薄れから米株とともに買いが先行した。
シカゴ時間の昼前には一時2万1800円まで上げた。その後は米株とともに売りに押され、伸び悩んだ。この日の安値は2万1420円。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
21595 ( -135 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
21625 ( -105 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7194.75(+11.11)
FTSE100種総合株価指数は小反発。前週末6日の終値に比べ11.11ポイント高の7194.75で引けた。
米中貿易摩擦や米政権によるロシア制裁を巡る警戒感がくすぶる中、積極的な売り買いを手控える向きも多かったようで取引は低調だった。金融株を中心に買われ、構成銘柄の7割近くが上昇した。
上げ幅は小幅ながら、金融株では銀行株と資産運用株は全面高となり、保険株も買いが先行した。
航空機エンジンのロールス・ロイスは、ドイツの部品子会社を米国の同業他社に売却することで合意したと伝わり、上昇した。
ネクストなど小売り関連株が買い戻される中、衣料小売りと食品事業のアソシエーテッド・ブリティッシュ・フーズが高くなり、指数の上げを主導した。
半面、エブラズは14%安と大幅に下落して引けた。一時20%近く下げる場面もあった。6日に米トランプ政権がロシアに対して追加の経済制裁を実施したことをきっかけにロシア関連株に売りが広がっているという。9日のロシア株は11%下落した。他の鉱業株にも売りが波及し、軒並み下落。なかでも、資源商社のグレンコアやフレスニージョなどが安かった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12261.75(+20.48)
ドイツ株式指数(DAX)は反発。終値は前週末6日と比べて20.48ポイント高の12261.75だった。
ドイツ取引所が高くなった。午後に下げ幅をやや縮小したものの、最高経営責任者(CEO)交代を発表したドイツ銀行も上昇。
一方、素材メーカーのコベストロが安かったほか、自動車株が売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5263.39(+5.15)
