「抜け出すか」

NY株式市場は大幅高の展開。
前日と違ってザラバ高値から終値まで堪えた格好となった。
好感したのは中国の習近平国家主席が自動車を含む一部製品の輸入関税を年内に引き下げる方針を表明したこと。
 
トランプ米大統領もツイッター応酬。
「関税や自動車障壁のほか知的財産権や技術移転の認識を巡る丁重な発言に感謝する。
ともに大きく進展させよう」。
「友達に親切にされたジャイアンみたい」と揶揄する声も聞こえる。
米中貿易摩擦を巡る懸念が後退したことは間違いなかろう。
「リスクオンのシグナル」を受けたとの見方だ。
ザッカーバーグCEOが議会の公聴会で証言したフェイスブックは大幅高。
原油先物価格が上昇したことからエネルギーセクターも上昇。
3月の卸売物価指数(PPI)は前月比0.3%上昇で着地。
市場予想の0.1%上昇を上回りインフレが強まっていることを示唆。
「卸売物価に対する上昇圧力は間もなく消費者物価押し上げにつながる。
FRBが年内あと3回の利上げを後押しする可能性がある」という見方となった。
10年国債利回りは一時2.802%まで上昇した。
ドルは対円で上昇し107円台前半。
米国による対ロシア制裁措置が引き続き材料視され、ルーブルは続落。
 
週明けNY株式の上昇幅縮小を受けて寄り付きはマイナス。
一時100円超の下落となった日経平均。
中国の習近平主席の「開放の門は閉じない」という講演で明確な材料が登場。
10時45分からプラス転換した。
上昇幅は連日の3ケタ。
後場に上昇幅を縮小したのは買戻しの流れの終焉だったのかも知れない。
ただ「楽観ムードが一段と強まる可能性もある」という声もある。
「年初来安値を更新した銘柄は78(月曜は111銘柄)。
そのうち大引けプラスとなったのが39銘柄。
つまり半数は反発に転じた。
単なる買い戻しだけでなくバーゲンハント的な動きが出始めているのではないか」という指摘がある。
日経平均日足は陽線で鯨幕は消えた。
5日移動平均線(21601円)も25日移動平均線(21441円)も上向きで底打ち感。
課題は3月12日高値(21971円)となってきた。
騰落レシオは109.65%。
サイコロは8勝4敗で66.7%。
松井証券信用評価損益率速報で売り方▲11.900%。
買い方▲8.898%。
マザーズ銘柄ネットストック信用評価損益率で売り方▲20.46%(前日▲18.31%)。
2017年6月22日の▲19.47%の記録を更新した。
買い方▲12.28%。
新興市場の売買低調の背景でもあろうか。
新興2市場の売買代金の2000億円割れは16日連続。
昨年11月8日までの20日連続以来だ。
空売り比率は42.3%と3日連続40%超。
4月6日時点の信用売り残は前週比255億円増の7604億円。
同信用買残は前週比348億円増の3兆5918億円。
日経平均採用銘柄のEPSは1700.02円でPERは12.82倍。
13倍で22100円だ。
一目均衡の厚く黒い雲の上限はしばらく22533円。
「勝手雲」は既に5日に上抜け青空だし17日は白くねじれている。
ボリンジャのプラス1σは21756円、プラス2σ22070円への挑戦となってきた。
NY株は大幅続伸だったがシカゴ225先物終値は大証日中比20円安の21840円と寂しい戻り方。
気学では「不時の高下をみせる日」。
シカゴ225先物高値21960円をクリアして欲しいものだ。
紙面の「個人は当面慎重姿勢を崩せない」の活字が逆指標となってくれるかも知れない。
今年3勝10敗と大きく負け越しているSQ週の荒れる水曜日。
 
日経朝刊で気になった記事は2つ。
一つは「スクランブル」で指摘された大証のTOPIXオプションでプット建玉は9日に5.9万枚。
リーマンショックの08年秋は1.5万枚だった。
想定元本ベースでは約1兆円の規模は大きい。
「この巨大なプットの山は過度に悲観に傾いていた投資家心理の現れだ」。
確かにこの巻き戻しの圧力を仮定すると想像を絶する相場に違いない。
もう一つは「南鳥島周辺に1600万トン超。
レアアース数百年分」の見出し。
レアアースはハイブイリッド車やEV、風力発電などの強力磁石、LEDなどの原料。
中国への依存度が高かった。
ハイブリッド車などに使うジスプロシウムは世界需要の730年分。
レーザーなどに使うイットリウムは780年分。
「日本の排他的経済水域に眠る資源で資源小国から脱却の可能性」。
夢のある話だ。
三井海洋開発(6269)、トヨタ(7203)などが設立した「レアアース泥開発推進コンソーシアム」。
これが気にかかる。
 
日経平均が高値をつけた1月第4週以降3月第4週までに個人は現物信用で2兆1000億円の買い越し。
この平均買いコストは21871円。
これが「上値の壁」になるという声がある。
ということは、まずは21871円が第一関門だった。
昨日ザラバでは21933円まであったということは、結構すんなり抜けるのかも知れない。
一方でNY市場では「ボラ上昇歓迎」の話。
動かない相場で収益が悪化したヘッジファンドなどにとってはボラの拡大は取引機会の増加につながる。
指数に関係ないアクティブファンドの逆襲になれば日本株も面白くなる。
 
NYダウは428ドル高の24408ドルと続伸。
高値へ24511ドルまであった。
NASDAQは143ポイント高の7094ポイント。
S&P500は43ポイント高の2656ポイント。
ダウ輸送株指数は109ポイント高の10228ポイント。
3市場の売買高は71.4億株。
CME円建ては大証比20円安の21840円。
ドル建ては大証比5ポイント高の21865ポイント。
225先物大証夜間取引は日中比20円安の21840円。
ドル円は107.16円。
10年国債利回りは2.797%。
 
 
 
◇━━━ カタリスト ━━━◇
 
テンポイノベーション(3484)・・・動兆。
 
テンポイノベーションに注目する。
同社は飲食店向け物件に特化した店舗賃貸事業を展開。
19年3月期も居酒屋業態軸に保有物件1520件目指す。
前3月は2ケタの増収増益見通し
 
 
(兜町カタリスト櫻井)

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